オーストラリアのボンダイビーチで起きた銃撃事件を受け、アルバニージー首相が2025年12月22日(現地時間)、国内のユダヤ人コミュニティに謝罪しました。同時に、ヘイトスピーチ対策を強化する新たな法整備を進め、2026年に連邦議会へ提出する方針を示しています。
何が起きたのか:ハヌカ行事で15人死亡
発表によると、事件は12月14日、シドニーのボンダイビーチでユダヤ教の祭り「ハヌカ」を祝うイベント中に発生し、15人が死亡しました。首相は記者会見で、この出来事に対して「責任の重みを感じている」と述べ、「ユダヤ人コミュニティと国家全体が経験したことに対して申し訳ない」と語りました。
首相のメッセージ:「分断」が狙いなら、社会はどう応えるか
首相は、事件の実行犯を「イスラム国に触発されたテロリスト」とし、社会の分断を招くことが相手の狙いであるなら、それを許さないという趣旨の考えを示しました。政府としてユダヤ系オーストラリア人を「毎日」守るために動く、とも述べています。
新法の柱:ヘイトスピーチ罰則強化と「動機」の重視
首相によれば、内閣は事件後2回目となる会合をこの日開き、ヘイトスピーチとその影響に対処するための法案パッケージを進めることで合意しました。2026年に連邦議会へ提出予定とされています。
示された主な内容(政府発表ベース)
- ヘイトスピーチに対する既存の刑事罰を引き上げ
- 犯罪の量刑判断で「ヘイトに基づく動機」を考慮要素に
- 暴力を促すヘイトスピーチや、憎悪のシンボルの表示に関与した人物について、内務担当大臣がビザ取消権限を行使できる枠組み
- 大人が子どもを影響下に置き、過激化(ラディカル化)させようとする行為に対し、新たな加重類型の犯罪を導入
「子どもの過激化」に強い危機感:数字が示す現状
ローランド司法長官は会見で、2001年以降にテロ関連罪で有罪となった120人のうち10人が子どもだった一方、現在、裁判所でテロ関連の罪に問われている33人のうち17人が未成年だと説明しました。司法長官は「前例のない若年層の過激化は止めなければならない」とし、子どもが憎悪やテロに引き込まれる状況を許さない姿勢を強調しています。
今後の焦点:超党派協議と「急ぐほど、粗くしない」設計
首相は、新法について連邦議会全体で協議し、緊急性と社会の一体感の両方を確保したい考えを示しました。ヘイトスピーチ規制は、表現の自由や運用の線引きとも近接するテーマです。どの行為をどこまで対象にし、どの権限を誰がどう使うのか――今後の議論は、被害抑止と権利保護のバランスをどう取るかに集約していきそうです。
年末を前に、社会の安全と共存をどう守るのかという問いが、オーストラリアで改めて突きつけられています。
Reference(s):
Australian PM apologizes to Jewish community over Bondi Beach shooting
cgtn.com








