スターリンク、2026年に約4400機を軌道引き下げへ 衛星故障時の落下を早め安全性強化
2026年に入り、衛星インターネット「Starlink(スターリンク)」を運用するSpaceXが、運用中の衛星約4,400機の高度を引き下げる方針を明らかにしました。運用高度を約550kmから約480kmへ移し、故障衛星の早期大気圏再突入(デオービット)を促して、安全性を高める狙いです。
何が発表された?:運用高度を「550km→480km」へ
スターリンクのエンジニアリング担当副社長マイケル・ニコルズ氏は木曜日、約550km付近を周回する衛星の一部(約4,400機)を、約480kmの運用帯へ移す計画だと説明しました。2026年に実施する「軌道引き下げキャンペーン」として進めるとしています。
背景:大規模衛星コンステレーションの安全性が注目される中で
今回の判断の背景には、低軌道(LEO)で衛星数が急増し、衝突リスクや運用上の安全がこれまで以上に注視されている状況があります。
ニコルズ氏は、2025年12月にスターリンク衛星が異常を起こし、デブリ(宇宙ごみ)を発生させた事案にも言及しました。衛星は高度418kmで通信を失い、その後すぐに約4km低下したとされ、機体内での爆発の可能性が示唆されています。
なぜ「低くする」と安全性が上がるのか
ポイントは、故障して制御不能になった衛星を「できるだけ早く自然に落とす」ことです。低軌道では大気が薄く残っており、その抵抗(ドラッグ)が衛星を徐々に減速させ、最終的に大気圏へ再突入させます。
太陽活動が“弱まる局面”だと、落ちるまでが長引く
ニコルズ氏によると、太陽活動が太陽極小期(ソーラーミニマム)へ向かう傾向の中では、低軌道の大気密度が下がりやすくなります。すると大気抵抗が弱まり、動かなくなった衛星が自然落下するまでの時間が延びます。
- 高度約550kmで制御不能になった場合:自然再突入まで4年以上かかり得る
- 高度約480kmなら:数カ月でデオービットできる可能性
混雑する「500〜600km帯」を避ける狙いも
もう一つの狙いは、500〜600kmの高度帯が今後さらに混み合うと見られている点です。複数の衛星システム計画に加え、既存のデブリも重なり、衝突リスクが高まりやすいゾーンだと説明されています。運用帯を480kmへ下げることで、混雑域から距離を取る意図があります。
運用面の課題:9,000機超の中で“交通整理”が必要に
スターリンクは現在、軌道上に9,000機を超える衛星があるとされます。ニコルズ氏は「完全に故障した」衛星が2機、なお軌道上に残っていることも明らかにしました。
今回の引き下げ作業では、多数の衛星が段階的に高度を変えることになり、他の衛星運用者との調整が重要になります。SpaceXは、米国の規制当局や他の宇宙機運用者と連携し、宇宙交通(スペース・トラフィック)の衝突回避や運用調整を進める方針です。
これから注目したい点
- 引き下げの具体的な手順と期間(どの順番で、どれくらいのペースで移行するのか)
- 他事業者との調整ルール(衝突回避の連絡・優先順位・監視体制)
- 故障時のデブリ抑制策(異常発生時の設計・運用の見直しがどう進むか)
低軌道の「混雑」が当たり前になりつつある2026年、運用高度の数十kmが安全性とルールづくりに直結する局面に入っています。今回の引き下げ計画が、衛星コンステレーション時代の新しい標準になるのか、今後の運用実績が焦点になりそうです。
Reference(s):
Starlink to lower orbit of about 4,400 satellites in 2026 for safety
cgtn.com








