ヨハネスブルグG20サミット開幕 多国間主義とグローバルサウスが主役に
アフリカ大陸で初めてとなるG20首脳会議が南アフリカ・ヨハネスブルグで開かれました。「連帯・平等・持続可能性」を掲げ、グローバルサウスとアフリカの声を多国間主義の枠組みの中でどう生かすかが焦点となりました。
アフリカで初のG20、テーマは「連帯・平等・持続可能性」
南アフリカで開かれた今回のG20サミットは、G20として初めてアフリカの地で開催された首脳会議です。2日間の会合では、「連帯・平等・持続可能性」というテーマのもと、アフリカやグローバルサウスの開発課題を世界の意思決定にどう組み込むかが議論の中心となりました。
南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は開会演説で、「G20は多国間主義の価値と有効性を示している。私たちが直面する課題は、協力と連携、パートナーシップによってしか解決できない」と述べ、多国間協調の重要性を強調しました。
ラマポーザ大統領「誰一人取り残さない」
ラマポーザ大統領は、サミットで採択された首脳宣言について「今回の宣言の採択は、多国間主義が実際に機能し、成果を上げうることを世界に示す重要なメッセージだ」と評価しました。
さらに「G20の指導者として、いかなる人も、いかなる地域社会も、いかなる国も取り残さないという厳粛な誓いを守り続ける」と述べ、格差の拡大や債務問題、気候変動の影響を受けやすい国への支援にコミットする姿勢を明確にしています。
議長国・南アフリカが掲げた4つの優先課題
南アフリカは2024年12月1日にG20議長国を引き継いで以来、開発途上国の視点を前面に押し出した議題づくりを進めてきました。優先分野として掲げたのは次の4つです。
- 災害への強靭性と対応力の強化
気候危機や自然災害の頻発を踏まえ、被害を受けやすい国や地域を支えるための協力を強めること。 - 低所得国の債務持続可能性の向上
債務負担が重い低所得国の債務を持続可能な水準に保つための枠組みづくりや支援を進めること。 - 公正なエネルギー転換に向けた資金動員
脱炭素化を進めつつ、エネルギーアクセスを確保し、発展途上国が不利にならない形でエネルギー転換を支える資金を確保すること。 - 重要鉱物を活用した包摂的・持続可能な成長
電気自動車や再生可能エネルギーに不可欠な「クリティカル・ミネラル」(重要鉱物)を、地域社会の利益にもつながる形で開発・利用していくこと。
ラマポーザ大統領は「G20創設メンバーとして、南アフリカはグローバルサウスとアフリカ大陸の開発課題が、G20の議題に確実に反映されるよう努めてきた」と述べ、アフリカの声を代弁する役割を強調しました。
中国を含むグローバルサウスへの期待
南アフリカの議長国としての取り組みに対し、中国は明確な支持を表明しています。中国外交部の林剣報道官は11月13日の定例記者会見で、南アフリカの議長国としての役割を全面的に支持するとした上で、「多国間主義の擁護、開かれた世界経済の構築、開発協力の推進で各国とコンセンサスを築く用意がある」と述べました。
南アフリカ国際関係・協力相の報道官クリスピン・フィリ氏も、サミットのメディアセンターで、「このサミット全体が、他のアフリカ諸国の利益も反映する場となることを望んでいる。中国政府を含む世界の政府が、この議題を支えてくれると信じている」と語り、中国や他のグローバルサウス諸国への期待を示しました。
観測筋は、ヨハネスブルグのG20サミットが、アフリカの国際的な影響力の高まりを象徴するとともに、中国を含むグローバルサウス諸国が、多国間主義と包摂的な開発をめぐる合意形成で一層重要な役割を果たすことへの期待を映し出していると指摘しています。
米国はサミットを欠席 合意文書を認めず
一方、今回のサミットには米国が参加しませんでした。米国はサミットを欠席するとともに、自国の同意なしにG20のコンセンサスとして提示されるいかなる文書も認めないと表明しました。
この決定について、フィリ氏は水曜日の記者会見で「欠席したまま圧力をかけるようなやり方を、現実的な戦術として認めるわけにはいかない。それは制度のまひと、集団的な行動の崩壊につながる」と警告し、参加しない立場から合意を拘束しようとする姿勢に懸念を示しました。
その一方で、ラマポーザ大統領の報道官ヴィンセント・マグウェニャ氏は、南アフリカに集まった各国首脳によって「サミット宣言は全会一致で採択された」と説明しました。米国の不参加は、G20における「コンセンサス」の意味や、多国間枠組みをどう維持していくのかという問いを改めて突きつけた形となりました。
アフリカ初の議長国から次期議長国へ
南アフリカは2024年12月1日にG20の議長国を引き継ぎ、G20史上初のアフリカの議長国となりました。議長国としての任期の中で、アフリカとグローバルサウスの優先課題をG20の中心テーマとして位置づけてきました。
サミット開催時点では、米国が2025年12月1日にG20議長国を引き継ぐ予定とされていました。議長国がアフリカから米国へとバトンを渡す中で、ヨハネスブルグ・サミットで確認された多国間主義や包摂的成長といったテーマが、どこまで継承されるのかが今後の焦点となります。
私たちはこのニュースから何を考えるか
アフリカで初めて開かれたG20サミットは、単なる開催地の変更以上の意味を持ちました。開発・債務・エネルギー・重要鉱物といったテーマは、日本を含む多くの国の暮らしや経済とも密接に結びついています。
一方で、主要国の一角である米国がサミットに参加せず、合意文書をG20の「総意」として認めない姿勢を示したことは、多国間枠組みの将来に複雑な影を落としています。それでもなお、参加した国々が首脳宣言を全会一致で採択した事実は、地域や立場の違いを超えて協力を模索しようとする動きが続いていることも示しています。
アフリカの存在感が増し、中国を含むグローバルサウスの役割が大きくなる中で、多国間主義はどのようにアップデートされていくのか。今回のヨハネスブルグ・サミットは、その流れを読み解くうえで重要な一歩となりました。
Reference(s):
G20 summit opens in Johannesburg with calls for multilateralism
cgtn.com








