トランプ大統領がマドゥロ氏との電話協議認める 高まる米ベネズエラの軍事的緊張
米国のドナルド・トランプ大統領が、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領と最近電話協議を行ったと認めました。一方のカラカスは、カリブ海で進む米軍の動きを「攻撃準備」だと非難しており、2025年12月現在、米ベネズエラ関係の緊張が一段と高まっています。
- トランプ大統領がマドゥロ氏との電話協議を認める
- 米国はカリブ海で軍事展開を拡大、ベネズエラは「攻撃準備」と批判
- 米側は麻薬対策が目的と主張、ベネズエラ側は政権転覆が狙いだと反発
- マドゥロ氏の退陣や亡命、恩赦条件を巡る報道も浮上
- 疑惑の麻薬組織『Cartel of the Suns』を巡り、米国は巨額懸賞金を提示
電話協議の中身は「良くも悪くもない」
今回の電話協議は、2025年12月上旬の現地時間日曜日に行われました。トランプ大統領は大統領専用機エアフォースワンの機内で記者団に対し、マドゥロ大統領とのやり取りについて「うまくいったとも、うまくいかなかったとも言わない。ただの電話だ」と述べ、詳細には踏み込みませんでした。
一方、マドゥロ大統領やベネズエラ政府の高官は、これまでのところ電話協議について公にはコメントしていません。ベネズエラ国民議会(ナショナル・アセンブリー)のホルヘ・ロドリゲス議長は記者会見で電話協議について問われましたが、「きょうの会見のテーマではない」として説明を避け、代わりにカリブ海での米国によるボート攻撃について調査する議会調査を立ち上げると発表しました。
カリブ海で続く米軍展開と「空域閉鎖」発言
米国は今年9月に開始したカリブ海での大規模な軍事展開を拡大しており、ベネズエラへの圧力を強めています。この作戦では、カリブ海周辺に軍艦や航空戦力を展開し、ベネズエラ沖での取り締まりを継続しています。
ワシントンは、この軍事展開の目的を「地域の麻薬取引の抑止」と説明していますが、ベネズエラの首都カラカスは、実際の狙いはマドゥロ政権の打倒にあると強く反発しています。
トランプ大統領は最近、ベネズエラの空域について「閉鎖されている」と警告する発言も行っており、軍事的緊張を連想させるメッセージとして受け止められています。
さらに米国は、ベネズエラに関係するとされる麻薬組織を「テロ組織」に指定し、圧力を一段と強めています。
麻薬対策か政権転覆か 食い違う主張
米国側は、こうした軍事展開や制裁措置が「麻薬取引の取り締まり」を目的としたものだと繰り返し強調しています。特にベネズエラ周辺の海域や空域は、中南米から北米へ向かう違法薬物の経路とされており、その封じ込めが必要だと主張しています。
これに対し、ベネズエラ側は「麻薬対策」を名目にした政権転覆の試みだと非難しています。カラカスは、軍事展開や制裁がベネズエラ国民の生活を圧迫し、国内の政治不安を煽ることを狙ったものだと見ています。
亡命提案と恩赦条件を巡る報道
今回の電話協議を巡っては、米メディアによる複数の報道も相次いでいます。ニューヨーク・タイムズ紙は、トランプ大統領とマドゥロ大統領が会談の可能性について議論したと伝えました。また、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、マドゥロ大統領が退陣する場合の恩赦の条件も話題に上ったと報じています。
米CNNの討論番組「State of the Union」に出演した共和党のマークウェイン・マリン上院議員は、米国がマドゥロ大統領に対し、ロシアなど他国への出国(亡命)の選択肢を提示していると発言しました。こうした報道や発言は、ワシントンがマドゥロ政権の「出口戦略」を具体的に探っている可能性を示唆しています。
『Cartel of the Suns』疑惑と5000万ドルの懸賞金
米国は、マドゥロ大統領が『Cartel of the Suns(太陽のカルテル)』と呼ばれる麻薬組織を率いていると非難しています。一方で、ベネズエラ政府やその支持者たちは、この組織そのものが「存在しない」と主張し、米国の訴追は政治的なものだと反論しています。
米当局は、マドゥロ大統領の逮捕につながる情報に対し最大5000万ドル(約数十億円規模)の懸賞金を提示しており、個人に対する圧力も極めて強いものになっています。こうした巨額懸賞金は、両国間の不信と対立をさらに深める要因となっています。
「陸上での対策」示唆と軍事オプションへの懸念
トランプ大統領はこれまで、公の場でマドゥロ政権打倒のための武力行使を明言してはいません。しかし最近、ベネズエラを巡る麻薬取引への対応について「陸上での取り組みを、非常に近いうちに開始する」と述べ、これが軍事行動の拡大につながるのではないかという懸念が広がっています。
ロイター通信による報道では、米政府内でマドゥロ政権を打倒する試みを含む複数の選択肢が検討されているとされています。また、今年9月の作戦開始から約3カ月にわたり、ベネズエラ沿岸付近で麻薬密輸船とみなされるボートへの攻撃が続いており、米軍が新たな段階の作戦に移行する構えだとも伝えられています。
遠くのニュースを、自分ごととして読むために
南米のベネズエラと米国の対立は、日本を含むアジアの読者にとっては地理的に遠い出来事に見えるかもしれません。しかし、資源価格や国際金融市場、難民・移民問題、さらには「武力を使って政権を変えてよいのか」という国際秩序のルールに関わる議論など、間接的な影響は多方面に及びます。
今回の電話協議は、対話の糸口とも、圧力強化の新たなステップともなり得ます。麻薬対策という名目と、政権転覆の疑念。その間でどのような交渉が行われ、地域の安全保障や国際社会の枠組みにどのような波紋を広げていくのか。動きが加速する米ベネズエラ関係から、今後もしばらく目が離せません。
(本記事の内容の一部は、AFP通信やロイター通信などの報道に基づき整理しています。)
Reference(s):
Trump confirms call with Maduro, Caracas slams U.S. maneuvers
cgtn.com








