10カ国がガザ人道危機に懸念、支援拡大を共同声明で要請
ガザの人道状況をめぐり、カナダや日本、英国など10カ国の外相が2025年12月30日(火)、状況の悪化に「深刻な懸念」を示す共同声明を発表しました。停戦後に支援搬入が改善したとの見方がある一方、現地では依然として必要量が届いていないという指摘もあり、支援の“量”と“届き方”が改めて焦点になっています。
共同声明を出したのは10カ国外相
共同声明を出したのは、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、アイスランド、日本、ノルウェー、スウェーデン、スイス、英国の外相です。声明は、ガザの人道状況について「依然として壊滅的(catastrophic)」だと表現し、懸念を示しました。
求めたのは「予見可能な支援活動」と「越境の円滑化」
声明はイスラエルに対し、主に次の点を求めています。
- 非政府組織(NGO)が、持続的で予見可能な形で活動できるようにすること
- 国連(UN)がガザでの活動を継続できるよう確保すること
- 医療用品やシェルター関連機材など、特定の輸入に関する「不合理な制限」を解除すること
- 検問所・越境地点を開き、ガザへの人道支援の流入を増やすこと
イスラエル側は反発「一方的な要求だ」
これに対し、イスラエル外務省は共同声明を「誤っているが驚くことではない」「現実から切り離された批判と、イスラエルに一方的な要求を繰り返すパターンの一部だ」などと反論しました。あわせて、共同声明は「ハマスの武装解除という不可欠な要件を意図的に無視している」とも主張しています。
さらに同省は、停戦発効以降、ガザの人道状況は「大きく改善している」との認識を示しました。
停戦後も残る「必要量」と「配送」のギャップ
今回の議論の難しさは、同じ“改善”という言葉でも、何をもって改善とするかで評価が分かれる点にあります。
- 世界の飢餓状況を監視する機関は、2025年12月19日時点で、停戦後に人道・商業の食料搬入が改善し、ガザでは「飢饉がもはや存在しない」としました。
- 一方で人道支援機関は、ガザが小さく人口密度も高い中で、必要量はなお大きく、必要な物資が十分入っていないと訴えています。
- イスラエルは「食料は十分入っており、問題はガザ域内の配分(配送・分配)にある」と述べています。
国境を越える搬入量、検査・許可の運用、域内の輸送・治安、支援物資の保管や分配ルートなど、複数の要素が絡み合うため、「入ったか/入っていないか」だけでは測りにくい局面に入っているとも言えそうです。
背景:2023年10月の攻撃と、その後の2年間
共同声明の背景には、2023年10月にハマス主導の戦闘員によるイスラエルのコミュニティへの致命的な攻撃があり、その後、ガザで激しい爆撃と軍事作戦が続いたことがあります。両者は2025年10月に停戦に合意しましたが、人道面の課題は停戦だけでは解消しきれていない現状が、今回の声明で改めて浮き彫りになりました。
今後の注目点:「通れる」だけでなく「届く」か
外交メッセージとしては、検問所の運用や物資制限の見直し、国連やNGOの活動の継続性といった“実務”に踏み込んだ点が特徴です。停戦後の局面では、越境地点を開くことに加え、医療・避難・衛生など生活基盤に直結する物資がどれだけ安定的に入り、現地で必要な人に届くのか――「通れる支援」から「届く支援」へと焦点が移りつつあります。
Reference(s):
10 countries voice concerns over Gaza humanitarian situation
cgtn.com








