ローマ「トレビの泉」間近で観覧は有料へ 2026年2月から€2、混雑対策
ローマ市は、観光客が「トレビの泉」の至近距離エリアに入る際、2026年2月1日から€2の入場料を導入します。世界的な観光地で深刻化するオーバーツーリズム(観光過密)に、現場運用で歯止めをかける狙いです。
何が変わる?「見えるけれど、近づくにはチケット」
トレビの泉は公共広場にあるため、離れた場所からの見学はこれまで通り無料です。一方で、噴水のすぐ前に設けられる「近接エリア」への入場は、チケットを持つ人に限られます。
- トレビの泉(近接エリア):€2
- 市内の他の5カ所:各€5
- ローマ住民:無料
ローマ市のロベルト・グアルティエーリ市長は会見で、「2月1日から、首都の6つの場所で有料チケットを導入する」と説明しました。
背景:密集で“動けない”広場、スリ対策も
18世紀のバロック様式の傑作として知られるトレビの泉は、映画『甘い生活』の象徴的シーンの舞台でもあり、ローマ観光の“定番中の定番”です。願い事をしてコインを投げ入れる慣習も根強く、回収されたコインは慈善団体カリタスへの寄付に充てられているとされます。
ただ、人気の裏側で問題も積み上がってきました。市長は、膨大な人数が生む「グリッドロック(身動きが取れない混雑)」を挙げ、原因として「オーバーツーリズムという有名な問題」を指摘。近接エリアはスリの標的にもなっており、市当局は長年、アクセス制限の方法を検討してきたといいます。
現地では、警備員が笛で人の流れを調整し、噴水の水を飲む行為などのルール違反を防ぐ場面も見られたと伝えられています。
数字で見る「トレビの泉」— 2025年は1日平均3万人
市長によると、2025年1月1日から12月8日までに、噴水のすぐ前のエリアだけで約900万人が訪れました。単純平均で1日あたり約3万人にのぼります。写真撮影のためにスマートフォンを掲げる人々で広場が埋まり、「見る」以前に「立ち止まれない」状況が起きやすいことがうかがえます。
チケットはどう買う?「事前購入」と「現地購入」で列を分ける
チケットはオンラインまたは現地で購入可能で、支払いはカードなどのタッチ決済(非接触決済)に対応するとされています。運用面では、
- すでにチケットを持っている人の列
- その場で購入する人の列
を分け、滞留を減らす設計にします。市庁舎は、トレビの泉のアクセスチケットだけで年間€650万の収入を見込むとしています。
「無料であるべき」も—広がる“観光地の料金設計”
訪問者の受け止めは一様ではありません。ベビーカーを押しながら列に並んでいた湾岸地域からの観光客は「良くないと思う。無料であるべきだ」と話したとされ、韓国からの観光客は「再び訪れるかは考える必要がある」と述べたと伝えられています。
一方で、イタリアでは文化財・観光地の料金導入は前例があります。パンテオン(教会であり、元は古代ローマの神殿)は2023年に有料化。またベネチアでは、昨年(2024年)、繁忙期に観光客向けの入域料金を導入したとされています。今回のローマの施策も、「見学の自由」と「現場の安全・混雑緩和」をどう両立させるかという、都市観光の共通課題の延長線上にあります。
トレビの泉は“誰でも見られる広場の景色”であり続ける一方、最前列は予約・決済というデジタルな入口を持つことになります。混雑が減って体験が良くなるのか、それとも“気軽さ”が損なわれるのか。2026年2月の運用開始後、現場の変化が注目されます。
Reference(s):
cgtn.com








