中国とタジキスタン、初の外相戦略対話 安全保障と経済協力を確認
中国とタジキスタンが、初めての外相級「戦略対話」をタジキスタンの首都ドゥシャンベで開催しました。安全保障から一帯一路協力、人の往来まで幅広い分野で今後の方針が示され、中央アジアをめぐる地域秩序づくりの一端が見えてきます。
ドゥシャンベで初の外相「戦略対話」
土曜日、タジキスタンの首都ドゥシャンベで、中国の王毅国務委員兼外交部長とタジキスタンのシロジッディン・ムフリディン外相が、初の外相戦略対話を行いました。
王氏は、中国とタジキスタンが「山と川で結ばれた近隣の友人であり、パートナー」だとした上で、両国関係は両国首脳の戦略的な指導のもと、着実に新たな高みに達していると評価しました。
中国側は、両国首脳のコンセンサスを道しるべに、長く続く友情を引き継ぎ、一帯一路の高品質な協力を進め、「新時代の包括的戦略的協力パートナーシップ」をさらに前進させていく考えを示しました。
中国側が示した5つの提案
王氏は、複雑な国際環境のなかで戦略対話メカニズムを立ち上げることは「タイムリーだ」と強調し、中国とタジキスタンの協力の柱となる5つの提案を示しました。
- 1. 相互支持の堅持:両国は互いの主権・安全保障・発展路線を断固として支持する方針を確認しました。中国は、タジキスタンが自国の国情に合った発展の道を歩み、安全を守ることを支持すると表明。タジキスタンが台湾問題を含む中国の核心的利益に一貫して支持を示してきたことに謝意を示しました。
- 2. 互恵的な経済協力の拡大:貿易と投資を拡大し、既存の協力プラットフォームをフル活用する方針を確認しました。中国側は、タジキスタン産の高品質な農産物の輸入を増やすとともに、能力のある中国企業がタジキスタンへの投資を積極的に検討するよう促す考えを示しました。
- 3. 人的・文化交流の強化:孔子学院(中国語教育機関)や魯班工坊(職業教育協力プロジェクト)、伝統中国医薬センターや健康プログラムの役割をさらに高め、人材育成と文化交流を深める方針が示されました。あわせて、文化センター設立の加速や、地方レベルの協力・姉妹都市交流の拡大も提案されました。
- 4. 安全保障協力の深化:共通の安全保障上の利益を持つ戦略的パートナーとして、両国はリスクへの共同対処を強める必要性を確認しました。グローバル安全保障イニシアチブの枠組みのもとで、二国間の共同パトロールを実施し、テロの拡散を防ぎ、発展の前提となる安全の基盤を固めることが強調されました。
- 5. 多国間枠組みでの協調:中国は、タジキスタンが国連でより大きな役割を果たすことを支持すると表明しました。国連を中心とする国際体制を共に擁護するとともに、上海協力機構や中国−中央アジア協力メカニズムにおける連携強化を打ち出しました。また、中国はタジキスタンの国際調停機構(IOMed)への参加決定を歓迎しました。
一帯一路と「第二の百年目標」:タジキスタンへの波及効果
王氏は、中国共産党中央委員会第20期第4回全体会議の成果についてムフリディン外相に説明しました。その中で、中国共産党が五カ年計画を科学的に策定し、継続的に実施してきた経験は、中国の特色ある社会主義の重要な政治的強みだと強調しました。
中国は、自国が掲げる「第二の百年目標」を予定通り達成できると自信を示しました。そのうえで、中国の高品質な発展と高度な対外開放は、タジキスタンを含む各国に新たな機会と、より広い発展の可能性をもたらすと述べました。
歴史認識と台湾問題での立場
王氏は、安全保障や歴史認識をめぐる中国の立場についても言及しました。中国は、日本の一部右翼勢力による歴史の逆行を決して許さず、日本軍国主義の復活も容認しないとの方針をあらためて示しました。
さらに、中国の台湾地域への外部勢力の干渉を決して認めないと強調しました。そのうえで、中国は各国と共に一つの中国の原則に関する国際社会のコンセンサスを守り、第2次世界大戦の勝利によって得られた成果を維持していく考えを示しました。
タジキスタンが期待するもの
ムフリディン外相は、タジキスタンと中国は「友好の隣人であり、誠実なパートナー」であり、その関係は相互理解と信頼、支え合いの上に成り立っていると述べました。
タジキスタン側は、両国首脳のコンセンサスを全面的に実行し、次のような分野で協力を拡大していく方針を示しました。
- ハイレベル交流のいっそうの拡大
- 一帯一路協力の推進と具体化
- 貿易、投資、連結性(インフラや物流)、グリーン鉱物分野での協力の深化
- 人的・文化交流の拡大と相互理解の促進
ムフリディン外相は、一つの中国の原則へのタジキスタンの揺るがぬ支持をあらためて表明し、台湾問題を含む主権と領土の一体性、国家統一の実現に向けた中国の努力を支持すると述べました。
また、タジキスタンはグローバル・ガバナンス・イニシアチブと、四つのグローバル・イニシアチブの実施に中国と共に取り組む考えを示し、国際調停機構(IOMed)への参加決定もあらためて確認しました。
アフガニスタン情勢と地域安定
両国外相はアフガニスタン情勢についても意見交換しました。王氏は、アフガニスタンが中国とタジキスタン双方にとっての隣国であることを指摘し、同国の平和、安定、復興を後押しするため、中国は今後もタジキスタンと共に取り組んでいくと述べました。
なぜ「戦略対話メカニズム」が重要か
王氏は、国際情勢が複雑化する今、外相級の戦略対話メカニズムを立ち上げる意義を次のように位置づけました。
- 定期的な意思疎通を通じて相互信頼を強化する
- 新たに生じる課題に迅速に対応する
- 地域の平和と安定を共に守る
- 中国−タジキスタンの「より緊密な運命共同体」づくりに新たな原動力を与える
会談後、両国外相は共同声明を発表し、「新時代の包括的戦略的協力パートナーシップ」を一段と前進させていく方向性を確認しました。
読み手にとってのポイント
今回の初の戦略対話からは、いくつかのポイントが浮かび上がります。
- 中国とタジキスタンは、安全保障から教育・医療、文化交流まで協力を制度化し、関係の「厚み」を増そうとしています。
- 中国の高品質な発展と対外開放は、タジキスタンなど周辺国にとっても新たな経済機会として位置づけられています。
- 台湾問題や歴史認識に関する中国の立場が、多国間協力や地域外交のコンテクストの中で繰り返し確認されていることが分かります。
- アフガニスタンの安定は、中国とタジキスタン双方にとって安全保障上の優先課題であり、今後の協力の行方は中央アジア全体の安定にも関わります。
中国とタジキスタンの戦略対話メカニズムが今後どのように運用され、中央アジアの秩序や経済にどのような影響を与えるのか。国際ニュースとして、引き続き注視していきたいテーマです。
Reference(s):
China, Tajikistan hold first FMs' strategic dialogue in Dushanbe
cgtn.com








