ロンドンV&Aで中国現代クラフト展「Dimensions」 英国初の大規模ショー video poster
ロンドンV&Aで中国現代クラフトの大規模展
2025年12月現在、ロンドン・サウスケンジントンにあるヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)で、中国の現代スタジオクラフトを紹介する大規模な展示「Dimensions」が開かれています。イギリスで中国の現代クラフトをここまで体系的に紹介するのは、これが初めてとされています。
展示「Dimensions」が見せる伝統と革新
「Dimensions」には、中国各地の現代作家によるおよそ80点の作品が集められています。テキスタイル(布の作品)、彫刻、セラミック(陶芸)など、世代もスタイルも異なる多様なクラフトが一堂に会しています。
これらの作品は、V&Aが常設展示する歴史的な工芸品のそばに配置され、過去の名品と現代の表現が並び立つかたちで紹介されています。来館者は、伝統的な技法がどのように現代の美意識や表現と結びついているのかを、歩きながら自然に比較できる構成です。
キュレーター・Li Xiaoxin氏のねらい
キュレーターのLi Xiaoxin氏は、中国各地を巡って5年かけて今回のコレクションを築き上げました。
Li氏は「来館者には、中国を遠い過去の文化だけの国だとは思ってほしくありません。中国の工芸品が元や明、清の時代にだけ輝いていたのではなく、ここ数十年にも非常に創造的な作品が生まれ続けていることを知ってほしいのです」と語ります。
展示全体は、このメッセージを体現するように構成されています。伝統的な素材や技法を受け継ぎながらも、それを再解釈し、現代的なテーマや個人的な感情を表現する作品が中心です。
注目作品「She's Bestowed Love」――女性の「見えない犠牲」を形に
なかでもひときわ目を引くのが、テキスタイル作品「She's Bestowed Love」です。権威ある工芸賞「LOEWE Collection Craft Prize」を受賞したアーティスト、Fanglu Lin氏の手による作品です。
Fanglu氏は、中国南西部・雲南省でBaiという少数民族と共に暮らし、その精緻な絞り染めの技法を学びました。この経験をもとに制作された「She's Bestowed Love」は、表面の美しさの裏側にある、女性たちの「見えない犠牲」をテーマにしています。
Fanglu氏は「この作品は、女性たちのもっとも温かな愛や血についてのものです。私の記憶には家族がいて、母や祖母が私にたくさんの愛を与えてくれました」と語り、自身の家族への思いが作品の核にあることを明かしています。
クラフトは「自己表現のメディア」へ
展示では、陶芸作品も重要な位置を占めています。1980年代以降、中国のアーティストたちは、工芸を自己表現のためのメディアとして捉え直してきました。今回のコレクションにも、その流れの中で生まれたセラミック作品が数多く含まれています。
器やオブジェといった実用と美のあいだにある存在が、作家の個人的な記憶や社会への視線を映し出すキャンバスのような役割を果たしている点も特徴です。
ロンドンから伝わる中国現代クラフトの「今」
イギリス初の大規模な中国現代クラフト展となる「Dimensions」は、国際ニュースとしても注目されています。ロンドンという多文化都市で、中国の工芸が「過去の遺産」ではなく、「現在進行形の創造」として紹介されることで、中国と世界のあいだの文化的な対話を促す試みともいえます。
歴史的な名品と並べて展示される現代作品を前に、来館者は「伝統とは何か」「文化はどう受け継がれ、変化していくのか」といった問いを、自然と考えさせられます。静かながらも深い視点を提供する展示として、今後も議論と関心を呼びそうです。
Reference(s):
London museum opens UK's first major Chinese contemporary craft show
cgtn.com







