米国がNATO向け軍事売却を承認 スティンガーミサイル延命に約1億3610万ドル
米国がNATO(北大西洋条約機構)向けに、地対空ミサイル「スティンガー」の寿命を延長するための軍事売却案を承認しました。総額は約1億3610万ドルに上り、NATOの防空力と即応態勢を高める動きとして注目されています。
何が決まったのか:スティンガー延命で約1億3610万ドル
米国防安全保障協力局(Defense Security Cooperation Agency、DSCA)は木曜日、NATOへの対外軍事売却の可能性を承認したと発表しました。対象となるのは、スティンガーミサイルの寿命延長を目的とした各種装備や技術支援で、推定額は約1億3610万ドルとされています。これは、以前示されていた約5070万ドルから大きく増額された形です。
今回の軍事売却は、NATO支援・調達機関(NATO Support and Procurement Agency)が、ドイツ、イタリア、オランダを代表して米側に要請していたものです。同機関は、スティンガーの寿命延長プログラムを管理しており、加盟国に代わって調達や管理を行っています。
承認された内容には、次のような装備やサービスが含まれます。
- 追加のブースター・ペレット
- フライトモーター
- ガス発生装置カートリッジ
- スティンガーミサイルの弾頭部分
- 米政府および請負企業による技術・工学・その他関連支援
NATOの防空力と即応態勢をどう高めるのか
DSCAは声明で、今回の売却案について、米国とNATOの防衛目標に貢献し、同盟国の防空能力を高めると強調しています。特に、加盟国の部隊をすぐに戦力化できる「即応態勢」の向上が狙いとされています。
声明によれば、ドイツ、イタリア、オランダの軍は、今回提供される装備を自国の部隊に無理なく統合できると見込まれています。すでにスティンガーミサイルを運用している国々にとって、寿命延長のための部品や技術支援を一括して確保できることは、運用の継続性と効率性の両面で意味があります。
今回の動きを整理すると、次のようなポイントが見えてきます。
- 既存のミサイルを長く使えるようにすることで、防空態勢の空白を減らす
- 複数の加盟国がNATOの枠組みを通じて共同調達することで、調整や管理を簡素化する
- 米国と欧州の同盟国との間で、防空分野の協力関係を改めて確認する機会となる
スティンガーミサイルとはどんな兵器か
スティンガーミサイルは、米防衛企業レイセオンが製造する地対空ミサイルシステムです。同社によると、このミサイルは軽量で自己完結型の防空システムであり、地上部隊が迅速に展開できることが特徴とされています。
自己完結型という説明からは、射撃に必要な機能が一式として備わり、外部の大型装置に依存せずに運用できる構造がイメージされます。こうした機動性の高い防空システムは、部隊が展開する地域で素早く防空網を築くうえで価値があると考えられます。
新規調達ではなく「延命」を選ぶ意味
今回の軍事売却案の焦点は、新しい兵器の導入ではなく、既存のスティンガーミサイルを長く使うための「寿命延長」です。この選択には、いくつかの含意があります。
- すでに運用中の装備を活かすことで、部隊の訓練や運用方法を大きく変えずに戦力を維持できる
- 新システムの導入と比べ、時間や費用の面で効率的になりやすい
- NATO全体で同じ種類の装備を維持・延命することで、連携しやすい防空網を保ちやすくなる
NATO支援・調達機関が複数の加盟国を代表して要請し、米国がそれに応じるという構図は、同盟内での負担の分担や装備の標準化が静かに進んでいることも示しています。こうした動きが、今後どの程度の規模とスピードで続いていくのかが、一つの注目点と言えそうです。
今回の承認は、まだ「可能な対外軍事売却」としての段階にありますが、金額の大幅な増額や対象国の顔ぶれからは、米国とNATOが防空と即応態勢の強化を重視している姿勢がうかがえます。スティンガーミサイルという既存の兵器をどう活用し続けていくのか。その一つの答えが、寿命延長というかたちで示されたと言えるでしょう。
Reference(s):
U.S. approves possible military sale to NATO worth $136 million
cgtn.com








