中国本土の映画120年、ワンゴー・ウェンを追う『I Will Be There After My Wandering』 video poster
2025年、中国本土では「映画誕生120年」という節目に合わせ、記録映画作家ワンゴー・ウェン(Wan-go Weng)の人生をたどるドキュメンタリーI Will Be There After My Wanderingが制作されました。抗日戦争勝利80周年とも重なる年に、“知られざる映像の架け橋”に光を当てる形です。
今回のニュースのポイント
- 2025年は中国本土で映画誕生120年の節目
- 新作ドキュメンタリーが、米国で40年にわたり中国を撮り続けたワンゴー・ウェンの足跡を描く
- 制作期間は2年半、33人への取材と中国本土・米国10都市でのアーカイブ発掘を含む
映画120年の節目に、なぜ「無名」の作り手なのか
記念年の企画は、大きなスターや有名監督に焦点が当たりがちです。一方でI Will Be There After My Wanderingが主役に据えるのは、作品も人生も広くは知られてこなかった人物、ワンゴー・ウェンです。
彼は若い学生だった時期に日本の侵攻を受けて中国を離れ、米国へ渡り、その後、映画制作の道に進みました。米国で過ごした約40年の間に、数十本のドキュメンタリーを制作し、そのすべてが中国に焦点を当てていたとされています。
「世界がまだ中国をよく知らなかった時代」に、映像で伝えたこと
本作が強調するのは、ワンゴー・ウェンの活動が「情報の量」ではなく「伝わり方」を変えようとした点です。世界が中国について知る機会が限られていた時期、彼はドキュメンタリーという手法で中国文化を国際的に紹介し、中国の豊かな文明にスポットライトを当てた初期の担い手の一人だった、と位置づけられています。
ただし、その意義とは裏腹に、本人の名や仕事は十分に知られてこなかった――そこに今回の作品制作の動機が重なります。
2年半の制作、33人の証言と「希少な記録映像」
60分のドキュメンタリーは、完成までに2年半を要しました。登場するのは、専門家・研究者33人に加え、ワンゴー・ウェンの家族や友人たちです。
制作チームは中国本土と米国の10都市を訪れ、取材の過程で希少なアーカイブ映像(記録映像)も発掘したとされています。個人の記憶と資料の断片をつなぎ合わせ、見過ごされがちな仕事の輪郭を浮かび上がらせる構成です。
「亡命者が書いた、映画の手紙」──静かなテーマが残す余韻
作品は最終的に、祖国を離れて生きた一人の亡命者が、生涯の大半をかけて「映画の手紙」を綴った物語として描かれます。大きな事件の年表というより、距離と時間を抱えたまま撮り続けた人の視線が中心に据えられている点が特徴です。
周年の祝祭性だけではこぼれ落ちてしまう、文化を伝える営みの“地味だが強い力”を、年末のこの時期にあらためて考えさせる題材になっています。
Reference(s):
cgtn.com








