ベナンでクーデター未遂 タロン大統領「状況は完全に掌握」
西アフリカのベナンで、軍の一部によるクーデター未遂が発生しました。タロン大統領は、治安部隊が反乱を鎮圧し「状況は完全に掌握している」と強調しています。クーデターが相次ぐ西アフリカで、比較的安定とみられてきた国にまで波が及んだ形です。
首都コトヌーで銃声、兵士らが「政権掌握」を主張
タロン大統領の発表によりますと、クーデター未遂は同国最大の都市コトヌーで起きました。日曜日の早朝から、複数の地区で銃声が響き、兵士らが国営テレビに現れて「タロン大統領を解任した」と宣言しました。
これに対し、大統領に忠誠を誓う部隊が直ちに反撃し、重要拠点の奪還に動きました。タロン氏はテレビ演説で「忠誠を守った部隊が持ち場を死守し、最後の抵抗拠点を一つひとつ制圧した」と述べ、政府と治安部隊が主導権を取り戻したと説明しました。
「裏切りは罰せられる」 大統領が厳罰方針
タロン大統領は演説の中で、今回の行動に関与した兵士らを「冒険主義者」だと批判し、「この裏切りが罰を免れることはない」と強い口調で非難しました。
また、クーデター未遂に巻き込まれた被害者や、反乱部隊に拘束されている人々への連帯の意を示しましたが、犠牲者や人質の具体的な人数については明らかにしませんでした。現時点で、死傷者や人質の有無は確認されていません。
政府報道官のウィルフリッド・レアンドル・ウンベジ氏は、日曜日の時点で少なくとも14人が関与の疑いで拘束されていると述べ、詳細な内訳は今後の捜査で明らかにするとしています。
アラサン・セイドゥ内相も、今回の動きを「国家とその制度を不安定化させることを狙った反乱だ」と位置づけ、「ベナン軍とその指導部は状況を掌握し、この企てを未然に防いだ」と強調しました。
ナイジェリア軍が空域を管制、ECOWASとAUも即座に反応
タロン政権の要請を受け、隣国ナイジェリアは空軍戦闘機を派遣し、ベナン上空の管制を引き継ぎました。目的は、国営テレビ局や軍施設に立てこもった反乱部隊を排除する支援を行うためだとされています。ナイジェリア側は、地上部隊も派遣したと説明しています。
西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)とアフリカ連合(AU)は、いずれも即座にクーデター未遂を非難しました。その後の声明で、ECOWASは常設の待機部隊の一部をベナンに即時展開することを決定し、ナイジェリア、シエラレオネ、コートジボワール、ガーナからの部隊が参加すると発表しました。
今回のベナン支援は、西アフリカでの民主的な秩序を守るための取り組みの一環と位置づけられています。
「安定のベナン」でなぜクーデター未遂が
ベナンは西アフリカ南中部に位置し、国土面積はおよそ11万平方キロメートル、人口は約1,400万人とされています。1990年代以降、政治情勢は比較的安定しており、地域の中では平和で治安のよい国というイメージが強い国でした。
同国で最後に成功したクーデターは1972年までさかのぼります。それから半世紀あまり、大きな政変がなかった国で今回クーデター未遂が起きたことは、地域情勢の変化を象徴する出来事とも受け止められています。
一方、西アフリカではここ数年、軍による政権掌握が相次いでいます。ベナンの隣国ニジェールやブルキナファソに加え、マリ、ギニア、そして先月にはギニアビサウでも軍が実権を握りました。ベナンでの未遂は、こうした流れの中で起きた「最新の脅威」となります。
地域の民主主義への揺さぶり
今回のクーデター未遂は、少なくとも現時点ではタロン政権側の勝利に終わった形です。しかし、銃声が響き、国営メディアが一時的に掌握されるという事態が発生したこと自体が、民主的な統治の脆さを示すサインともいえます。
今回の動きが示したのは、次のような点です。
- 地域で「比較的安定」と見られてきた国でも、軍の一部による権力奪取の試みが起こり得ること
- ベナン政府が周辺国や地域機構と連携し、比較的短時間で反乱を抑え込んだこと
- 軍内部の不満や権力闘争が、表面化した場合のリスクが依然として残っていること
ECOWASやAUが迅速に反応したことは、域内でクーデター連鎖を食い止めたいという意思の表れでもあります。一方で、軍が一度行動を起こしたという事実は、今後も政治と軍の関係に注意が必要であることを示しています。
これから注目すべき点
今後の焦点は、まず拘束されている人々の安否と、首都および地方都市での治安回復がどこまで進むかです。犠牲者の有無や被害の全容が明らかになるまでには、なお時間がかかる可能性があります。
また、クーデター未遂に関与したとされる兵士14人への捜査・裁判がどのように行われるのかも、ベナンの法の支配と透明性を測る試金石となります。厳罰だけでなく、なぜ一部の兵士が武装蜂起という選択に至ったのか、その背景をどこまで解明できるかが問われます。
西アフリカでは、治安や経済の不安、若者の就業機会の不足などが政治への不信を生み、それがクーデターや政変に結びつくケースが繰り返されてきました。ベナンが今回の危機をどう乗り越えるのかは、同じ地域に暮らす人々にとっても、今後の方向性を占う重要なケーススタディとなりそうです。
Reference(s):
Benin's president says situation under control after coup attempt
cgtn.com








