スロベニア「80-90-100」労働改革、2026年1月開始へ:賛否の焦点 video poster
2025年末のいま、スロベニアで注目を集めているのが、2026年1月に導入予定の新しい労働改革です。高齢化が進むなかで「働き続けやすさ」と「企業の現場負担」をどう両立するのか——議論が広がっています。
「80-90-100」モデルとは? 何が変わるのか
改革の柱は、通称「80-90-100」モデルです。対象は58歳以上(または長い職歴を持つ労働者)とされ、制度を使うと次のような働き方が想定されています。
- 労働時間:フルタイムの80%に短縮
- 給与:90%を受け取る
- 年金:給付(権利)の水準は100%を維持
狙いは、体力的な負担が増えやすい年代の就労を「完全な引退」か「フルタイム継続」かの二択にしないことです。経験豊富な人材を職場に残しつつ、年金制度への圧力を和らげたいという政策意図が語られています。
現場では歓迎も:「辞めずに負担を減らせる」
観光・接客など体力を使う仕事では、制度への期待が目立ちます。スパリゾート「リムスケ・テルメ」で働くウェイトレスのシモナ・コラジヤさんは、仕事を続けながら負担を軽くできる点を前向きに捉えています。
本人は一方で、「仕事が減れば収入も減るのでは」という不安にも触れ、月末の計算がどうなるのか、差額の扱い(国の補填を含む)を気にしていると伝えています。それでも「アイデア自体は素晴らしい」と話しました。
企業側の懸念:追加コストと人手不足のリスク
一方、雇用主側は財務・運用面の影響を懸念しています。報道されている説明では、企業が給与の差(追加の10%部分)を負担することが想定されており、ただでさえ人員確保が難しい業界では負担増になりかねない、という声があります。
同じくリムスケ・テルメの営業責任者マルコ・マゼさんは、新制度の理解がまだ十分でないとしつつ、勤務時間が短くなる人が増えた場合に「従業員数が実質的に減る」ことへの不安を語っています。
政府の説明:利用は「双方の合意」が前提
スロベニア政府は、制度は一方的に適用されるものではなく、労働者と雇用主の合意が必要だと説明しています。労働省のイゴール・フェケティヤ国務書記は、「雇用主の同意がなければ利用できない」と述べ、現場の事情と折り合いをつける設計だとしています。
論点はどこにある? 2026年に向けた見取り図
制度設計の方向性自体は「高齢化への対応」として理解されやすい一方、導入が近づくほど、論点はより具体的になります。
- 誰がコストを負担するのか:追加の賃金負担や補填のあり方
- 人員配置は回るのか:医療、観光、ホスピタリティなどでのシフト確保
- 合意の実務:同意が前提のとき、職場での運用ルールはどう整えるか
- 経験の継承:時短で残るベテランと、新規人材育成の組み合わせ
「長く働ける社会」を掲げる政策は各地で広がっていますが、スロベニアの今回の改革は、就労の継続と生活の安定(給与・年金)をセットで設計しようとしている点が特徴です。2026年1月の開始に向け、労使がどこで折り合いをつけるのかが、次の焦点になりそうです。
Reference(s):
Slovenia's new labor reform sparks debate among workers and employers
cgtn.com








