スペイン「エル・ゴルド」総額約32.6億ドル 山火事被害のレオンに“年末の光”
スペインの年末の風物詩「クリスマス宝くじ(エル・ゴルド)」がこのほど行われ、総額約32.6億ドルの賞金が各地に分配されました。とりわけ、2025年に山火事で大きな被害を受けたレオン県で最高賞「エル・ゴルド(El Gordo、直訳で“太っちょ”)」の当選者が多く出たことが、現地で話題になっています。
山火事の夏を越えたレオン県に、思いがけない朗報
レオン県は、今年(2025年)の夏に山火事で“荒廃した”とされ、地域に重い空気が残っていました。そんな中で最高賞の当選が相次ぎ、ラジオ局カデナ・セール(Cadena SER)に対し、当選者のローラさんは次のように語ったと伝えられています。
「山火事でひどい夏を過ごした後なので、本当に感情があふれてしまって……圧倒されています。信じられない」
復旧には時間がかかる一方で、年末に届いた“現実の手触りがある”ニュースとして、地域の気持ちを少し持ち上げた格好です。
今年の賞金総額は増加、国民的イベントは変わらず
この宝くじは国営で、今年の賞金総額は昨年の約31.8億ドルから増えて約32.6億ドルになりました。賞金が増えること自体は景気や販売状況など複数の要素が絡みますが、少なくとも「今年も例年通り、国中が注目するイベントとして成立した」ことを示しています。
マドリード王立劇場での生中継、200年以上の伝統
抽選はマドリードのテアトロ・レアル(王立劇場)で全国中継され、サン・イルデフォンソ学校の児童が、2つの回転する球体から番号を引く伝統的な方法で進められました。この様式は200年以上前にさかのぼるとされ、スペインでは「ここから祝祭シーズンが始まる」と感じる人も少なくありません。
会場には入場のために長時間並ぶ人が出て、サンタ帽や地域衣装、個人的なお守りなど、思い思いの“験担ぎ”も目立ったといいます。
会場では一時中断も 「日常の儀式」と「社会の現実」が交差
一方で、抽選は一時的に中断しました。劇場内で少人数の抗議者が立ち上がり、パレスチナ支持のスローガンを叫んだためです。その後、式典は再開されました。
家族行事のように見える国民的イベントにも、社会の緊張や国際情勢への関心が持ち込まれる——。今年の抽選は、そんな「現代の空気」を短い場面として映し出したともいえます。
「みんなで買う」文化が熱狂をつくる
エル・ゴルドが特別なのは、当選金額の大きさだけではありません。抽選までの数週間、スペインでは宝くじの話題が日常に入り込みます。
- 家族や友人、職場仲間でお金を出し合って共同購入する
- 「当たりやすい」と信じられる縁起の良い売り場に並ぶ
- 番号にまつわる個人的な物語(誕生日、記念日など)を重ねる
販売業者団体アナパル(Anapal)によると、スペイン人は平均で約78ドルをエル・ゴルドに使うとされています。よく売れるのは「デシモ(decimo、10分の1口)」と呼ばれる形で、価格は約23ドル。このデシモの保有者は、当選した場合に賞金の10%を受け取ります。
被災地に届いた“現金の祝福”が意味するもの
宝くじは偶然の産物で、復旧や防災そのものを置き換えるものではありません。それでも、山火事の記憶が生々しい2025年末に、レオン県の複数の住民へまとまった資金が流れ込むことは、個々の生活再建に直接つながり得ます。祝祭の高揚感と、厳しい現実の中での切実さが同居するのが、今年のエル・ゴルドの輪郭なのかもしれません。
Reference(s):
Spain's Christmas lottery prizes brings cheer to wildfire-hit Leon
cgtn.com








