米シリア関係リセットへ トランプ氏と暫定指導者アル・シャラー氏がホワイトハウス会談
米国のドナルド・トランプ大統領は現地時間の月曜日、シリアの暫定指導者アフマド・アル=シャラー氏とホワイトハウスで会談しました。長く冷え込んできた米シリア関係をリセットし、国際ニュースとしても注目される正常化への一歩とみられています。
ホワイトハウスで非公開会談
米ホワイトハウスによると、会談は大統領執務室にあたるオーバルオフィスで行われ、報道陣やカメラは一切入れない完全非公開の形式でした。カロライン・レヴィット大統領報道官は、アル=シャラー氏の訪問について、世界のどの地域の相手であっても平和追求のためなら会うという大統領の外交努力の一環だと説明しています。
シリア側の最優先課題は制裁の恒久的撤廃
会談の主な争点の一つが、米国による対シリア制裁です。両国の当局者によると、シリア側は米国の経済制裁、とりわけシーザー法制裁の恒久的な撤廃を最優先課題に掲げています。
トランプ大統領は今年5月、サウジアラビアで行われたアル=シャラー氏との初会談の際に、このシーザー法制裁を180日間停止する措置を取っています。ただし、恒久的な撤廃には米連邦議会の決定が必要であり、今回のホワイトハウス会談が議会内の議論にどう影響するかが焦点となります。
米国の狙いはIS掃討と連携強化
これに対し、ワシントン側が最も重視しているのは、シリアの首都ダマスカスを米国主導の対イスラム国(IS)グローバル連合に引き込むことだとされています。米政府は、イスラム国掃討に向けたシリア暫定政権との協力を模索しているとみられます。
こうした中、シリアの治安当局はアル=シャラー氏の訪米直前の土曜日、国内複数の県でISの細胞組織を追跡する大規模な治安作戦を開始したと発表しました。この治安作戦の開始は、米国との協力を協議するホワイトハウス会談のタイミングと重なっており、IS対策をめぐる連携強化の一端と見る向きもあります。
制裁リストから外された暫定指導者アル=シャラー氏
アル=シャラー氏のワシントン入りを前に、国連安全保障理事会は木曜日、同氏とシリア暫定内相アナス・ハッターブ氏をISおよびアルカイダ関連の制裁リストから外すことを決定しました。ホワイトハウスもこれに歩調を合わせる形で、翌日に自らの制裁リストから両氏を削除しています。
アル=シャラー氏はかつてアルカイダに参加し、米国からは1000万ドルの懸賞金がかけられた指名手配犯とされていました。しかし、数年前に同組織との関係を断ち、その後は反体制派の指導者として台頭。昨年12月には、反乱勢力を率いて当時のシリア大統領バッシャール・アル=アサド氏の政権を打倒し、およそ14年に及んだ内戦の終結につなげました。
国際社会の見方とリスク
国連安保理と米政府が相次いで制裁対象から外したことは、アル=シャラー氏をシリアの正統な交渉相手として扱う方向に国際社会が一歩踏み出したことを意味します。一方で、かつて国際テロ組織に属していた人物をどれだけ早くパートナーとして受け入れられるのかという点は、米国内外で議論を呼ぶ可能性があります。
トランプ政権側は、レヴィット報道官の説明に象徴されるように、平和追求のためには対話の相手を限定しない姿勢を強調しています。しかし、そのアプローチは、対シリア制裁の緩和や撤廃をどこまで進めるのかという難しい判断とも表裏一体です。
今後の米シリア関係はどう動くのか
今回の会談は完全非公開で行われたため、具体的な合意内容は明らかになっていません。それでも、長期にわたり断絶してきた米シリア関係が新たな局面に入りつつあることは確かだと言えそうです。
今後、米シリア関係をめぐって注目されるポイントとしては、次のようなものが挙げられます。
- 米連邦議会がシーザー法制裁の恒久的撤廃にどこまで踏み込むか
- シリア国内で進むIS細胞摘発作戦がどの程度成果を上げるか
- シリア暫定政権が米国主導の対IS連合への参加にどこまで前向きな姿勢を示すか
シリア内戦終結からまだ1年余りしか経っていない今、今回のホワイトハウス会談は、戦後秩序の行方と地域情勢の安定を占う試金石ともなり得ます。制裁、テロ対策、そして和平プロセスがどのようなバランスで組み立てられていくのか、今後の動きを静かに見守る必要があります。
Reference(s):
U.S., Syria eye reset as Trump meets al-Sharaa at White House
cgtn.com








