被爆者団体が「核兵器保有」発言に抗議 非核三原則の堅持求める
被爆80年の節目となる2025年、首相・高市早苗氏の周辺で安全保障政策に関わる当局者が「核兵器を保有すべきだと思う」と発言したと報じられ、長崎・広島の被爆者団体や市民団体から強い反発が広がっています。議論の焦点は、被爆の経験に立脚してきた「非核三原則」を、政治がどう位置づけ直すのかにあります。
何が起きたのか:12月18日の発言が波紋
報道によると、当該の安全保障担当の当局者は12月18日、記者団に対し日本の核兵器保有に前向きな趣旨の発言をしました。これを受け、被爆地を中心に「被害の記憶を踏みにじる」「核抑止に依存する安全保障を固定化しかねない」といった懸念が相次いで表明されています。
長崎:被爆者4団体が「受け入れられない」と抗議
今週水曜日、長崎の被爆者4団体の代表者が記者会見で抗議声明を発表しました。声明では、核兵器の保有・製造・持ち込みを認めない「非核三原則」を政府として堅持するよう求めたとされています。
さらに、核武装を支持する議論は「被爆者が苦難の時代から歩んできた80年の道のりを踏みにじるもので、到底容認できない」と訴え、核抑止力に依拠する安全保障政策の転換も促しました。
長崎平和運動センター被爆者連絡協議会の川添タダ子氏は、こうした発言が「国際社会の中で日本を孤立させかねない」と警鐘を鳴らし、高市氏自身が核兵器保有の考えを退けるべきだと述べたと報じられています。
また、長崎原爆被害者協議会の田中重光氏は「日本が核の加害者になってはならない」という趣旨で、そうした流れを抑える必要性を強調しました。
広島:複数団体が相次ぎ声明、「NPTの枠組み」での役割にも言及
今週月曜日には、広島でも被爆者団体が会見を開き、発言への懸念を示しました。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中聰司氏(81)は、当該発言について「『平和国家』としての80年の積み重ねを損なう」と述べ、日本の立場を再確認すべきだと訴えたと報じられています。
別の被爆者団体「広島被団協」も声明で、発言は非核三原則に反し、日本が核不拡散条約(NPT)の枠組みの中で「橋渡し役」を果たす可能性を狭めるとして、強く抗議しました。声明は「核兵器の脅威を避ける唯一の道は廃絶だ」とし、非核三原則を守るだけでなく、法制化を求めたとされています。
市民団体「ヒロシマ核兵器廃絶運動(HANWA)」も、被爆者の声に向き合うなら出てこない言葉だとして批判。さらに、別の団体は政府に対し、発言の撤回と発言者の更迭を求める抗議文書を送ったと報じられました。
背景:非核三原則と「核抑止」をめぐる、重い言葉の意味
非核三原則(持たず、作らず、持ち込ませず)は、日本の戦後の安全保障と倫理の議論で繰り返し参照されてきました。一方で、現実の安全保障では「核抑止(核で攻撃を思いとどまらせる考え方)」が語られる場面もあります。
今回の反発が示しているのは、単なる賛否の対立というよりも、次のような問いです。
- 被爆80年の記憶を、政策議論の中でどう位置づけるのか
- 抑止力を語る言葉が、被爆地の経験とどう接続されうるのか
- 日本が国際的な核不拡散の枠組みで担う役割を、どう描き直すのか
発言が「個人の見解」にとどまるのか、政策形成の現場の空気を映したものなのか。そうした点も含め、政府側の説明の仕方が、今後の議論の温度を左右しそうです。
Reference(s):
A-bomb survivors' groups denounce Japan's 'nuclear arms' remark
cgtn.com








