スペインの「開かれた移民政策」は2026年も続くのか――欧州右派の圧力と綱引き video poster
2026年の欧州では、送還手続きの迅速化を求める動きが強まる一方、スペインは「移民は国にとってプラス」という立場を崩していません。経済指標と政治の逆風が交差するなか、スペインの移民政策はどこまで持ちこたえるのでしょうか。
欧州で広がる「送還を速く」——2025年末の動き
2025年、反移民感情が主流政治の中で存在感を増し、欧州各地で右派政党の影響力が拡大したとされています。年末には、英国、デンマーク、イタリアなどが主導し、約37の欧州諸国が欧州人権条約(ECHR)の改革を求め、各国が送還をより円滑に進められるようにする方向性が示されました。
スペインは「移民は必要」——サンチェス首相の国会発言
こうした流れの中でも、ペドロ・サンチェス首相が率いるスペインの政権は、移民を肯定的に捉える姿勢を維持しています。サンチェス首相はスペイン議会で、移民について次のように述べました。
「我々は、移民は人道の問題であるだけでなく(それだけでも十分な理由です)、経済の繁栄と福祉国家の持続可能性のために必要だという確信を守る。」
数字が支える強気姿勢:成長率と労働力
政策を支える根拠として示されているのが、経済と労働市場の数字です。スペインは2025年にGDPが約3%成長し、欧州平均の約2倍の伸びだったとされています。
また、建設や観光など重要産業では、移民が労働力の25〜50%を占めるとされます。政権は、在留資格のない移民に対しても、3年間で約100万人に法的書類を付与する政策を進めるなど、受け入れと制度化を同時に進める構えです。
「硬くするより、秩序づけを」——移民法の専門家の見立て
CGTNの取材に対し、移民法の専門家で弁護士のエミリオ・ラミレス=マトス氏は、スペインの地理的・歴史的条件を踏まえた上で、制度運用の方向性を語りました。
同氏は、スペインが「アフリカとラテンアメリカ諸国への欧州の玄関口」であり、移住と移民の長い歴史を持つこと、そして「統合と規制の強い仕組み」があると指摘。その上で「移民は良いもので、国を豊かにし、国が回るのを助ける。欧州に必要なのは政策を硬くすることではなく、秩序をもたらすことだ」と述べています。
2026年の焦点:人道・経済・政治が同時に問うもの
2026年初頭の時点で見えているのは、各国が「送還の迅速化」を求める潮流と、スペインが「統合と制度化」を前面に出す潮流のせめぎ合いです。移民をめぐる議論は、理念だけでなく、労働力の実態や社会制度の持続可能性といった具体論に引き戻されやすいテーマでもあります。
スペインの路線がこのまま維持されるのか、それとも欧州の政治気候に合わせて調整が入るのか。2026年は、移民を「例外処理」ではなく「社会の設計」として扱えるかが、静かに試される年になりそうです。
Reference(s):
Can Spain's open immigration stance survive 2026 and the far right?
cgtn.com








