イラン核合意を巡る駆け引き:米国との平和的協議は再開なるか
イラン核合意を巡る駆け引き:米国との平和的協議は再開なるか
イランが米国との平和的な核合意を目指すと表明しました。一方で、自国の安全保障は決して犠牲にしないとも強調しており、長年続く核問題を巡る駆け引きが改めて注目されています。
テヘランのメッセージ:平和的合意は望むが安全保障は譲れない
イラン外務次官のサイード・ハティブザデ氏は、今週火曜日にアラブ首長国連邦のアブダビで開かれた第12回アブダビ戦略対話で演説し、米国との間で平和的な核合意を模索していると述べました。
ただし同氏は、イランの国家安全保障は交渉の対象にならないと強調しています。イランは長年、自国の核計画について、あくまで発電や医療などの平和目的だと主張しており、ハティブザデ氏も、テヘランは核兵器を求めておらず、世界にそのことを保証する用意があると述べました。さらに、自国で育てた核技術を誇りに思うとも語っています。
米国・欧州・イスラエルとの長年の不信
一方、米国と欧州の同盟国、イスラエルは、イランの核計画が核兵器の製造能力を獲得するための隠れ蓑になっていると非難してきました。イランはこれを否定し、核計画は平和利用に限られると反論しています。
この対立は数十年にわたって続いており、ウラン濃縮の水準や核施設への査察、制裁の解除などを巡り、両者の溝は簡単には埋まりそうにありません。
6月のイラン・イスラエル12日間戦闘で協議は停止
イランと米国は、これまでに5回の核協議を行ってきました。しかし、今年6月に起きたイランとイスラエルの12日間にわたる戦闘で情勢が一変しました。ハティブザデ氏によると、この戦闘には米国も関与し、イランの主要な核施設を攻撃したとされています。
この6月の紛争を受けて核協議は停止しました。ハティブザデ氏は、米国が外交を裏切っていると批判しており、6月以降、協議は再開されていません。
ワシントンから届く矛盾したシグナル
ハティブザデ氏は演説の中で、ワシントンが第三国を通じてテヘランに対し、核協議に関する矛盾したメッセージを送っているとも指摘しました。対話を呼びかける一方で、軍事的圧力や制裁の圧力を強める姿勢が、イラン側の不信をさらに高めているという見方です。
実際、今年10月にはトランプ米大統領が、イランが用意ができれば米国はいつでも交渉に応じる用意があると表明し、イランに向けた友好と協力の手は開かれていると呼びかけました。
最高指導者は「脅しの下では交渉しない」と明言
しかし先週、イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師は、外政や核政策など重要案件について最終決定権を持つ立場から、脅しや圧力が続く状況では米国との交渉には応じないと明言しました。
イラン国内では、安全保障を理由に核計画の権利を守るべきだという声が根強く、軍事攻撃を受けた直後に米国との妥協に踏み切ることは、政治的にも難しい状況だと考えられます。
最大の争点:イラン国内でのウラン濃縮
イランと米国の間には、依然として大きな隔たりがあります。その中心にあるのが、イラン国内でのウラン濃縮の扱いです。米国側は、核兵器への転用リスクをゼロに近づけるため、イランの濃縮活動を事実上ゼロにすることを求めています。
これに対しイランは、自国の領土でウランを濃縮する権利を主張し、米国の要求を受け入れられないとしています。ウラン濃縮は、原子力発電など平和利用にも必要な技術である一方、一定以上の濃度まで高めれば核兵器にも転用可能になるため、国際社会にとって最も敏感な争点になっています。
なぜこのニュースが重要なのか
イランと米国の核協議は、中東地域の安全保障だけでなく、世界のエネルギー市場や海上輸送の安定にも直結する問題です。日本を含む多くの国が中東からエネルギーを輸入しているため、この地域での緊張の高まりは、遠い世界の出来事ではありません。
今回の動きから、次のような論点が見えてきます。
- 軍事衝突の後に、外交をどう再構築できるのか
- 核技術の平和利用と軍事転用の境界をどこに引くのか
- 脅しや圧力が続く状況で、真の意味での交渉は可能なのか
今後の焦点:対立の長期化か、段階的な妥協か
2025年12月現在、イランは平和的な核合意への意欲を示しつつも、安全保障上のレッドラインは守る姿勢を崩していません。一方、米国や欧州、イスラエルは、イランが核兵器を持たないと世界が安心できるだけの制限と検証を求め続けています。
今後考えられるシナリオとしては、第三国の仲介による段階的な合意や、信頼醸成措置から始めるアプローチ、あるいは緊張が続いたまま協議の再開が先送りされる展開などが挙げられます。
いずれにせよ、テヘランとワシントンがどこまで互いの不信を乗り越えられるかが、2026年に向けた国際情勢を占う重要な試金石となりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








