AUと南アがベネズエラ情勢に懸念 マドゥロ氏失脚と米軍攻撃受け
ベネズエラでニコラス・マドゥロ前大統領が失脚し、米国による国家機関への軍事攻撃が伝えられるなか、アフリカ連合(AU)と南アフリカが相次いで強い懸念を表明しました。焦点は「軍事力ではなく対話で解決できるのか」、そして「国際秩序の原則をどう守るのか」に移っています。
何が起きているのか:失脚、攻撃、そして“連れ出し”
AUの声明などによると、ベネズエラではマドゥロ氏が失脚し、米国が国家機関を攻撃したとされています。さらに報道では、マドゥロ氏と妻のシリア・フローレス氏が、カラカスの軍事基地内の自宅から深夜の作戦で連れ出され、2026年1月3日(土)夜にニューヨーク近郊の小さな空港へ到着したとされています。
AUのメッセージ:国連憲章の原則を前面に
AUは声明で、最近のベネズエラ情勢に「深刻な懸念」を示しつつ、国際法の基本原則への支持を再確認しました。具体的には、国連憲章にうたわれる以下の原則です。
- 国家主権の尊重
- 領土保全
- 人民の自決の権利
またAUは、国家間関係は「善隣」「協力」「平和共存」の精神に基づくべきだとして、対話と平和的解決、そして憲法・制度的枠組みの遵守の重要性を強調しました。
「持続可能な解決は国内の包摂的対話から」
AUが特に強調したのは、ベネズエラの内政課題は、外からの力学で決着させるのではなく、ベネズエラの人々の間の包摂的な政治対話によってこそ持続的に解決される、という点です。
この「包摂的」という言葉は、特定の陣営の勝敗だけでなく、社会の分断や制度の空洞化をどう埋め戻すか、という長期の課題を含みます。政権の交代(あるいは失脚)そのものよりも、その後の統治の正統性や治安、生活基盤に直結するためです。
南アの懸念:軍事介入は危機を深めるという警告
南アフリカも別途、ベネズエラ情勢への懸念を表明しました。国際関係・協力省は、歴史的に見ても主権国家への軍事介入は不安定化と危機の深刻化を招いてきたと警鐘を鳴らしています。
同省はさらに、違法で一方的な武力行使は国際秩序の安定と国家間の平等原則を損なうとして、国連安全保障理事会に対し、緊急に会合を開いてベネズエラ情勢を協議するよう要請しました。
いまの論点:主権と人道、秩序と現実のあいだ
今回のAUと南アの声明は、ベネズエラ国内の権力構造の変化そのものに踏み込むというより、国際社会が共有してきた「ルール」を前に出す内容でした。整理すると、論点は大きく3つです。
- 武力の既成事実化が国際秩序に与える影響
- 国内政治の移行を、どの枠組み(憲法・制度)で正当化できるのか
- 対話の設計(誰が参加し、何を合意し、どう担保するのか)
短期的には安保理の動きが注目されますが、中長期では、ベネズエラ国内で「排除されない政治の器」をどう作るかが、安定の鍵になりそうです。
Reference(s):
South Africa and the African Union express solidarity with Venezuela
cgtn.com








