アメリカ連邦政府閉鎖34日目 トランプ政権がSNAP給付を一部継続へ
アメリカで続く連邦政府の一部閉鎖が34日目に入り、トランプ政権が低所得者向け食料支援制度SNAPの給付を非常用資金で「半分だけ」延命させる決定をしました。約4,200万人が利用する最大の反飢餓プログラムをめぐり、政治対立と法廷闘争が交錯しています。
連邦政府閉鎖34日目、揺れる食料支援
今回の決定は、連邦政府の一部閉鎖が長期化し、過去最長クラスの規模に達する中で出てきました。政権は当初、予算が途絶えることから11月1日以降のSNAP給付を停止する方針を示し、多くの低所得世帯が先行き不透明な状況に置かれていました。
SNAPは、食料品の購入に使える給付を通じて、全米で約4,200万人を支えるアメリカ最大の食料支援制度です。受給者の多くは連邦貧困ライン付近かそれ以下の所得で生活しており、給付の有無は日々の食卓に直結します。
裁判所の命令で非常用資金を投入
事態が動いたのは金曜日です。東部ロードアイランド州の連邦地裁判事が、農務省に対しSNAP受給者への支払いに非常用の積立基金を利用するよう命じました。その判断を受け、農務省は月曜日の裁判所への提出書類で、46億5,000万ドルを11月分のSNAP給付に充てると表明しました。
農務省によれば、この額は現在の給付水準で見て、対象世帯のおよそ半分をカバーできる規模だとされています。つまり、11月分については「全額」ではなく「半分」の安全網が張られたにすぎません。
同じ金曜日、マサチューセッツ州の別の連邦地裁判事も、政府閉鎖に伴い11月1日からSNAP給付を停止するというトランプ政権の計画は、違法となる可能性が高いとの見解を示しました。ただしこちらの判事は、政府に対して直ちに資金を支出するよう命じるまでには踏み込んでいません。
これまでの主張を転換したトランプ政権
トランプ政権はこれまで、SNAPの財源として用意されている非常用資金50〜60億ドルには、法的権限がないため手を付けられないと説明してきました。SNAPの11月分給付だけでも、必要額は80億ドルを超えるとされています。
しかし、相次ぐ訴訟と裁判所の判断を受け、政権は非常用資金の一部である46億5,000万ドルを投入する方針へと転じました。政権側の説明は大きく変わっていませんが、現実には司法判断が政策を動かした形です。
トランプ大統領は金曜日、自身のSNSで、野党側が政府再開に応じないためにアメリカ国民が飢えることは望まないと強調し、SNAPを合法的に資金支援する方法について裁判所の判断を仰ぐよう政府の弁護士に指示したと述べました。大統領として、責任を果たしている姿勢をアピールする狙いもにじみます。
SNAPとは何か:アメリカ最大の反飢餓プログラム
SNAPは、日本語では補足的栄養支援プログラムと訳される連邦制度で、かつてのフードスタンプに代わる仕組みです。専用カードを使い、スーパーマーケットなどで食料品を購入できる形で支援が行われます。
- 対象は主に低所得世帯や子どものいる家庭、高齢者、障がいのある人など
- 受給世帯の多くが連邦貧困ライン付近かそれ以下の収入
- 利用者は約4,200万人とされ、全米の反飢餓政策の中核
この制度が揺らぐことは、単に生活保護の一部が削られるという話にとどまらず、地域の小売業や農業にも波及します。多くの地域スーパーは、売り上げの一定割合をSNAP給付に依存しているからです。
法廷闘争の焦点:誰が財布のひもを握るのか
今回の争点は、大きく分けて二つあります。一つは、議会による正式な予算承認がない中で、行政府がどこまで非常用資金を動かせるのかという法的問題です。もう一つは、政治的な駆け引きの中で、最も弱い立場にある低所得層をどこまで巻き込んでよいのかという倫理的な問題です。
裁判所は、少なくともSNAPのような基礎的な生活支援については、政府閉鎖を理由に一方的に打ち切ることに慎重な姿勢を示しています。一方で、司法がどこまで具体的な支出を命じられるのかという別の憲法上の論点もあり、判断は段階的かつ限定的です。
今後の見通し:不安は完全には解消されず
非常用資金の投入により、11月分のSNAP給付の一部は確保される見通しになりました。しかし、残りの給付や12月以降の支援については、依然として先が見えません。連邦政府閉鎖が続く限り、受給世帯は「いつ切られるかわからない」状態を強いられます。
アメリカの政治対立が長期化する中で、生活の土台となる食料支援が交渉材料として使われてよいのかという問いは重く残ります。今回の決定は、ひとまず飢えをしのぐ時間を稼いだにすぎません。政府と議会が早期に予算合意へと動くのか、それとも対立がさらに深まるのか。今後の展開は、アメリカ国内だけでなく、世界経済や国際市場を注視する日本の読者にとっても見逃せない論点と言えます。
ポイントのまとめ
- 連邦政府の一部閉鎖が34日目に入り、SNAP給付停止への懸念が高まった
- 連邦地裁の判断を受け、農務省は非常用資金46億5,000万ドルで11月分給付の約半分を賄う方針
- トランプ政権はこれまで非常用資金に手を付けられないと主張してきたが、方針を事実上転換
- SNAPは約4,200万人を支える最大の食料支援制度で、停止されれば生活と地域経済に深刻な影響
- 司法判断が最低限の安全網を確保した一方、長期的な安定には政治的合意が不可欠な状況が続く
Reference(s):
Trump admin to partially fund SNAP benefits amid gov't shutdown
cgtn.com








