ロシアとウクライナ代表がアブダビで接触 米トランプ政権が和平案を仲介
ロシアとウクライナの代表が、アラブ首長国連邦の首都アブダビで極秘裏に会合し、捕虜交換など「非常にデリケートな問題」を協議していたことが明らかになりました。米トランプ政権が主導する新たな和平案をめぐる外交が動き始めるなか、中東の都市アブダビが舞台となったことが注目されています。
アブダビで何が話し合われたのか
ロシア大統領補佐官のユーリー・ウシャコフ氏によると、アブダビにはロシアとウクライナ双方の情報機関の代表が集まり、主に捕虜交換を含む「非常にセンシティブな問題」について協議しました。
その場に、米陸軍長官のダン・ドリスコル氏も現地で合流していたと、米政府当局者が明らかにしています。ウシャコフ氏は、この米側との接触は「予期していなかった」としつつ、何を話したのか具体的な内容には踏み込みませんでした。
- 場所:アラブ首長国連邦・アブダビ
- 参加者:ロシア・ウクライナの情報機関代表、米陸軍長官ダン・ドリスコル氏
- 議題:捕虜交換などの「非常にデリケートな問題」
- 米高官との会談はロシア側によれば「想定外」
トランプ米大統領の28項目和平案との関係
トランプ米大統領は先週、ロシアとウクライナの戦闘終結に向けた28項目から成る和平案を公表しました。この案はその後、ウクライナや欧州の関係者からの働きかけを受け、キーウにより有利な内容へと修正が加えられています。
ただし、ウシャコフ氏によれば、アブダビでの会合ではこの米側の和平案は一切議題にならず、ロシア側もまだ誰とも詳細な協議を行っていないといいます。ロシア側は文書自体は受け取って目を通したものの、「真に綿密な分析と議論」が必要だとして慎重な姿勢を崩していません。
ウシャコフ氏は、提案の中には前向きに評価できる部分もあると認めつつ、「多くの点は専門家による詳細な検討が必要だ」と述べ、容易には受け入れない構えを示しました。
ウクライナの立場:枠組みは支持、核心は首脳会談で
ウクライナ側の当局者は、修正後の和平案の枠組み自体は支持する姿勢を示しています。一方で、最もセンシティブとされる論点については、ウクライナのゼレンスキー大統領とトランプ米大統領が対面する可能性のある首脳会談で最終的に決着させるべきだと強調しています。
米国の動き:モスクワ訪問とクシュナー氏の関与
トランプ米大統領は火曜日、特使のスティーブ・ウィトコフ氏が来週モスクワを訪れ、ロシアのプーチン大統領と会談する予定だと明らかにしました。さらに、イスラエルとハマスの戦闘をめぐるガザでの合意形成に関与したとされる娘婿のジャレッド・クシュナー氏も、この和平プロセスに加わっていると述べています。
これらの人事からは、中東での停戦合意に関わった経験を持つ側近チームを軸に、米政権がロシア・ウクライナ間の停戦仲介でも主導権を握ろうとしている構図が浮かび上がります。
アブダビ会合が示す「小さな変化」
今回のアブダビでのやり取りは、全面的な和平交渉にはまだ遠いものの、いくつかの重要なサインを含んでいます。
- 交戦当事国の情報機関同士が第三国で直接協議したこと
- 捕虜交換という人道的テーマが議題に上ったこと
- 米高官が「想定外」の形で同じ場に現れたこと
- 米国主導の和平案をめぐり、ロシア・ウクライナ・欧州の三者がそれぞれ駆け引きを強めていること
今後の焦点:何を見ていくべきか
2025年12月現在、ロシア・ウクライナをめぐる外交は、新たな段階に入りつつあります。今回のアブダビ会合を受け、今後の注目ポイントを整理します。
- ロシアが米国の28項目和平案に対し、いつ・どのような正式な回答を示すのか
- アブダビで話し合われた捕虜交換が、実際の合意や交換実施につながるか
- ウィトコフ特使のモスクワ訪問で、プーチン大統領との間にどこまで共通認識が生まれるか
- ゼレンスキー大統領とトランプ米大統領の首脳会談が実現するか、その議題に何が盛り込まれるのか
戦闘の長期化で疲弊する中、捕虜の解放のような限定的な合意であっても、現場の兵士や家族にとっては大きな意味を持ちます。一方で、大国間の思惑が絡む包括的な和平案の行方は依然として不透明です。アブダビでの静かな会合が、将来どの程度まで停戦や和平に結びつくのか、今後の一つの試金石になりそうです。
Reference(s):
Kremlin says Russian, Ukrainian representatives met in Abu Dhabi
cgtn.com








