米監察報告:F-35の稼働率は2024年50%、整備不備で基準未達
米国防総省の監察総監室(OIG)がまとめた報告書によると、F-35戦闘機は2024年、飛行可能な状態でいられた時間が「全体の半分程度」にとどまり、求められる最低基準を下回りました。整備(サステインメント)をめぐる管理の甘さが、戦力の即応性にそのまま跳ね返る形です。
何が指摘されたのか:稼働率50%、基準を17ポイント下回る
OIGの報告書が示したポイントは、数字のインパクトが大きいものです。
- 2024年のF-35稼働率(可用性):50%
- 最低要求水準との差:17%(17ポイント)不足
- 低稼働でも国防総省が支払った金額:約17億ドル(金銭的ペナルティなし)
報告書は、稼働率が低迷した背景として、国防総省側がロッキード・マーチンに対し、F-35の整備に関連する「不十分なパフォーマンスの責任を常に問えていなかった」点を挙げています。契約上の義務があるにもかかわらず、監督が十分でなかったという整理です。
「整備の弱さ」が作戦能力に直結する理由
戦闘機は、製造して引き渡せば終わりではありません。飛行隊が日々の任務に出られるかどうかは、部品供給、点検・修理の回転、整備計画、記録管理など「継続運用の仕組み」の出来で決まります。
OIG報告書は、低稼働という結果だけでなく、低稼働でも支払いが行われ、財務上の不利益(ペナルティ)が科されなかった点を問題視しました。パフォーマンスと対価の結びつきが弱いと、改善の速度が上がりにくい——そんな構図が透けます。
納入遅延とコスト増:別の「足かせ」も同時進行
整備の課題に加え、納入の遅れとコスト増も並行して指摘されています。米政府説明責任局(GAO)が9月に公表した報告では、ロッキード・マーチンとエンジンメーカーのプラット・アンド・ホイットニーによる納入遅延が目立ったとされます。
- 2023年に納入された機体の多くが遅延(平均61日)
- 2024年に納入された100機超がすべて遅延(平均238日)
さらに報告書によれば、F-35計画の調達コストは2023年12月時点で4850億ドル超に達し、2022年12月時点の見積もり(4420億ドル)から約10%増。2001年時点の当初見通しからは「2倍超」とされています。
調達国・運用国にも波紋:計画の見直しや環境要因の懸念
報告書は、カナダ、スイス、スペインなどがF-35の調達計画を見直したり、縮小・中止したりした動きにも触れています。機体そのものの性能以前に、複雑な整備体制が同盟国の即応性に影響しうるという論点が、ここで現実味を帯びます。
また英国の報道として、英国空軍のF-35B 3機が、塩分濃度が高く高温多湿で紫外線も強い環境に長期展開した後、内部腐食の可能性への懸念から米国に送られて検査を受けることになった、と伝えられました。運用環境の厳しさが、維持整備の難度をさらに押し上げる局面もありそうです。
今後の焦点:監督の強化と「支払いの設計」は変わるか
今回のOIG報告書が突きつけたのは、技術課題だけではありません。むしろ焦点は、
- 国防総省が契約上の枠組みの中で、どこまで実効性ある監督を行えるか
- 稼働率などの成果と支払い・ペナルティをどう結びつけ直すか
- 納入遅延と整備難の「同時発生」をどう収束させるか
という制度設計の部分にあります。高価で複雑な装備ほど、買った後の運用が難しくなる——その現実に、米国の監察報告が改めて光を当てた形です。
Reference(s):
cgtn.com








