ロシア「Ionozond」衛星システムが飛行試験完了、電離圏観測が本格段階へ
ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスは2025年12月、地球の電離圏(上空の電気を帯びた層)を観測する「Ionozond(イオノゾンド)」宇宙システムについて、4機の衛星による飛行試験が完了したと発表しました。衛星運用が「試験」から「本格稼働(コミッショニング)」へ移る節目で、宇宙天気や上層大気の理解に関わる基盤データの拡充が注目されます。
「Ionozond」とは:電離圏を4機で見る観測網
今回、飛行試験の完了が示されたのは「Ionosfera-M(イオノスフェラM)」と呼ばれる4機の衛星(1〜4号機)です。ロスコスモスによると、これらを含む「Ionozond」システムを使うことで、電離圏で起きる物理過程をより立体的に捉えられるようになるとしています。
電離圏は、通信や測位(GPSなど)に影響を与え得る領域としても知られます。衛星の運用が進めば、現象の“その場観測”の蓄積が期待されます。
何を観測するのか:電磁場の揺らぎからオゾン分布まで
発表で挙げられた主な観測・分析対象は次の通りです。
- 電離圏の構造
- 電磁場の変動(揺らぎ)
- 地球大気の組成
- 上層のオゾン分布
- 放射線環境のモニタリング
特に「放射線環境の監視」は、宇宙空間での機器運用や観測の安定性にも関わるテーマで、継続的なデータ取得がどこまで進むかが焦点になりそうです。
打ち上げの経緯:2024年11月と2025年7月に2機ずつ
「Ionosfera-M」衛星は、2回に分けて軌道投入されました。
- 2024年11月:1号機・2号機をソユーズ2.1bで打ち上げ(ボストーチヌイ宇宙基地)
- 2025年7月:3号機・4号機を同じくソユーズ2.1bで打ち上げ(ボストーチヌイ宇宙基地)
そして2025年12月に、国家委員会が飛行試験の終了を決定し、次段階として「コミッショニング(運用開始に向けた立ち上げ段階)」へ進むと説明されています。
「試験完了」から何が変わる?:観測の継続性と使われ方
飛行試験の完了は、衛星が想定した機能・運用の枠組みで動作することを確認し、観測を計画的・継続的に進める段階へ移る合図でもあります。今後のポイントは、
- 4機を組み合わせた観測が、どの頻度・範囲で継続されるか
- 電離圏や上層大気のデータが、研究コミュニティでどう活用されるか
- 放射線環境モニタリングが、どの指標で提示されていくか
といった「データが日常的に積み上がるフェーズ」に入れるかどうかです。宇宙は“打ち上げて終わり”ではなく、運用の積み重ねで価値が決まる領域でもあります。
ロスコスモスは今回、「Ionozond」システムによって電離圏の研究が前進するとしています。2025年後半に揃った4機体制が、どのような観測成果として形になるのか、今後の運用情報とデータ公開の動きが注目されます。
Reference(s):
Russia completes flight tests for 'Ionozond' satellite system
cgtn.com







