ロシア高官「プーチン・トランプ会談の可能性は議題に」
2025年も残りわずかとなる中、ロシアとアメリカの米ロ首脳会談をめぐる動きが静かに加速している可能性があります。ロシアの高官が、プーチン大統領とトランプ米大統領による新たな会談が「いまも議題にある」と明かしたためです。
プーチン・トランプ再会談の可能性「排除しない」
ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官は、国営の外交専門誌「インターナショナル・アフェアーズ」に掲載されたインタビューの中で、プーチン大統領とトランプ米大統領による次の首脳会談について「何も排除しない」と述べ、可能性を否定しませんでした。
リャブコフ氏は「前に進むための道を探る作業は続いている」とも語り、米ロ間で新たな政治的な打開策を模索していることを示唆しました。具体的な日程や開催地には触れていないものの、「議題から完全に消えた話ではない」というメッセージを発していると言えます。
水面下で続く米ロの接触「すべては正常に機能」
リャブコフ氏は、ロシアとアメリカの接触が断たれたとの見方を否定し、「われわれは継続的に作業している。確立されたやり取りの形式とチャンネルがある」と述べました。
さらに「すべてのチャンネルが目に見えるわけでも、耳に聞こえるわけでもないし、公に語られる必要があるとも限らない。しかし、すべてが正常に機能しているという事実は変わらない」と強調し、公開されていないルートも含めて対話が維持されていることをアピールしました。
そのうえで、米ロの対話の進展について「印象的だ」と表現しており、表面上の緊張とは裏腹に、水面下では一定の成果が積み上がっている可能性を示しています。
今年8月のアラスカ会談と中断されたブダペスト会合
プーチン大統領とトランプ米大統領は、今年8月にアラスカで会談しましたが、ウクライナ危機をめぐる合意には至りませんでした。戦闘の停止や包括的な政治解決に向けた「決定的な一歩」は、この場では踏み出されなかった形です。
その後、両首脳によるフォローアップの会談がブダペストで予定されていましたが、これは無期限の延期となりました。トランプ氏が10月下旬、記者団に対し「われわれが到達すべき地点に到達できるとは感じなかった」と述べ、現時点で打開策を見いだすのは難しいとの認識を示したためです。
こうした経緯を踏まえると、今回リャブコフ氏が「印象的な進展」に言及したことは、行き詰まりに見えた今年の米ロ対話が、少なくとも外交当局者レベルでは再び動き始めていることを示すシグナルとも受け取れます。
「印象的な進展」は何を指すのか
リャブコフ氏は具体的な中身を明かしていませんが、「印象的な進展」という言葉の背景には、いくつかの要素があると考えられます。
- ウクライナ危機をめぐる停戦や緊張緩和のための「たたき台」が水面下で検討されている可能性
- 偶発的な軍事衝突を避けるための軍同士の連絡メカニズムなど、安全保障上の危機管理の強化
- 制裁やエネルギー供給など、双方の経済・エネルギー利害に関わる議題の整理
もちろん、これらはあくまで一般的に想定される論点です。しかし、両国が複数のチャンネルを通じて協議を続けているという説明からは、「単発の首脳会談」ではなく、「プロセスとしての対話」を構築しようとしている姿勢もうかがえます。
なぜいま米ロ首脳会談の行方が重要なのか
米ロ関係は、ウクライナ危機をはじめとする安全保障をめぐり、ここ数年、世界政治の最大の不安定要因の一つとなっています。両国は核兵器を含む強大な軍事力を持つ一方で、対立が長期化すれば、地域紛争だけでなく、エネルギー価格や食料供給にも波及しかねません。
そうした中で、たとえ合意に至らないとしても、首脳同士が直接会って対話を続けることには、次のような意味があります。
- 相手のレッドライン(絶対に譲れない一線)を直接把握し、誤解によるエスカレーションを防ぐ
- 水面下での実務的な交渉に政治的なお墨付きを与え、合意形成を後押しする
- 自国や第三国の世論に対し、外交的な解決を模索しているというメッセージを発信する
逆に、首脳レベルの対話が途絶えると、双方の立場が固定化され、現場レベルの小さな誤算が大きな危機につながるリスクも高まります。今回の発言は、米ロ双方が少なくとも「対話の窓」を閉ざしていないことを示すものと言えるでしょう。
これからを考えるための視点
今後、プーチン・トランプ両氏の会談が実際に行われるかどうかは不透明です。しかし、リャブコフ氏の発言から、私たちが押さえておきたいポイントは次の通りです。
- 再会談の可能性は消えておらず、水面下の協議は継続している
- ウクライナ危機に関する決定的な合意には至っておらず、状況は依然流動的である
- 米ロ関係の変化は、エネルギー価格、安全保障環境、国際秩序などを通じて、日本を含む世界に広く影響しうる
国際ニュースは、ともすると遠い世界の出来事に見えます。しかし、米ロ関係の一つひとつの動きは、通勤電車の混雑から電気代、そして将来の安全保障まで、私たちの日常ともつながっています。首脳会談が実現するのか、その中身はどうなるのか。今後の報道を丁寧に追いながら、自分の視点をアップデートしていきたいテーマです。
Reference(s):
Russia's Ryabkov says potential Putin-Trump summit is on the agenda
cgtn.com







