アフリカ初のG20首脳会議:連帯・平等・持続可能性で拓くグローバルサウス video poster
アフリカ大陸で初めてG20首脳会議が開かれる2025年、会議のキーワードは「連帯」「平等」「持続可能性」です。グローバルサウス、とくに女性と若者にとって、何が変わる節目の年になるのでしょうか。
中国の国際メディアCGTNの崔瀛潔(Cui Yingjie)記者による単独インタビューで、南アフリカの大統領府女性・若者・障がい者担当大臣シンディスウェ・チクンガ氏は、今年のG20首脳会議が「グローバルサウスが世界のガバナンス(国際的なルールづくり)を形作るうえで重要な瞬間になる」と語りました。
チクンガ大臣は、連帯・平等・持続可能性への注目が、グローバルサウスのより強い発言力と、特に女性と若者にとっての新しい機会につながるべきだと強調しています。
アフリカ初のG20が持つ重み
今年のG20首脳会議がアフリカ大陸で開かれることは、象徴的な意味合いを超えた変化を示しています。これまで主要な国際会議の多くは、欧州や北米、アジアの一部で開催されてきました。開催地がアフリカに移ることは、グローバルサウスが議論の「場」だけでなく「議題」をも主導していく転換点と見ることができます。
チクンガ大臣は、このG20がグローバルサウスにとって次のような役割を果たすべきだと示唆しています。
- 世界経済や気候変動、開発資金などの議論で、グローバルサウスの視点を中心に置くこと
- 女性や若者の課題を「付録」ではなく、主要なテーマとして扱うこと
- 合意内容を各国で実行しやすい形に落とし込むこと
連帯・平等・持続可能性:3つの柱
今回のG20を理解するキーワードが「連帯」「平等」「持続可能性」です。チクンガ大臣は、この3つが具体的な政策や資金の流れに結びつかなければ意味がないと指摘します。
連帯:グローバルサウスの声を束ねる
連帯とは、各国がそれぞれの事情を抱えながらも、共通の課題に対して協力し合うことです。気候変動や債務問題、デジタル格差など、単独の国では対応が難しいテーマこそ、グローバルサウス同士が連携して提案をまとめることが重要になります。
アフリカで開かれるG20は、地域内だけでなく、アジアやラテンアメリカを含むグローバルサウス全体の連帯を可視化する場にもなりえます。
平等:意思決定のテーブルに座る権利
平等は、単に会議に招かれることではなく、議題の設定や最終的な合意形成に実質的に関わることを意味します。チクンガ大臣がとくに重視するのは、女性と若者が意思決定の場にきちんと座ることです。
人口構成や社会の変化を考えれば、女性と若者の視点を抜きにして持続可能な政策を設計することは難しくなっています。G20がその現実をどこまで反映できるかが問われます。
持続可能性:経済・社会・環境をつなぐ視点
持続可能性というと環境問題がイメージされがちですが、チクンガ大臣は、経済と社会を含めた広い意味でとらえています。人々の暮らしを支える仕組みが安定してこそ、環境対策も長期的に続けることができます。
その文脈で浮かび上がるのが「ケア経済」です。
優先すべき3つの課題:ケア経済・金融包摂・ジェンダー暴力
インタビューの中で、チクンガ大臣がG20で優先すべきだと訴えたのが、次の3つの分野です。
- ケア経済(Care Economy)の強化
- 金融包摂(Financial Inclusion)の推進
- 性別に基づく暴力との闘い
1. ケア経済:見えない仕事に光を当てる
ケア経済とは、育児や介護、障がい者支援、医療や福祉など、人をケアする仕事全体を指します。多くの場合、この分野は女性の無償労働や低賃金労働に支えられてきました。
チクンガ大臣は、ケアに携わる人々に正当な報酬と社会的保障を与えることが、女性の経済的自立と雇用の拡大につながると考えています。G20がケア経済への投資を後押しすれば、グローバルサウスの社会インフラを底上げする効果も期待できます。
2. 金融包摂:銀行口座から始まる機会の拡大
金融包摂とは、銀行口座やデジタル決済、小規模融資などの金融サービスに、誰もがアクセスできる状態を目指す取り組みです。グローバルサウスでは、女性や若者が金融サービスから排除されているケースが少なくありません。
チクンガ大臣は、金融サービスへのアクセスが広がれば、女性や若者が事業を始めたり、教育やスキルに投資したりするチャンスが増えると見ています。G20が金融包摂を優先課題とすることは、グローバルサウスの経済成長と格差是正の両方に直結します。
3. 性別に基づく暴力と闘う
性別に基づく暴力は、身体的・精神的な被害だけでなく、教育や就業の機会を奪い、社会全体の発展を妨げる問題です。チクンガ大臣は、どの国でも、どの女性も暴力の恐怖から解放されなければ、本当の意味での平等や持続可能性は実現しないと訴えます。
G20がこの問題に光を当て、法制度や支援体制の強化、教育や啓発への投資を後押しすることが期待されています。
「どの国も、どの女性も取り残さない」ために
チクンガ大臣は、「どの国も、どの女性も取り残さない」という言葉で、今回のG20首脳会議の方向性を示しています。それは、国と国の格差だけでなく、国の中にあるジェンダーや世代の格差にも目を向けるという意味を持ちます。
アフリカ大陸で初開催となる2025年のG20首脳会議は、グローバルサウスの存在感を示すと同時に、女性と若者の声をどこまで国際議論に反映できるかを試す場でもあります。
日本を含む各国の市民にとっても、「連帯」「平等」「持続可能性」というキーワードは他人事ではありません。ケア経済をどう支えるのか、金融サービスへのアクセスをどう広げるのか、性別に基づく暴力をどう減らすのか。G20での議論をきっかけに、自国の政策や私たちの日常の選択を見直すことが求められています。
アフリカのG20の瞬間を、グローバルサウスと世界全体の未来を考える入り口として注視していきたいところです。
Reference(s):
Solidarity, equality and sustainability – Africa's G20 moment
cgtn.com








