米政府閉鎖で米国内1200便超が欠航 政治対立が空の交通を直撃
米国で続く連邦政府の一部閉鎖の影響が、空の交通を直撃しています。10月1日に予算が失効してから約6週間後の先月中旬の金曜日、全米で1,200便を超える航空便がキャンセルされ、ホリデーシーズンを前に混乱が広がりました。この国際ニュースを、日本語でポイントを押さえて解説します。
政府閉鎖が空の交通を直撃
今回の混乱の背景にあるのは、連邦政府の予算が10月1日に失効したことで一部の機能が停止する、いわゆる政府閉鎖(シャットダウン)です。共和党と民主党が、特に医療保険の補助金や医療関連の歳出をめぐって激しく対立するなか、多くの連邦機関で業務が大幅に縮小され、約6週間にわたり事実上の麻痺が続いてきました。
空港や航空交通を支える職員も例外ではなく、多くが一時帰休(自宅待機)か、無給のまま勤務を続けています。この負担が、フライト削減という形で一般の利用客にも直接及ぶようになっています。
なぜ1,200便以上が欠航したのか
トランプ政権は、給与が支払われないまま勤務を続ける航空管制官の負担を軽減するため、航空便の削減を指示しました。これにより、アトランタ、ニューアーク、デンバー、シカゴ、ヒューストン、ロサンゼルスなどの主要ハブ空港を含む40空港で発着便数が見直されました。
削減は段階的に実施されており、当初は約4%の削減から始まり、議会で予算案がまとまらなければ翌週には最大10%まで減らす計画とされています。
フライト追跡サイト FlightAware によると、先月中旬の金曜日だけで1,200便以上が欠航しました。航空データ会社シリウムは、米国内の全フライトの約3%がキャンセルされる一方、94%は定刻通りに出発したと分析しています。
政治の行き詰まりと責任のなすり合い
ワシントンでは、予算をめぐる与野党の対立が長期化しています。上院は、下院が可決したつなぎ予算案によって政府を再開させることを目指し、金曜日に15回目の採決を試みる見通しでしたが、これまで14回はいずれも否決されてきました。
米運輸長官のショーン・ダフィー氏は、政府閉鎖が続いている責任は民主党にあると主張し、ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港で記者団に対し、民主党は政府を再開させるために票を投じるべきだと訴えました。また、週末に地元へ戻りながら政府閉鎖を続けるのは恥ずべきことだと批判しました。
一方で、議会の多数を占めるのは共和党であり、民主党側は、医療関連支出の大幅削減を含む与党の予算案には賛同できないとしています。責任の押し付け合いが続くなかで、影響は空港をはじめとする市民生活の最前線に押し寄せています。
感謝祭シーズンを前に高まる不安
今回のフライト削減措置がとられたのは、アメリカで一年でもっとも混雑する感謝祭休暇を数週間後に控えたタイミングでした。ニューヨークのラガーディア空港で、ノースカロライナ州ウィルミントンから到着する娘を待っていた退職者のヴェルナー・ブヒさんは、この状況が感謝祭まで続けば本当に深刻になるだろうと語りました。
同じくラガーディア空港に到着した、メイン州ポートランド発のフライトで来た65歳のローンダさんは、自身の移動は問題なかったものの、政治家たちが話し合おうとしないせいで休日の予定が台無しになるかもしれない、多くの人が傷ついていると不安を口にしました。
主要航空会社と空港の混乱
航空各社も対応を迫られています。アメリカン航空は声明で、今回のスケジュール削減は1日あたり約220便のキャンセルに相当すると説明しました。デルタ航空も同じ金曜日に約170便を取りやめたとし、米メディアによるとサウスウエスト航空もその日だけでおよそ100便をキャンセルしたと報じられています。
前日の木曜日には、FlightAware のデータとして、全米で6,800便を超えるフライトが遅延し、約200便が欠航したとの数字も示されています。乗客は保安検査場で長蛇の列を強いられ、ボストンとニューアークの空港では平均2時間超、シカゴ・オヘアやワシントンのレーガン・ナショナル空港でも1時間以上の遅延が発生しました。
安全性は保たれているのか、現場の疲弊
運航の安全性への懸念も高まっています。ダフィー運輸長官はソーシャルメディア上で、積極的な対策を講じているおかげで、きょうも、あしたも、その次の日も安全に飛行できると強調し、利用者に冷静な対応を呼びかけました。
しかし、給与が支払われないまま高い集中力を求められる業務についている航空管制官などの間では、欠勤(いわゆる病欠)が増えたり、生活費を補うために副業を探したりする動きも出ていると伝えられています。
アメリカン航空のロバート・アイソム最高経営責任者(CEO)は CNBC の取材に対し、非常にフラストレーションがたまる状況であり、自分たちは本来このような立場に置かれるべきではないと述べ、政治的対立が現場を追い詰めている現状をにじませました。
政治の対立が日常を揺らすとき
今回の政府閉鎖は、予算や医療政策といった一見抽象的なテーマが、空港で長蛇の列に並ぶ人たちや、家族と再会できるか不安を抱える旅行者の生活に直結していることを浮き彫りにしました。
日本でも、災害対応やインフラ維持など、公共サービスを支える人たちの働き方や待遇がたびたび議論になります。遠く離れたアメリカの政府閉鎖のニュースは、政治的な行き詰まりが長引いたとき、社会のどこにしわ寄せがいくのか、そしてそのコストを誰が負担しているのかを考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
More than 1,200 flights cut across U.S. in government paralysis
cgtn.com








