米国がICBMミニットマンIIIを発射試験 ロシアに事前通告
米国がICBMミニットマンIIIを発射試験 ロシアに事前通告
米空軍は現地時間の水曜日未明、カリフォルニア州バンデンバーグ宇宙軍基地から大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマンIII」の非弾頭による発射試験を実施し、成功したと発表しました。発射については事前にロシアへ通告されていたと伝えられており、米ロの核抑止と軍縮をめぐる駆け引きがあらためて注目されています。
カリフォルニアからマーシャル諸島へ飛行
米軍機関紙「スターズ・アンド・ストライプス」によると、今回のミニットマンIIIは非武装の再突入体を搭載し、バンデンバーグ宇宙軍基地から発射されました。再突入体は、およそ4,200マイル(約6,800キロ)離れたマーシャル諸島共和国クェゼリン環礁にある、米陸軍宇宙ミサイル防衛司令部の試験施設付近で飛行を終えたとされています。
試験を担当した第576飛行試験飛行隊のカリー・レイ中佐は、「ICBMシステムがその重要な任務を遂行できることを検証・確認するための包括的な評価だ」と語り、今回の発射がシステム全体の性能確認を目的としたものであると強調しました。
2024年末時点で約400基を配備
同紙によれば、2024年末時点で米国は、北部の州に設けられた地下サイロに約400基のミニットマンIIIを配備していたとされています。冷戦期から運用されるこのICBMは、老朽化が指摘される一方で、依然として米国の核抑止戦略の中核的存在であり、その信頼性を確認する試験は定期的に行われています。
ロシアは事前通告を確認 CTBT順守を表明
ロシアのインタファクス通信は、クレムリンのペスコフ報道官の話として、米国が今回の発射について事前にロシアへ通告していたと報じました。ペスコフ氏は、ロシアが包括的核実験禁止条約(CTBT)に基づく義務を引き続き履行していくと述べ、条約順守の姿勢を改めて示しました。
CTBTは、核爆発を伴うあらゆる核実験を禁止する国際条約で、多くの国が条約に署名・批准しています。ロシア側は、この枠組みを尊重する姿勢を強調しつつも、周辺国の動き次第では自らの対応も変わり得ることを示唆しています。
プーチン氏「他国が核実験なら相応の措置」
同じ水曜日、ロシアのプーチン大統領は安全保障会議の会合で、他国が核実験を行った場合、モスクワは何らかの措置を取らざるを得ないと述べました。プーチン氏は、2023年に連邦議会上下両院に行った演説で、米国や他の条約締約国が核実験を再開した場合には、ロシアも「相応の対抗措置」を取る可能性に言及していたと振り返りました。
またプーチン氏は、ロシア外務省や国防省など関係機関に対し、核兵器実験の準備の可能性について提案を取りまとめるよう指示しました。その一方で、ロシアはこれまでCTBTに基づく義務を厳格に守ってきたと強調し、他国が核実験を再開しない限り、今後も順守を続ける方針を示しました。
新型核戦力「ブレヴェストニク」と「ポセイドン」を称賛
前日には、プーチン氏がクレムリンで、核動力巡航ミサイル「ブレヴェストニク」と核動力無人潜航艇「ポセイドン」の設計者に国家勲章を授与する式典を行いました。プーチン氏は、これらの新たな核関連システムについて、「今後数十年にわたり国家安全保障と戦略的均衡を支える上で極めて重要だ」と述べ、「少なくとも今後数十年は、国民にとって歴史的な意味を持つ」と評価しました。
核抑止と軍縮のはざまで揺れる米ロ
今回のミニットマンIII発射試験は、公式には核抑止力の維持とシステムの信頼性確認を目的としたものとされています。一方で、ロシアはCTBT順守を改めて表明しつつも、「他国が核実験を再開すれば相応の措置を取る」と発言しており、核抑止と軍縮の微妙なバランスが続いていることがうかがえます。
過去には、ドナルド・トランプ前米大統領が、他国も核実験を行っているようだと主張し、米国の核実験再開を命じたこともありました。核実験の是非や核戦力の近代化をめぐる議論は、米ロの国内政治とも結びつきながら、今も続いています。
今回のニュースから読み取れるポイント
- 米国は老朽化が進むICBM「ミニットマンIII」の発射試験を通じて、技術的な信頼性の確認と核抑止力の維持を図っている。
- ロシアは、米国からの事前通告やCTBT順守を強調しつつも、他国の動き次第では核実験準備に踏み込む余地を残している。
- 核実験全面禁止条約や軍縮の枠組みが揺らぐ中、各国のミサイル試験や核戦力の開発が、相互不信を高めるリスクをはらんでいる。
核兵器をめぐる米ロの動きは、日本を含むアジアの安全保障環境にも少なからぬ影響を与えます。日々のニュースの一つとして流し見するのではなく、「核抑止」と「軍縮」という二つのキーワードがどう両立し得るのかを意識しながら、今後の発言や軍備管理交渉の行方を追っていくことが、私たちに求められているのかもしれません。
Reference(s):
U.S. test-fires intercontinental missile, notifies Russia in advance
cgtn.com








