フィリピン、台風カルマエギ被害の中で国家非常事態 超大型台風フォンウォン接近
フィリピンで台風カルマエギによる甚大な被害が続くなか、マルコス大統領が1年間の国家非常事態を宣言し、さらに超大型台風フォンウォンの接近に備えています。この国際ニュースは、災害が多発する時代に何が問われているのかを考える手がかりにもなります。
カルマエギ被害を受け、1年間の国家非常事態
フィリピンのフェルディナンド・ロムアルデス・マルコス大統領は、台風カルマエギの壊滅的な被害を受けて、救助・救援・復旧を加速させるために国家非常事態(state of national calamity)を1年間宣言しました。大統領は11月5日に大統領布告第1077号(Proclamation No. 1077)に署名しており、この布告は土曜日に公表されました。
布告により、国家政府と地方政府は、避難所の運営やインフラ復旧などの緊急事業に必要な予算を柔軟に活用できるようになり、自宅を失った住民への基礎的なサービスの提供が進められます。非常事態は1年間続きますが、大統領の判断で早期に解除される可能性も示されています。
物価上昇抑制と無利子融資などの緊急措置
布告は、生活を守るための具体的な緊急措置も認めています。政府は、被災地の混乱に乗じた便乗値上げや買い占めを防ぐため、次のような対策を直ちに実施できるようになりました。
- 米や缶詰、医薬品、燃料などの基礎的な商品や主要な品目に対する価格上限の設定
- 深刻な被害を受けた業種や地域への無利子ローン(利子なしの融資)の供与
- 過度な値上げや売り惜しみ、在庫の囲い込みの取り締まり
また、各省庁には被災地の復旧と生活再建に向けた事後対策を進めるよう命じられています。治安当局はフィリピン軍の支援を受けながら、被災地域での治安維持と秩序の確保にあたるよう指示されています。
死者224人、行方不明100人超 カルマエギの被害
カルマエギは、2025年にフィリピンを襲った20番目の熱帯低気圧で、中部と南部の広い範囲を横断しながら洪水と土砂災害を引き起こしました。フィリピン市民防衛庁(OCD)によると、これまでに224人が死亡し、526人が負傷しています。
一方で、100人を超える人々の行方が依然として分かっておらず、被害の全容はいまだ明らかになっていません。多くの地域で日常生活に深刻な影響が出ており、復旧には長い時間がかかるとみられます。
追い打ちとなる超大型台風フォンウォン
こうした中で、フィリピンは新たな脅威である超大型台風フォンウォンへの備えを強めています。気象当局によると、フォンウォンは急速に勢力を増し、カテゴリー5のスーパー台風として、日曜の夜から月曜の朝にかけて上陸するおそれがあるとされています。
日曜朝の時点で、フォンウォンはビコル地方のカタンドゥアネスの東約125キロの海上に位置し、中心付近の最大風速は時速185キロ、最大瞬間風速は時速230キロ、進行速度は時速30キロで西北西に向かっていました。
気象局は、破壊的な強風、猛烈な雨による洪水や土砂災害に加え、停電や水道などの重要インフラの中断が広範囲で起きる可能性があると警告しています。カルマエギからの立ち直り途上にある地域が、再び深刻な打撃を受けるリスクも指摘されています。
平年を上回る「21番目の台風」が突きつける課題
カルマエギは今年フィリピンに上陸した20番目の台風であり、フォンウォンは21番目の熱帯低気圧と位置づけられています。これは、同国の年間平均とされる20個の嵐をすでに上回る数です。
台風の頻度と強度が高まるなかで、政府には次のような課題が突きつけられています。
- 災害発生直後の救助・救援と、中長期の生活再建をどのように両立させるか
- 価格統制や無利子融資を、最も打撃を受けた人々に迅速かつ公平に届けられるか
- 洪水や土砂災害のリスクが高い地域で、今後のインフラ整備や土地利用をどう見直すか
相次ぐ強い台風は、単なる自然災害ではなく、政治や経済、社会の仕組みを問い直す契機にもなっています。フィリピンの動向は、今後の災害多発時代にどのように備えるべきかを考えるうえで、国際ニュースとしても注目されそうです。
Reference(s):
Philippines braces for Super Typhoon Fung-Wong after Kalmaegi
cgtn.com








