国連、中央アフリカ共和国の暴力激化に懸念 南東部Mbokiで民間人被害
中央アフリカ共和国の南東部で武力暴力が再び激しさを増し、国連は民間人への影響に強い懸念を示しています。本記事では、国連人道問題調整事務所(OCHA)が明らかにした最新の状況と、その背景にある治安情勢の変化を整理します。
今回のポイント
- 南東部Mboki地域で待ち伏せ攻撃が発生し、複数の民間人が死亡
- およそ1,000人が避難を余儀なくされ、教会に身を寄せる
- 一部地域では治安改善もある一方で、約5万人が人道支援を必要とする状況が続く
南東部Mboki地域での待ち伏せ攻撃
OCHAによると、中央アフリカ共和国の南東部Mboki地域で日曜日と月曜日に待ち伏せ攻撃が発生し、複数の民間人が死亡しました。現地の情報源は、この攻撃により住民の間でコミュニティ同士の緊張が高まり、複数の住宅が焼かれたと伝えています。
暴力の拡大により、およそ1,000人が住居を離れざるをえなくなり、多くが地域のカトリック教会に避難しているとされています。教会は急ごしらえの避難所となっていますが、治安の悪化に加え、通信環境の不備もあり、人道支援の現場へのアクセスは極めて難しい状況だとOCHAは指摘します。
人道支援スタッフも負傷 支援活動への打撃
先週には、現地で活動する地元NGOのスタッフ2人が流れ弾によって負傷しました。彼らは国連人口基金(UNFPA)と協力し、住民に対して食料の支援や保護、さらに水と衛生(いわゆるWASH分野)の支援を行っていました。
人道支援に携わるスタッフが直接被害を受けたことは、治安悪化が支援活動そのものを危険にさらしていることを物語っています。活動が縮小すれば、もっとも脆弱な立場にある人々が支援から取り残されるリスクは一層高まります。
改善と悪化が同時進行 OCHAが見る現状
OCHAは、中央アフリカ共和国の一部地域では状況が改善しているとしながらも、別の地域では暴力の激化により人道ニーズが高まっていると分析しています。現在、およそ5万人が支援を必要としているとされ、今回のMboki周辺での暴力もその一因になっています。
治安が相対的に安定した地域と、依然として武装集団の活動が続く地域が併存する中で、人道機関は限られた資源をどこに、どのような形で振り向けるかという難しい選択を迫られています。
国際危機グループが指摘する「ポケットの不安定」
国際危機グループ(International Crisis Group)は、11月に公表した中央アフリカ共和国に関する報告書の中で、同国全体としての治安は改善しつつあると評価しました。報告書は、国家が存亡の危機にさらされていた状況からは脱しつつある一方で、農村部を中心に不安定な地域が点在していると指摘しています。
そうした地域では、武装勢力が鉱山の利権を巡って支配権を争ったり、単純な略奪行為に及んだりしているとされます。今回OCHAが懸念を示したMboki地域の暴力も、こうした「ポケットの不安定」がもたらす人道危機の典型例だと言えるでしょう。
遠く離れた危機をどう受け止めるか
日本から見ると、中央アフリカ共和国のニュースは地理的にも心理的にも遠く感じられるかもしれません。しかし、約5万人が人道支援を必要とし、1,000人規模の住民が教会に避難せざるをえない状況は、国際社会全体が向き合うべき課題でもあります。
今回の事例からは、次のような論点が浮かび上がります。
- 紛争が「国家崩壊の危機」を脱しても、局地的な暴力は長く続きうること
- 治安の悪さと通信環境の脆弱さが、人道支援の届きにくさを一層深刻にしていること
- 支援スタッフの安全確保と、もっとも助けを必要としている人々へのアクセスをどう両立させるかというジレンマ
国連機関や国際NGO、現地の市民社会は、こうした難題に直面しながら支援を続けています。私たちにできることは限られていますが、世界のどこで何が起きているかを知り、関心を持ち続けることも一つの関わり方です。
中央アフリカ共和国で今起きている人道危機は、「遠い国の出来事」ではなく、国際社会が平和と安定をどうつくっていくのかを問い直す鏡でもあります。
Reference(s):
UN raises concern over rising violence in Central African Republic
cgtn.com







