ブラジルのボルソナロ前大統領、2032年に準開放刑移行の可能性
ブラジルのジャイル・ボルソナロ前大統領が、クーデター未遂などで言い渡された27年3カ月の刑期の一部を終えた2032年ごろに、「準開放刑」と呼ばれるより緩やかな拘禁形態へ移行できる可能性があると、ブラジルの法学者らが指摘しています。2025年現在も続く同国の司法プロセスは、民主主義と法の支配をどう守るのかという国際的な関心を集めています。
ボルソナロ前大統領に言い渡された27年3カ月の刑
ブラジルの連邦最高裁判所は、ボルソナロ前大統領に対し、合計27年3カ月の実刑判決を言い渡しました。罪状は主に次の3つです。
- クーデター未遂
- 武装犯罪組織への関与
- 民主的な法の支配を暴力的に廃絶しようとした罪
この判決は、すべての控訴が退けられたことで確定しています。現職あるいは前職の大統領経験者に対し、ここまで長期にわたる刑期が科されるのは、ブラジル現代政治の中でも極めて重い判断といえます。
2032年に準開放刑へ? ブラジル刑法の「25%ルール」
今回の国際ニュースで注目されているのが、ボルソナロ前大統領がいつ「準開放刑」に移行しうるのかという点です。ブラジルの刑の執行を定める法律(刑執行法)では、暴力犯罪で有罪となった受刑者は、刑期の25%を満了した後に、準開放刑への移行を申請できるとされています。
サンパウロ大学(USP)の犯罪学者マウリシオ・ジーター氏によると、27年3カ月の刑期は日数に換算すると約9,945日となり、その4分の1にあたるのは約2,486日です。これはおよそ6年10カ月に相当し、この期間を終えるタイミングが2032年ごろになると試算されています。
つまり、現在服役を続けているボルソナロ前大統領は、条件を満たせば2032年に準開放刑への移行を申し立てる資格を得る可能性がある、というのが法律家たちの見立てです。
ブラジルの「準開放刑」とは何か
準開放刑は、完全に自由になるわけではないものの、通常の刑務所内拘禁よりは外部活動が認められる、より緩やかな拘禁形態とされています。一般的には、
- 決められた施設に夜間は戻る義務がある
- 日中は就労や職業訓練などに従事できる場合がある
- 違反があれば再び厳格な拘禁に戻される
といった特徴を持ちます。もっとも、実際にどのような条件で準開放刑が認められるかは、個別の判断やその時点の法運用によって左右される可能性があります。
ブラジリアの連邦警察本部にある12平方メートルの房
ボルソナロ前大統領は現在、首都ブラジリアの連邦警察本部にある約12平方メートルの房に収容されています。連邦最高裁判事アレシャンドリ・デ・モラエス氏がこの収容を命じた背景には、前大統領が足首につけられた電子監視装置(電子足輪)を外そうとし、逃走を図った疑いが持たれていることがあります。
電子足輪は、被告や受刑者の所在をリアルタイムで監視するための装置で、居場所の逸脱や装置の破壊を試みた場合には、当局から厳しい措置が取られることが一般的です。今回のケースでも、こうした行為が疑われたことで、より厳格な環境への収容が決定された形です。
公職復帰の道は閉ざされたまま
ボルソナロ前大統領は、ブラジルの選挙裁判所の判断により、公職への就任を禁じられています。2019年から2022年までブラジル大統領を務めた人物が、長期の服役と公職資格の剥奪に直面していることは、同国の政治にとって大きな転換点となっています。
長期にわたる服役と政治活動の制限は、ボルソナロ前大統領自身の将来のみならず、ブラジル保守層や支持者の動き、さらに今後の選挙地図にも影響を与えうる要素です。ただし、その具体的な影響がどのような形で現れるかは、今後の政治情勢や世論の動向に左右されることになります。
ブラジル民主主義と法の支配をめぐる視点
今回の一連の判決と収容をめぐる動きは、ブラジルの民主主義と司法の役割を改めて問いかける出来事でもあります。クーデター未遂や民主的な法秩序の暴力的な破壊を重く処罰する姿勢は、法の支配を守ろうとするメッセージとも読み取れます。
一方で、政治指導者への長期刑や厳格な拘禁措置は、国内外でさまざまな評価や議論を呼びやすいテーマでもあります。日本の読者にとっては、
- 民主主義を脅かす行為をどこまで刑事罰で抑止すべきか
- 司法が政治の世界にどの程度まで踏み込むべきか
- 長期の公職資格停止は有権者の選択肢をどう変えるのか
といった点を考えるきっかけにもなるでしょう。ブラジルのケースは、遠い国のニュースでありながら、多くの民主主義国が共有する普遍的な問いを映し出しています。
これから何が焦点になるのか
2032年ごろに見込まれる準開放刑への移行可能性は、今後のブラジル政治と司法の行方を占う一つのタイムラインとなります。
- 刑期の25%を満了した時点で、準開放刑を申請するかどうか
- 申請が認められるかどうかの司法判断
- 服役中・出所後のボルソナロ前大統領を巡る国内政治の反応
2025年のいまは、まだ長い刑期のごく初期の段階にありますが、すでに「2032年」という年が一つの節目として意識され始めています。ブラジルの法制度がどのように運用され、民主主義をめぐる議論がどこへ向かうのか。引き続き注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
Brazil's ex-President Bolsonaro may enter a semi-open regime by 2032
cgtn.com








