トランプ大統領「ウクライナ和平の次の一手は不透明」 モスクワ会談後の本音
ウクライナで続く紛争をめぐる和平交渉の行方が、2025年12月に入って改めて注目されています。ロシアのプーチン大統領と米国の特使によるモスクワでの会談を受けて、トランプ米大統領はウクライナ和平の「次の一手」はなお不透明だと語りました。
モスクワ会談の「手応え」と「不透明感」
報道によりますと、ロシアのプーチン大統領は今月初め、米国の特使スティーブ・ウィトコフ氏と大統領上級顧問のジャレッド・クシュナー氏と、数時間にわたってウクライナ情勢を協議しました。トランプ大統領は、この会談について「かなり良い内容だった」と評価しつつも、その後の展開については「次にどう進むのかははっきりしない」と述べています。
ウィトコフ氏とクシュナー氏は会談後、電話でトランプ大統領に内容を報告しました。プーチン大統領からは「合意をまとめたい」という印象を受けたとされますが、トランプ大統領は「それがどう形になるかは分からない。タンゴを踊るには二人必要だ」と述べ、一方的な努力だけでは和平は進まないという認識を示しました。
トランプ大統領はさらに、ウクライナ側とは「かなりよく練られた内容を持っている」とも語っており、米国として独自の案や枠組みを用意していることをうかがわせています。米特使の二人は、その後フロリダ州マイアミでウクライナ当局者と会談を行う予定だったと伝えられました。
ロシア側:一部の米提案を受け入れつつ慎重姿勢
一方、クレムリンも米国との対話は前向きに評価しています。ロシア大統領補佐官のユーリー・ウシャコフ氏によると、プーチン大統領とウィトコフ氏の会談では、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)への加盟問題も議題となりました。
クレムリン報道官のドミトリー・ペスコフ氏は、プーチン大統領が米側の和平提案を拒否したとの見方を否定し、「一部は受け入れ、一部は受け入れがたいとされた。これは妥協点を探る通常の作業だ」と説明しました。ロシア側は、トランプ大統領の取り組みに謝意を示しつつ、交渉内容の逐一の公表は「建設的ではない」として控える考えも示しています。
ペスコフ氏によれば、現在は専門家レベルでの協議が進行中であり、そこで一定の成果が得られれば、その結果が首脳レベルの接触の土台になるという見通しです。つまり、大枠では対話継続の意思はあるものの、具体的な着地点を探る段階はこれからという状況だと言えます。
ウクライナ側:尊厳ある和平には「ウクライナの利益が不可欠」
ウクライナのゼレンスキー大統領も、日々のビデオ演説の中で今回の動きに言及しました。ゼレンスキー大統領は、自身のチームが米国での会談に向けて準備を進めており、トランプ大統領側との対話を続ける方針だと説明しています。
そのうえで、「ウクライナの利益が考慮されてこそ、尊厳ある和平が可能だ」と強調しました。これは、どのような和平案であっても、当事者であるウクライナの安全保障や領土、主権が十分に守られない限り、受け入れは難しいという立場を示すものです。
流出した「28項目」案と欧州の対案
今回のモスクワ会談の背景には、11月に浮上した米側の和平草案の存在があります。報道によると、米国がまとめたとされる28項目の和平案が流出し、ウクライナや欧州の関係者の間で懸念が広がりました。この草案は、ロシアの主要な要求に沿い過ぎているのではないかとの見方が出ていたためです。
これを受けて、欧州の主要国は独自の対案を作成しました。その後、ジュネーブでの協議を経て、米国とウクライナは紛争終結に向けた和平枠組みを「更新し、洗練させた」とされています。
しかしプーチン大統領は、欧州側の提案はロシアにとって受け入れがたい内容を含んでおり、和平協議を頓挫させかねないと強い不満を示しました。こうした相反する評価が、現在の和平プロセスの難しさを物語っています。
今後の焦点:三つのポイント
今回明らかになった情報をもとに、ウクライナ和平をめぐる今後の焦点を三つに整理します。
- 米ロ間の直接対話は再開・継続しているものの、トランプ大統領自身が「次の一手は不透明」と認めており、具体的なロードマップはまだ見えていないこと。
- ロシアは米提案の一部を受け入れる姿勢を示しながらも、受け入れられない点も多く、現在は専門家レベルで条件をすり合わせる段階にとどまっていること。
- ウクライナと欧州の関係国は、自らの安全保障上の利益が十分反映されるかどうかに強い警戒感を持ち続けており、「尊厳ある和平」をどのように確保するかが大きな課題になっていること。
読者が押さえておきたい視点
クレムリン側の説明からは、ウクライナの将来の安全保障のあり方、とりわけ北大西洋条約機構(NATO)加盟問題が重要な論点の一つになっていることがうかがえます。これは、ウクライナの安全への不安と、ロシアの安全保障上の懸念が正面からぶつかるテーマです。
トランプ大統領が口にした「タンゴを踊るには二人必要だ」という表現は、米ロの交渉だけでなく、ウクライナや欧州を含む複数の当事者が納得しない限り、持続的な和平には至らないという現実を象徴しています。
11月の草案流出、欧州の対案、ジュネーブでの枠組み修正、そして12月初めのモスクワ会談と、和平プロセスは動き続けています。しかし、2025年12月8日時点でも、ウクライナ和平の行方は依然として不透明です。今後予定される米国での対話や各国からの発表が、どこまで具体的な道筋を示せるのかが、国際社会の大きな関心となりそうです。
Reference(s):
Trump says next steps for Ukraine talks unclear after Moscow meeting
cgtn.com








