カンボジア・タイ国境衝突が拡大 死者10人超と十数万人避難
カンボジアとタイの国境で続く武力衝突が3日目に入り、戦闘が新たな地域に広がっています。少なくとも10人が死亡し、両国あわせて十数万人規模の住民が避難を強いられていると伝えられています。
係争地帯で戦闘が拡大 空爆や戦車も投入
カンボジアとタイの国境では、百年以上続く国境線をめぐる対立が再び緊迫しています。今週月曜日からの衝突に続き、火曜日には戦闘が新たな地域にも拡大しました。
両国は今回の戦闘の責任を互いに非難し合っています。報道によると、タイ側は月曜日、隣国カンボジアに対して空爆を行い、戦車も投入したとされています。
ロケット砲応酬の主張 陸と海で高まる緊張
タイ陸軍第2方面軍は、火曜日の午前6時以降、カンボジア軍がBM-21多連装ロケット砲をタイ側国境内に向けて発射したとソーシャルメディアで主張しました。これに対してタイ軍は反撃を行ったとしています。
また、タイ海軍のパラット・ラッタナチャイパン報道官は記者会見で、タイ南東部トラート県の係争海域で、カンボジア軍の部隊や居住地、兵器基地を複数確認したと説明しました。陸上だけでなく、沿岸部でも緊張が高まっている構図です。
カンボジア側「24時間以上自制した後に反撃」
一方、カンボジア側も自国防衛を強調しています。カンボジア上院議長のサムデック・テチョ・フン・セン氏は火曜日、カンボジア軍は停戦合意を尊重し、住民避難のため24時間以上反撃を控えてきたものの、その後タイ軍に対して反撃を開始したと述べました。
カンボジア国防省のマリー・ソチェータ報道官(中将)は、タイ軍が日曜午後から火曜朝にかけて、重火器やF-16戦闘機、さらに有毒ガスを用いてカンボジア軍の陣地と民間人を攻撃したと非難しています。こうした主張は現時点でいずれも当事者発表に基づくもので、第三者による検証は明らかになっていません。
死者は少なくとも10人 閉鎖される学校と病院
今回の国境衝突による犠牲者は増え続けています。
- タイ軍によると、月曜日以降の戦闘でタイ兵3人が死亡したとされています。
- カンボジア国防省報道官は、カンボジア側で民間人7人が死亡し、20人が負傷したと明らかにしました。
両国の発表を合わせると、少なくとも10人が死亡したことになります。今後、戦闘が続けば、犠牲者はさらに増えるおそれがあります。
タイ側の国境地域では、住民生活にも大きな影響が出ています。タイのメディアによると、国境周辺の県では800校を超える学校が一時閉鎖され、多くの病院も安全確保のために業務を制限しています。
十数万人規模の避難 国境を挟む住民の不安
戦闘の拡大に伴い、両国で避難する住民が急増しています。各国政府の発表を基にすると、その規模は次のようになります。
- タイ政府は、国境沿いの複数の県で約500カ所の一時避難所を設置し、12万5,000人を超える住民を受け入れているとしています。
- カンボジア情報省のネス・ペアクトラ大臣は、プレアヴィヒア、オダーミーンチェイ、バンテイミーンチェイ、プルサットの4州で、5万4,550人が自宅を離れ、安全な地域へ避難したと説明しました。
国境を挟んで、学校や病院の閉鎖、家族の分断、生活の基盤を失う不安など、住民が直面する現実は共通しています。火曜日午前11時時点でも避難は続いているとされ、衝突が長期化すれば、生活再建は一層難しくなります。
国際社会は自制を要請 停戦への道筋は見えず
緊張の高まりに対して、国際社会も懸念を強めています。国連のグテーレス事務総長や欧州連合(EU)、マレーシアの首相は月曜日、双方に対して自制と即時の戦闘停止を呼びかけました。
ただ、両国とも相手側の攻撃を非難しながら自国の対応を正当化しており、停戦に向けた具体的な道筋は見えていません。長く続く国境問題が、局地的な衝突からより大きな軍事的対立へと発展しないよう、外部からの仲介や対話の枠組み作りが問われています。
「歴史の線」がいまを揺らすとき
今回の衝突は、百年以上続く国境線をめぐる対立が、2020年代の今もなお住民の日常を揺さぶり続けていることを映し出しています。地図上の一本の線をどう引くかという問題が、学校の閉鎖や避難生活、そして命の危険として現実化しているからです。
両国から発信される情報はしばしば食い違い、何が起きているのかを一望するのは容易ではありません。それでも、国境の両側で子どもたちが学校に通えず、多くの人々が家を離れざるをえないという事実は共通しています。
緊張が高まるときほど、「勝ったか負けたか」ではなく、どうすれば住民の安全と生活を守りつつ、長年の対立に出口を見いだせるのかという視点が求められます。今回のカンボジア・タイ国境衝突は、その難しさと重要性を静かに突きつけています。
Reference(s):
cgtn.com








