米上院、民間宇宙飛行士アイザックマン氏をNASA長官に承認
米上院は現地時間2025年12月17日(水)、民間宇宙飛行士で実業家のジャレッド・アイザックマン氏(42)を、ドナルド・トランプ大統領のNASA(米航空宇宙局)長官として承認しました。NASAが予算削減圧力と「月から火星へ」という長期目標の両立を迫られる中での人事となります。
アイザックマン氏とは:民間宇宙飛行士からNASAトップへ
アイザックマン氏はオンライン決済処理で財を成したビリオネアで、宇宙への強い関心を公言してきました。SpaceXのミッションで2回飛行し、2024年には民間宇宙飛行士として初めて宇宙遊泳を行った人物だとされています。火星ミッション推進の提唱者でもあり、SpaceXのイーロン・マスクCEOの元関係者でもある、と伝えられています。
なぜ今注目?「予算」と「優先順位」が同時に動く局面
今回の承認が注目されるのは、NASAが同時に複数の大きな課題を抱えているためです。報道によれば、NASAは大幅な予算圧力の中で、月探査(アルテミス計画)と将来の火星到達という目標をどう設計し直すか、判断を迫られています。
報じられている削減規模:人員2割、予算は2026年に大幅減の可能性
- ホワイトハウスは「政府効率化」推進の一環として、NASAの人員を20%削減
- NASAの2026年予算を、通常の約250億ドルからおよそ25%削減する方針を模索
- 多数の宇宙科学プログラムが影響を受けうる、との懸念が科学者や一部当局者から出ている
アイザックマン氏の構想:アルテミスと火星を両にらみ、民間活用を拡大
アイザックマン氏は、アルテミス計画と並行して火星ミッションへの焦点をより鮮明にしつつ、SpaceXなど民間企業への依存を高めることで、納税者負担の抑制と民間競争の促進を図る構想を示しているとされます。
宇宙開発は、国家主導の大型計画と、民間のスピード感・コスト競争が交差する分野です。NASA長官には、技術の安全性、長期の研究投資、そして政治・財政の現実をつなぐ調整役が求められます。
議会側の視点:科学部門削減への懸念と、それでも承認に賛成した理由
NASAを所管する上院商務委員会の筆頭理事であるマリア・キャントウェル上院議員は、トランプ政権によるNASAの科学部門削減の動きを批判してきた一方で、今回の承認では賛成に回ったとされています。
キャントウェル氏は、指名手続きの過程でアイザックマン氏が「将来の科学者、技術者、研究者、宇宙飛行士を育てるパイプラインの重要性」を強調したとして、「強く同意する」と述べたと報じられました。
指名は二転三転:2024年選挙後に指名→2025年4月に撤回→11月に再指名
経緯も異例です。トランプ政権は2024年選挙後にアイザックマン氏を最初に指名したものの、2025年4月にいったん撤回し、11月に再指名したとされています。宇宙政策が、政権の優先順位や財政方針と強く連動していることをうかがわせます。
これから何が焦点になる?3つのチェックポイント
- 科学ミッションの行方:削減圧力の中で、どのプログラムを守り、どこを見直すのか
- 月(アルテミス)と火星の優先順位:ロードマップが「前倒し」されるのか、「再設計」されるのか
- 民間企業との役割分担:コストとスピードを得る代わりに、ガバナンスやリスク管理をどう担保するか
なお、暫定的にNASAを率いてきたショーン・ダフィー氏(米運輸省長官も兼務)はXで、アイザックマン氏に祝意を示し「就任の成功」を祈ったと伝えられています。
Reference(s):
U.S. Senate confirms private astronaut Jared Isaacman to lead NASA
cgtn.com








