グリーンランド首相「もう十分」 トランプ氏の“併合”発言に欧州も反発
2026年1月、米国のドナルド・トランプ大統領がグリーンランドの「獲得」に再び言及したことを受け、グリーンランドの指導部とデンマーク、さらに欧州各国が相次いで「将来は当事者が決めるべきだ」と強く牽制しました。北極圏の安全保障と同盟関係の温度差が、言葉の応酬を通じて浮かび上がっています。
何が起きたのか:発端はトランプ氏の“再言及”
報道によると、トランプ氏は現地時間の月曜日(2026年1月5日)未明、専用機エアフォースワン機内で「数週間以内にこの話題を再び取り上げる」と述べ、グリーンランドを米国が引き受ける構想に改めて触れました。トランプ氏はこれまでも繰り返し、グリーンランドを「引き取る」意向を示してきたとされています。
グリーンランド首相「脅しや圧力は友好国間に不要」
グリーンランド自治政府のイェンス=フレデリク・ニールセン首相は日曜日(1月4日)夜、SNSで次のように投稿しました。
- 「友人の間に、脅し、圧力、併合の話は居場所がない」
- 「もう十分だ。(…)併合の幻想はもういらない」
自治権を持つデンマーク領という立場にあるグリーンランドにとって、「将来を誰が決めるのか」は統治の根幹に触れるテーマです。今回の反発は、単なる外交的な不快感というより、意思決定の主体をめぐる明確な線引きとして読めます。
デンマーク首相も否定:「3つの国を併合する権利はない」
デンマークのメッテ・フレデリクセン首相も声明で、米国がグリーンランドを必要として「引き取る」といった議論は「まったく意味をなさない」とし、デンマーク王国を構成する「3つの国」のいずれも、米国が併合する権利はないと強調しました。
さらに、歴史的に近い同盟国に対する脅しはやめるべきだとして、グリーンランド側が「売り物ではない」と明確に述べている点を改めて示しました。
欧州各国が支持表明:国境は力で変えられない
今回のやり取りでは、欧州側の支援メッセージが目立ちました。主な発言は次の通りです。
- フィンランドのアレクサンダー・ストゥブ大統領:「グリーンランドとデンマーク以外は決められない」
- ドイツのヨハン・ワデフル外相:必要なら保護強化をNATOで議論し得る、デンマークが加盟国である以上、原則としてグリーンランドもNATO防衛の対象
- 英国のキア・スターマー首相:将来はグリーンランドとデンマーク王国のもの
- フランス外務省報道官:グリーンランドはグリーンランドの人々とデンマークの人々に属し、国境は武力で変更できない
個々の言い回しは異なるものの、「当事者の自己決定」と「力による変更の否定」という2点で足並みがそろっています。
不安を増幅させた“前日の出来事”:ベネズエラ大統領の拘束
今回、懸念が強まった背景として、トランプ氏の発言の前日に「米特殊部隊がベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を強制的に拘束し、米国が同国の統治を監督する意向だ」と伝えられたことが挙げられています。資源をめぐる主導権と統治への関与が重なる構図が、グリーンランドにも同様のシナリオが及び得るのではないか、という連想を呼んだ形です。
今後の焦点:特使任命と「数週間」の意味
トランプ氏は2025年12月21日、ルイジアナ州知事のジェフ・ランドリー氏をグリーンランド担当特使に任命しました。ランドリー氏は、グリーンランドを米国に組み込む考えを支持してきたとされています。
ここから先の注目点は、次の2つです。
- トランプ氏が言う「数週間以内」に、どのような提案や圧力の形が示されるのか
- デンマーク、グリーンランド、NATOの枠組みの中で、安全保障と自治の線引きをどう整理していくのか
北極圏は資源、航路、安全保障が交差する場所です。だからこそ、言葉の選び方がそのまま同盟の信頼や地域の緊張感に跳ね返ります。今回の「もう十分だ」という短い言葉は、そうした現実への強い警戒を含んでいるようにも見えます。
Reference(s):
cgtn.com








