米国が「ベネズエラを運営」宣言、マドゥロ拘束後の次の一手は
米国がベネズエラで軍事作戦を実施し、ニコラス・マドゥロ大統領と妻を拘束したとした上で、ドナルド・トランプ大統領が「移行が安全に行えるまで米国が国を運営する」と表明しました。政権移行の設計と、追加軍事行動の可能性が同時に語られたことで、地域の安定と国際法の論点が一気に前面化しています。
何が起きたのか:拘束と「暫定運営」
トランプ氏は1月3日(現地時間・土曜)、フロリダ州のマールアラーゴで記者会見し、軍事作戦によりマドゥロ氏と妻を拘束し、同日ニューヨークの軍事基地に到着したと述べました。作戦は公式には「対麻薬作戦」と位置づけられています。
トランプ氏は「安全で適切、かつ慎重な移行が可能になるまで米国が国を運営する」と発言しましたが、具体的な期限は示しませんでした。また、マルコ・ルビオ国務長官、ピート・ヘグセス国防長官ら高官が、指定されたチームとともに移行を監督するとしています。
追加の軍事行動は「排除せず」:地域に残る緊張
トランプ氏は、さらなる軍事行動を否定しませんでした。統合参謀本部議長のダン・ケイン氏は、大規模攻撃とマドゥロ氏拘束の後も、米軍は地域にとどまり高い即応態勢を維持すると述べたとされています。
焦点はエネルギー:石油利権と制裁の“同居”
トランプ氏は、エネルギー分野に関連する米国のプレゼンスを維持するとし、米国の石油会社がインフラを引き継ぎ投資できるよう認めた一方、ベネズエラ産原油の禁輸(embargo)は維持すると強調しました。
アナリストは、ベネズエラが世界最大級の確認埋蔵量(3000億バレル超と推定)を持ち、その多くがオリノコの重質油地帯に集中している点を、ワシントンの計算の中心にある要素として挙げています。
作戦はいつから準備されていたのか:監視と「整った条件」
米国当局によれば、米情報機関は2025年8月以降、マドゥロ氏の動向を秘密裏に監視していたとされます。作戦は数カ月にわたる「ピンポイント」の計画とリハーサルを経て、米軍は12月上旬には準備が整っていたものの、天候など「事象が整う」局面を待ったといいます。トランプ氏は当初4日前に命令したが、条件が整うまで実行を遅らせたとも述べました。
背景に何があるのか:対麻薬の枠組みと西半球戦略
専門家の見立てでは、今回の動きは衝動的決定というより、より大きな戦略計算に根差すとされます。ベネズエラの対米姿勢、資源、そして対麻薬・対テロの論理を掲げることで越境的な軍事行動の正当性を組み立て、モンロー主義の文脈で西半球での影響力を再強化する狙いが語られています。
米国は、マドゥロ政権が麻薬取引に関与していると長年主張し、2020年には米司法省がマドゥロ氏らを「麻薬テロ」や汚職などの容疑で起訴したとされています。専門家は、こうした経緯やカリブ海での取り締まりの動きが、軍事行動を正当化する土台になったと指摘しています。
また、中国の研究者らは、トランプ氏が一般教書演説を控える中で、ロシア・ウクライナ紛争の仲介が停滞した後に「目に見える結果」を示す対外行動として国内政治上の意味も持つ、との見方を示しました。
これから何が起きるのか:最大の焦点は「権力の空白」
今後の見通しとしては、次の論点が重なっています。
- 統治機構の扱い:既存の権力構造をどう解体・再編するのか。
- 選挙の設計:いつ、どの条件で選挙を実施し、新たな政権をどう位置づけるのか。
- 治安リスク:権力の空白が内部抗争や内戦的状況につながる可能性(過去の米主導介入の例と重ねる警戒も出ています)。
憲法上の継承と、国際的な「正統性」の分裂
報道によれば、ベネズエラ最高裁はデルシー・ロドリゲス副大統領に大統領代行を命じたとされます。ベネズエラ憲法では、大統領が恒久的に職務不能となった場合、副大統領に権限が移り、30日以内に選挙を実施する規定があるとされています。
一方で、ワシントンはマドゥロ氏を正統な大統領として承認しておらず、その政権も正統な政府として認めていないとされます。ベネズエラ反政府側は、亡命中の政治家エドムンド・ゴンサレス氏が正当な指導者だと主張しているという情報もあります。
ロドリゲス氏は同日、国家防衛評議会が緊急会合を開き、マドゥロ氏夫妻の即時解放を要求したと述べました。また、「いかなる外国勢力の植民地にもならない」と強調したとされています。
国連安保理へ:国際社会の反応は
ベネズエラの国連常駐代表部は、国連安全保障理事会に書簡を送り、米国の「武力侵略」を強く非難し、緊急会合の開催などを求めたと報じられています。
国連は武力行使に警戒を示し、国際法と国連憲章の尊重を呼びかけました。中国外交部も深い衝撃を受け、主権国家に対する米国の軍事行動に強く反対すると表明し、ラテンアメリカとカリブ地域の平和と安定を脅かすと警告しました。欧州の指導者や各国政府も、国際法と国連憲章の順守、緊張緩和と対話を求めています。
「対麻薬」を掲げる軍事作戦と「暫定統治」の宣言が同時に進む状況は、移行の“出口設計”が見えにくいほど不確実性を増します。次の数週間で、治安、統治、選挙、そして国連の場での議論が、どの順番で具体化していくのかが焦点になりそうです。
Reference(s):
U.S. says it will run Venezuela after capture of Maduro. What's next?
cgtn.com








