ロシア、7準位「イオン型」量子計算機を試作 72量子ビット相当と発表
2025年12月29日、ロシア量子センター(RQC)は、同国初となる「イオン型」の量子コンピュータを開発し、計算能力は「72量子ビット相当」になると明らかにしました。鍵になったのは、2準位の量子ビットではなく、7つのエネルギー準位を使う新しい量子ユニット(多準位方式)です。
何が発表されたのか(要点)
RQCによると、新しい量子コンピュータは26個のカルシウムイオンを用い、各イオンを0〜6の値を取れる「7準位」の量子ユニットとして動作させます。TASSが同日伝えました。
- 多準位方式により「72量子ビット相当」の計算能力
- 単一(1量子)操作の精度:99.92%
- 2量子操作の精度:96.5%(この規模では記録的水準だと説明)
ポイント:量子ビットではなく「7準位」を使う発想
既存の量子コンピュータの多くは、0/1のように2つの状態を扱う「量子ビット(qubit)」を基本単位にしています。一方で近年は、3準位や4準位、さらに高い準位を扱う方式も研究されており、少ない粒子でより多くの情報を保持・処理できる可能性があるとされます。
ただし、多準位化は強力である一方、状態の制御が難しくなるのが一般的です。RQCは、今回の試作機が高精度で制御できている点を成果として強調しています。
26個のイオンで「72量子ビット相当」になる理由
RQCの説明では、26個のカルシウムイオンそれぞれが7準位で動作します。直感的には「2準位×たくさん」ではなく「7準位×26個」で情報量を稼ぐ設計です。これにより、全体として72量子ビット級の能力に相当するとしています。
精度は単一操作99.92%、2量子操作96.5%
試験結果として、プロセッサは単一操作で99.92%、2量子操作で96.5%の精度を達成したといいます。研究チームは、この規模の量子システムとして記録的な水準だと述べました。
多準位方式は扱う状態が増えるぶん、誤差が入りやすいという見方もあります。今回の数値は、実用的な計算へ近づくうえで「制御できている」ことを示す指標として注目されます。
2021年からの積み上げ、次は「組合せ最適化」へ
RQC代表のマクシム・オストラス氏は、研究者が2021年により小さなシステムで多準位アプローチの試験を始め、4年で計算能力を大きく拡大したと説明しました。今回の研究チームは、RQCのキリル・ラフマンスキー氏が率いたとされています。
今後は、ネットワーク設計などの複雑な計画業務で使われる「組合せ最適化」のアルゴリズムを、この新しい量子コンピュータで実行していく計画だということです。
なぜ今このニュースが大事なのか
量子開発の競争は、単に量子ビット数を増やすだけでなく、1つの量子ユニットが持つ情報量を増やす方向にも広がっています。今回の発表は、粒子数を抑えつつ計算能力を押し上げるという「別ルート」の進展を示すものとして、研究開発の選択肢に新しい論点を加えそうです。
Reference(s):
Russia builds ion-based quantum computer equivalent to 72 qubits
cgtn.com








