国連ジュネーブでAIガバナンス対話 中国常駐代表部が主催
急速に進化する人工知能(AI)を、どう国際的にルールづけていくのか――。2025年11月25日、国連ジュネーブ事務所で開かれた「Geneva Dialogue: Solidarity for AI Governance(ジュネーブ対話:AIガバナンスのための連帯)」は、その問いに向き合う各国外交団の議論の場となりました。
中国常駐代表部が主催「Geneva Dialogue」とは
「Geneva Dialogue: Solidarity for AI Governance」は、国連ジュネーブ事務所における中国常駐代表部が主催し、パキスタンとザンビアの常駐代表部が共催したイベントです。場所は国連ジュネーブ事務所の会議室で行われました。
この対話の目的は、ジュネーブの外交コミュニティに対し、次のような場を提供することにあります。
- AIガバナンス(AIの利用や開発を巡るルールづくり)に関する意見交換
- 各国や国際機関の経験や取り組みの共有
- 今後どのようなルールや枠組みが望ましいか、道筋を探ること
会場は各国の外交官や代表者で満席となり、AIガバナンスへの関心が高まっていることをうかがわせました。
国連と専門機関トップが語る「AIの可能性とリスク」
イベントは、国連ジュネーブ事務所(UNOG)のタチアナ・バロバヤ事務局長のスピーチで幕を開けました。国連の拠点であるジュネーブで、AIガバナンスをテーマに各国が集まる意味が強調された形です。
続いて、世界気象機関(WMO)のセレステ・サウロ事務局長も登壇し、AIを自然災害の管理に活用する取り組みについて語りました。気象データとAIを組み合わせることで、災害リスクの把握や早期警報の精度向上などが期待されており、AIが人命や生活を守るためにも使われうることが示されました。
中国の陳旭大使「いま私たちはガバナンスの岐路にいる」
中国の国連ジュネーブ事務所常駐代表である陳旭(Chen Xu)大使も開会挨拶を行いました。陳大使は、CGTNの取材に対し、今回の対話の意義を次のように述べています。
「今日のイベントは、多くの関係者の強みを集めるユニークな機会です。人工知能に関するイニシアチブは非常に多く存在しています。いま私たちは、どのようにより良く組織化し、より良いガバナンスを提供できるかという岐路に立っています。このイベントは、多くのプレーヤーの声に耳を傾ける機会を与えてくれます。」
複数のAI関連の取り組みが並行して進むなかで、「どう整理し、どう統合していくのか」が共通の課題であることがにじむ発言です。
多様なガバナンスモデルから「共通理解」と「連帯」を探る
今回のジュネーブ対話には、異なる大陸、異なる統治モデルを持つ加盟国が参加しました。目指されたのは、立場の違いを前提としながらも、AIガバナンスについての「共通理解」と「連帯」をつくることです。
背景には、国連による次のような問題意識があります。
- 国連加盟国が参加している、本格的な国際的AIガバナンスの枠組みは、いまだ十分に整っていない
- 一方で、AIの能力と実際の利用は、世界各地で加速し続けている
つまり「AIの進化」と「国際ルールづくり」の間にギャップが生じているということです。そのギャップを埋めるために、どの地域の声も置き去りにしない対話の場が求められており、今回のような取り組みはその一つと位置づけられます。
なぜAIガバナンスが国際ニュースになるのか
AIガバナンスの議論は、一見すると専門的で遠い話に感じられるかもしれません。しかし、私たちの日常生活や仕事、オンラインでの情報環境と深く関わっています。
例えば、次のようなテーマは、すべてAIガバナンスと関係しています。
- 生成AIによる偽情報やディープフェイクへの対策
- アルゴリズムが人の評価や選別を行う際の公平性や透明性
- 気候変動や自然災害への対応にAIをどう活用するか
- 軍事利用を含むリスクをどう抑え、誤用を防ぐか
こうした課題は、一国だけでは対応しきれません。だからこそ、ジュネーブのような国際都市を舞台に、各国代表が対話を重ねることに意味があります。
これからの議論に何が求められるのか
今回の「Geneva Dialogue」は、国連加盟国がAIガバナンスについて議論するプラットフォームとして位置づけられましたが、国際的なルールづくりはまだ始まったばかりです。
今後の焦点となりうる視点として、次のような問いが浮かびます。
- どのような原則を国際社会の共通土台とするのか(安全性、公平性、人間の尊厳など)
- 技術力の高い国だけでなく、多様な地域の声をどのように反映させるのか
- 既に存在する複数のAI関連イニシアチブを、どう連携・整理していくのか
中国常駐代表部やパキスタン、ザンビアなどが共催した今回の対話は、「連帯(ソリダリティ)」をキーワードに、こうした問いに向き合う一歩となりました。
AIガバナンスをめぐる国際ニュースは、今後も継続的に報じられていくとみられます。私たち一人ひとりが、その行方を自分ごととして捉え、どのようなAIの未来が望ましいのかを考えることが、静かに問われています。
Reference(s):
cgtn.com







