アプリ開発者がEUにアップル手数料是正を要請 DMA違反を主張
アップルのアプリ手数料をめぐり、欧州の開発者や消費者団体が欧州連合(EU)に厳格な法執行を求めています。巨大テック企業のビジネスモデルと、デジタル市場の公正さをどう両立させるかが、あらためて問われています。
欧州の開発者・消費者団体が「行動を」と要請
今週火曜日、欧州のアプリ開発企業や消費者団体など20の団体からなる連合が、欧州の規制当局に対し、アップルの手数料慣行にEU法を適用するよう求める声明を出しました。
連合は、アップルがアプリ内課金や外部決済に課す手数料の仕組みが、米国の開発者に比べて欧州の開発者を不利な立場に置いていると主張しています。その背景には、最近の米国での裁判所判断により、アップルが米国の開発者に対しては外部決済への手数料を制限されている一方、欧州では依然として高い負担が残っているという認識があります。
デジタル市場法(DMA)とは何か
問題の核心にあるのが、2023年に施行されたEUのデジタル市場法(Digital Markets Act=DMA)です。DMAは、アップルのように「ゲートキーパー(門番)」と指定された巨大プラットフォームに対し、自社のエコシステムの外で行われるアプリ内取引を、追加の手数料なしで利用できるようにすることを義務づけています。
今年、欧州委員会はアップルが開発者に対し、利用者を他の支払い方法へ誘導することを妨げていたとして、DMA違反を認定し、5億ユーロ(約5億8800万ドル)の制裁金を科しました。
アップルの新手数料と開発者側の不満
EUの決定を受けて、アップルは利用規約を変更し、アプリストアでの購入に対する手数料を、小規模事業者向けで13%から、大規模な事業者向けに20%までの範囲で設定しました。さらに、アプリストアの外で行われる決済についても、5〜15%の追加手数料を課す新たな仕組みを導入しています。
アップルに対して提言を行っている業界団体「Coalition for App Fairness(CAF)」は、これらの新手数料もDMAの趣旨に反すると主張します。CAFにはDeezerやProtonなどが参加しており、「無料であるべき外部決済に事実上の『通行料』を課している」と批判しています。
CAFによると、欧州委員会がアップルの政策をDMA違反と宣言してから約半年が経過した現在も、欧州の開発者は不利な状況に置かれたままだといいます。
「無料は無料だ」開発者側の声
CAFでグローバル政策顧問を務めるジーン・バラス氏は、「欧州委員会には、法律は法律であり、『無料』とは文字通り無料を意味するのだとアップルに伝えてほしい」と語っています。
バラス氏は、欧州の開発者はこれらの手数料コストを自ら負担するか、利用者への価格に転嫁するかの選択を迫られていると指摘し、「欧州企業にとっても、欧州の消費者にとっても良くない」と述べました。
CAFは声明で「現在の状況は持続不可能であり、アプリ経済に深刻な損害を与えている」とし、アップルのやり方が透明性を損ない、イノベーションを抑え込んでいると訴えています。
来年1月の「追加変更」は不透明なまま
アップルは、来年1月にさらなるポリシー変更を行うと表明していますが、その具体的な内容はまだ明らかにしていません。このため、開発者の間では「どのような条件でビジネスを続けられるのかが見えない」との不満も高まっています。
EU側はすでに制裁金という形でDMAの執行に踏み出しましたが、開発者側は「法律の趣旨に沿った実質的な是正が行われていない」とみており、今後の規制当局の対応が注目されています。
静かに考えたい3つのポイント
今回のアップルとEUをめぐる動きは、巨大プラットフォームとアプリ開発者、そして利用者との関係をあらためて考えさせます。論点を3つに整理してみます。
- 誰が「取引の価値」を取るのか:アプリ内課金が生み出す利益を、プラットフォームと開発者がどう分け合うべきなのかという、根本的な問いがあります。
- 手数料はインフラの対価か、参入障壁か:決済や配信の基盤を提供するコストとしての手数料と、競合や代替手段を抑え込むための仕組みとの境界はどこに引けるのかが問われています。
- 地域間で条件が違うことの意味:米国とEUで開発者の条件が異なる場合、どの地域でビジネスを優先するのか、企業の戦略にも影響が及びます。
2023年のDMA施行以降、EUは「デジタル市場のルールメーカー」としての存在感を強めつつあります。アップルの手数料問題は、その実効性を測る一つの試金石になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








