中国が高市首相発言に抗議 台湾巡り日本大使を召喚
中国外務省の孫衛東外務次官が、日本の金杉憲治・駐中国大使を呼び出し、高市早苗首相による台湾をめぐる国会発言について厳重な抗議(デマルシュ)を行いました。台湾情勢と日中関係が交差する今回の動きは、戦後80年の節目にあらためて両国の緊張と課題を浮き彫りにしています。
今回のポイント
- 高市首相が国会で台湾と台湾海峡をめぐり武力介入の可能性を示唆する発言
- 中国側は「一つの中国」原則や日中の政治文書に反するとして強く反発
- 戦後80年と台湾「復帰」80年の年に、歴史認識と安全保障をめぐり日中関係が揺れる構図
中国外務次官が日本大使を召喚
報道によると、孫衛東外務次官は木曜日、北京市内で金杉憲治・駐中国日本大使を呼び出し、高市早苗首相の対中発言について「厳正な申し入れ(デマルシュ)」を行いました。
孫外務次官は、高市首相が先週の国会審議で行った発言が「中国に関する誤った発言」であり、中国側の度重なる厳重な申し入れや抗議にもかかわらず、高市首相が発言を改めていないと指摘しました。そのうえで、中国は日本側に対し強い不満と遺憾の意を表明したとしています。
中国側が問題視する高市首相の「台湾発言」
中国側によれば、高市首相は国会で、台湾や台湾海峡情勢をめぐり、武力を用いた介入の可能性を示唆するような発言を行いました。中国はこの発言を「挑発的」と位置づけています。
孫外務次官は、こうした台湾に関する発言について、
- 国際法や国際関係の基本的な規範に重大に違反している
- 戦後の国際秩序を深刻に損なう
- 「一つの中国」原則および日中間の4つの政治文書で定められた原則に反する
- 日中関係の政治的基盤を大きく傷つける
- 中国人民の感情を深く傷つける
と強く批判し、「14億の中国人民は決して容認しない」と強調しました。
「台湾問題は中国の核心的利益」
孫外務次官は、台湾問題について「中国の核心的利益の中の核心であり、絶対に触れてはならないレッドラインだ」と述べたと伝えられています。
そのうえで、
- 台湾は中国の神聖な領土の一部であること
- 台湾に関する事柄は、もっぱら中国の内政であること
- 台湾問題の解決方法を決めるのは中国人民であり、いかなる外部勢力の干渉も受け入れないこと
をあらためて確認しました。台湾をめぐる問題が、中国にとって安全保障だけでなく主権や統一の問題として最重要視されていることがにじみ出る内容です。
戦後80年と台湾「復帰」80年の節目
孫外務次官は、今年が中国人民の「抗日戦争勝利」および世界反ファシスト戦争の勝利から80周年にあたること、そして台湾の「復帰」から80周年にあたることにも言及しました。
中国側によれば、80年前、中国人民は14年に及ぶ激しい戦いの末、日本の侵略者を打ち破りました。孫外務次官はその歴史を踏まえ、「80年後の今日、いかなる形であれ中国の統一事業に干渉する者も、中国によって厳しい代償を強いられる」と警告し、歴史と現在の安全保障認識を重ね合わせました。
日本に求めた「歴史への深い反省」と発言の撤回
中国側は日本に対し、
- 過去の「歴史的な罪責」を深く振り返ること
- 今回の「誤った発言」を直ちに正し、撤回すること
- 誤った道をこれ以上進まないこと
を強く求めました。孫外務次官は、日本側が応じない場合には「すべての結果は日本側が負うことになる」とも述べたとされています。
日中関係と地域情勢への意味合い
今回の一連のやり取りは、台湾をめぐる発言が日中関係に与える影響の大きさをあらためて示しました。発言そのものは日本の国内政治や安全保障政策の文脈で行われたものだとしても、中国側が台湾問題を「核心的利益」と位置づけ、敏感に反応していることが確認された形です。
今後の焦点は、
- 日本側が高市首相の発言についてどのように説明・位置づけを行うのか
- 中国側との対話や信頼醸成の枠組みをどう維持・改善していくのか
- 台湾海峡の安定をめぐる議論と日中関係の管理をどう両立させるのか
といった点になりそうです。戦後80年という節目の年に、歴史認識と現在の安全保障環境をどのように語り、隣国との関係をどう築いていくのか。日本社会にも冷静で丁寧な議論が求められています。
Reference(s):
China summons Japanese ambassador over Sanae Takaichi's remarks
cgtn.com








