タイとカンボジア、国境衝突で停戦合意 正午発効の共同声明
タイとカンボジアが、国境地帯で続いてきた衝突を止めるため、現地時間の正午(12:00)から停戦に入る共同声明に署名しました。12月上旬から再燃した衝突で多数の死傷者と大規模避難が報じられる中、現場レベルの行動を縛る「具体策」が盛り込まれた点が注目されます。
共同声明は「正午から停戦」──第3回の特別会合で署名
共同声明は、タイ側国境のチャンタブリー県で開かれた第3回特別・国境総合委員会の会合で署名されました。署名したのは、タイのナットポン国防相と、カンボジアのティア・セイハ副首相兼国防相です。
停戦の要点:「部隊の現状維持」と「相手側への接近をしない」
会合後の記者会見で、ナットポン国防相は共同声明の要点として、次のような枠組みを挙げました。
- 双方が現在の部隊配置を維持し、追加の移動を行わない
- 相手側の陣地に向けた部隊移動や巡回(パトロール)を行わない
「停戦」と一口に言っても、現場では小さな接触が起点になりやすいだけに、行動の線引きを明確化する狙いが読み取れます。
72時間の監視と「拘束された兵士18人」の扱い
停戦は72時間にわたり監視されるとされ、ナットポン国防相は「状況が安定すれば、住民が安全に帰還できる」と述べました。そのうえで、状況が落ち着いた後に、拘束されているカンボジア兵18人を国際的な規範と慣行に沿って解放する考えに言及しています。
一方、カンボジア国防省も、停戦が72時間完全に維持された場合、タイが拘束した18人を引き渡すと説明しました。停戦の「実効性」を測る指標として、この72時間が重要な節目になりそうです。
境界画定は「共同境界委員会」で再開へ
共同声明では、国境の測量・画定作業を、両国間の既存合意に基づいて進めるため、共同境界委員会(Joint Boundary Commission)に付託し、できるだけ早期に作業を再開することでも合意したとされます。
衝突が繰り返される地域では、「どこが境界線か」をめぐる認識のズレが緊張を生みやすく、政治合意と技術作業(測量・画定)を並走させられるかが焦点になります。
12月7日から新たな衝突波──「先に撃った」の応酬も
今回の共同声明は、12月7日に始まったタイ・カンボジア国境での新たな衝突の波を受けたものです。両国は互いに「先に発砲した」と主張し、暴力により100人を超える死傷者が出たほか、数十万人が避難を余儀なくされたとされています。
ここまでの経緯:7月→8月の停戦、10月の宣言、年末の協議
報道によると、国境をめぐる対立は今年(2025年)に入り複数の節目を経ています。
- 7月24日:国境で衝突が発生。双方が国際法違反を主張
- 8月7日:マレーシア・クアラルンプールでの国境総合委員会特別会合で停戦合意(当時も現状維持と増派自制で一致)
- 10月26日:ASEAN首脳会議の場で平和に関する共同宣言に署名
- 12月24〜26日:共同国境委員会の事務局で停戦を協議
- 12月27日(本日):共同声明に署名し、正午から停戦発効
今後の焦点:停戦は「紙」より「現場の行動」で測られる
ナットポン国防相は、停戦は「現場の実際の行動」に基づき、敵対行為が明確に止んだと確認できた場合に考慮される趣旨を述べています。今回の合意が持続するかどうかは、
- 72時間の監視期間に、接触や誤認をどう防ぐか
- 住民の帰還を「安全」に進められるか
- 拘束兵士の扱いを含む信頼醸成を積み上げられるか
- 共同境界委員会で測量・画定作業を具体的に再始動できるか
といった、いずれも地味ですが大切な論点にかかっています。
Reference(s):
Thailand and Cambodia agree to ceasefire with joint statement
cgtn.com








