サンゴ礁が海の微生物の「1日」を刻む?紅海アカバ湾の新研究
サンゴ礁は「すみか」を提供するだけでなく、周辺の海洋微生物の増減リズム(1日の周期)まで整えている可能性がある――。そんな研究結果を、ヘブライ大学エルサレム校が木曜日の声明で伝えました。サンゴ礁の健康を見守る方法にもつながりうるとして注目されます。
何がわかったのか:サンゴ礁の上では微生物の“日周リズム”がはっきり
研究チームは、紅海北部のアカバ湾にあるサンゴ礁の上で、海水中の微生物集団の変化を追跡しました。成果は学術誌「Science Advances」に掲載されています。
冬と夏の両方で、サンゴ礁の上の海水と、近くの外洋(開けた海域)を比較したところ、サンゴ礁の海水は一貫して、細菌と微細藻類(ミクロな藻類)が少ない傾向が確認されました。研究では、サンゴ礁の生物が微生物を“取り除いている”ことを示唆しています。
鍵は正午前後:サンゴと共生する藻類がピークに
特に目立ったのが、サンゴと共生する藻類の一群である「Symbiodiniaceae(シンビオディニア科)」です。これらが正午ごろに増える(ピークを迎える)傾向が見られ、光(昼夜)とサンゴの代謝に結びついた日単位のサイクルが示されました。
「季節差より、時間帯差」だったという指摘
この研究が強調するのは、微生物の変動が「冬か夏か」といった季節の違いよりも、「1日のどの時間帯に観測したか」で大きく変わり得る点です。日周リズムが季節変化を上回るほど強い場合があるという結果は、サンゴ礁の調査設計に静かな修正を迫ります。
研究結果の要点(整理)
- サンゴ礁上の海水は、近隣の外洋に比べて細菌・微細藻類が少ない傾向
- サンゴと関わる生物が微生物を能動的に除去している可能性が示唆
- Symbiodiniaceaeが正午前後にピークとなり、光と代謝に連動した日周サイクルが示された
- 日周リズムは、しばしば季節変化より強く表れる
なぜ今重要?「観測のものさし」としての微生物
海の環境は変化し続けており、サンゴ礁の状態をどう捉えるかは研究・保全の共通課題です。今回の結果は、微生物の1日の周期そのものが、サンゴ礁のコンディションを見極める手がかりになり得ることを示しています。
同時に、モニタリング(継続観測)では「同じ地点でも、採水する時間帯が違うだけで見え方が変わる」可能性がある、という実務的な示唆も含まれます。サンゴ礁の“日課”を踏まえた観測設計が、これからいっそう重要になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com







