イラン革命防衛隊「米・イスラエル主導の反治安ネットワーク摘発」と発表
イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)は、米国とイスラエルの情報機関が主導したとする「反治安ネットワーク」を摘発したと発表しました。2025年6月の12日間の軍事衝突から約半年、イランをめぐる国際ニュースは、軍事力だけでなく情報戦と国内治安をめぐる攻防へと広がりを見せています。
何が起きたのか
IRGCによると、その情報部門が「反治安ネットワーク」を特定し、壊滅させたとされています。このネットワークは、米国とイスラエルの情報機関が背後で指導していたとされ、IRGCは関係者を「だまされた個人や祖国への裏切り者」と表現しました。発表内容は、IRGCの公式メディアである「セパーニュース」で公表されています。
IRGCは、このネットワークが2025年6月の12日間にわたるイランとイスラエルの軍事衝突後にイスラエルによって作られたと主張しています。その目的は、11月6日から12月21日までの期間、イランの国家安全保障を揺さぶることだったとされています。2025年12月8日現在、IRGCの説明する「計画期間」はまだ終わっていません。
IRGCによれば、ネットワークのメンバーはイラン各地の複数の州で、同時展開された作戦によって逮捕されました。ただし、具体的な作戦の日付や逮捕者の氏名・人数などの詳細は明らかにされていません。
IRGCが描く構図:イスラエルは「米国の代理」
IRGCの情報部門は、イスラエルを西アジアにおける「米国の代理」と見ていると説明しています。そのうえで、今年6月の12日間の軍事衝突においてイスラエルが「軍事的に失敗した」と主張し、その後はイラン国内の公共の安全を乱す方向へと戦略を切り替えたと非難しています。
IRGCの主張を整理すると、次のような構図が浮かび上がります。
- イスラエルは米国の代理としてイランに対抗している
- 6月の軍事衝突で思うような成果を得られなかった
- そのため、治安攪乱や情報戦を通じてイランを不安定化させようとしている
これらはあくまでIRGC側の見方であり、現時点で他の当事者からの反応や検証可能な情報は示されていません。
今年6月の12日間の軍事衝突
今回の「反治安ネットワーク」摘発は、2025年6月の軍事的緊張の延長線上に位置づけられています。イラン側の説明をもとに、その流れを整理すると次のようになります。
- 6月13日:イスラエルがイラン各地に対して大規模な奇襲空爆を実施。核関連施設や軍事施設が対象となり、高級司令官や核科学者、市民が死亡したとイラン当局は説明
- その後:イランがイスラエルに対し、ミサイルと無人機(ドローン)による報復攻撃を複数回実施
- 6月22日:米軍がナタンズ、フォルドゥ、イスファハンにあるイランの核施設を攻撃
- 6月24日:イランとイスラエルの間で停戦が発効し、12日間の衝突が一応の区切りを迎える
この短期間に、イラン本土と核施設、そしてイスラエル側への報復が相次ぎ、中東の安全保障環境は一気に緊迫しました。今回のIRGCの発表は、停戦後も対立が別の形で続いていることを示唆しています。
「反治安ネットワーク」が意味するもの
IRGCは、摘発したとするネットワークの具体的な活動内容についてはほとんど説明していません。しかし、「反治安」という表現からは、国家の治安や公共の秩序を揺るがすことを目的とした活動を指していると考えられます。
一般的に、国家が「反治安」と位置づける活動には、例えば次のようなものが含まれる場合があります。
- 重要施設やインフラに対する破壊工作や暴力行為の計画
- 抗議活動や混乱を組織化し、社会不安を拡大させる動き
- 軍事・核関連を含む機密情報の収集と国外への提供
- サイバー攻撃や、オンライン上での宣伝・情報操作の支援
今回の事案がどこまでこうした典型例に当てはまるのかは、IRGCが今後どれだけ証拠や詳細を公開するかによって変わってきます。少なくとも、IRGCが国内治安をめぐる脅威を非常に重く見ていることだけはうかがえます。
中東情勢への影響:軍事衝突から情報戦へ
6月の空爆と報復攻撃、そして米軍による核施設攻撃を経て、イランとイスラエル、さらに米国との対立は軍事面で一旦区切りがついた形になりました。しかし、IRGCが「反治安ネットワーク」の存在を強調することで、対立の重心が軍事衝突から情報戦や治安分野へと移りつつある様子が浮かび上がります。
もしIRGCの主張どおり、イラン国内で組織的なネットワークが治安攪乱を狙っていたのであれば、停戦後も水面下での攻防が続いていることになります。これは、爆撃やミサイル攻撃といった「目に見える戦争」だけでは捉えきれない、より長期的で複雑な対立の構図を示しています。
一方で、治安やテロ対策の名のもとに、当局による国内の統制が強まる可能性もあります。イラン社会にとっては、安全保障の強化と、市民の自由や日常生活への影響のバランスが重要なテーマになっていきそうです。
今後の注目ポイント
今回のIRGCの発表をめぐり、今後の注目ポイントを整理すると次のようになります。
- IRGCがネットワークの実態や証拠をどこまで公開するか
- 逮捕されたとされる人物の人数や背景、今後の司法手続きの行方
- イラン国内の治安対策強化が、市民生活や言論空間にどのような影響を与えるか
- 米国やイスラエルが、この発表に対してどのような反応や説明を行うか
- 中東地域や国際社会が、この一連の動きをどう評価し、今後の外交・安全保障政策に反映させるか
軍事衝突から約半年が経った2025年12月8日現在も、イランをめぐる緊張は収束していません。IRGCの今回の発表は、中東情勢を読み解くうえで、「戦場」だけでなく「情報」と「治安」という目に見えにくいフロントラインにも目を向ける必要があることを物語っています。
Reference(s):
Iran says smashed 'anti-security' network led by U.S., Israel
cgtn.com







