米国のグリーンランド獲得示唆に欧州反発、NATO協力の行方は
米国がグリーンランドの「獲得」に向け軍事手段も排除しない姿勢をにじませ、欧州側が「島は住民のもの」と共同声明でけん制しました。先のベネズエラへの米軍介入をめぐる国際的な波紋に続き、今回の動きは米欧間の緊張をいっそう高めています。
いま何が起きているのか:ホワイトハウスが「軍事」も選択肢に
トランプ政権は今週火曜日、デンマークのグリーンランドを米国が取得する可能性について「幅広い選択肢」を検討していると示唆しました。ホワイトハウスのカロライン・レヴィット報道官は声明で、選択肢の一つとして「米軍の活用(utilizing the U.S. military)」にも言及しています。
レヴィット氏は、グリーンランド取得が米国の国家安全保障上の優先事項であり、北極圏で「敵対勢力の抑止」に不可欠だという認識を示しました。
トランプ氏の特使は「NATOかどうかより、グリーンランドの人々に聞くべき」
トランプ氏のグリーンランド担当特使ジェフ・ランドリー氏は、欧州側の共同声明について問われた際、「安全保障は米国にとって大きな懸念事項である」と述べました。
また、北極圏の安全保障をNATOと連携して扱うべきかとの質問に対しては、「グリーンランドの人々に聞くべきだと思う」と発言。あわせて、トランプ氏がグリーンランドに経済的機会を提示しているとしつつ、「力ずくで奪うとは思わない」とも語っています。
ランドリー氏はさらに、トランプ氏が「経済的な結びつきと貿易機会を伴う、独立したグリーンランドを支持する」との見方を示し、米国は欧州より多くのものを提供できると述べました。
欧州とカナダが共同声明:「グリーンランドは住民のもの」
同じく今週火曜日、欧州の主要国とカナダは、グリーンランドの立場を支持する形で結束を打ち出しました。フランス、英国、ドイツ、イタリア、ポーランド、スペイン、デンマークの首脳は共同声明で、次のように強調しています。
共同声明は、グリーンランドの帰属や将来に関する決定は「デンマークとグリーンランド、そして彼らだけが決めるべきだ」とし、「グリーンランドはその人々のものだ」と明確にしました。カナダとオランダもこの声明を支持しています。
「北極の安全保障はNATOで集団的に」
共同声明は、北極圏の安全保障は米国を含むNATO同盟国と「集団的に」達成されるべきだと位置づけました。さらに「NATOは北極圏を優先課題として明確にしており、欧州の同盟国は役割を強化している」としています。
加えて、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマークの北欧各国外相も別声明で、グリーンランドが自らの事柄を決める権利を強調。北極の安全保障投資を増やしてきたことに触れ、米国や他のNATO同盟国と協議しながら、追加対応も可能だとの姿勢を示しました。
ポーランド首相の警告:「加盟国が脅せばNATOの意味が失われる」
ポーランドのドナルド・トゥスク首相はワルシャワで記者団に対し、「NATO加盟国が別の加盟国を攻撃したり脅したりすべきではない。そうなればNATOは意味を失う」と述べ、同盟内の威嚇がもたらすリスクに言及しました。
争点は「領有」だけではない:北極・資源・抑止の言葉
今回のやり取りは、単なる領土をめぐる主張にとどまりません。米国側は「抑止」「国家安全保障」を前面に出し、欧州側は「住民の自己決定」と「NATOの集団的枠組み」を軸に応じています。言葉の焦点がずれるほど、同盟内の調整は難しくなる可能性があります。
今後の焦点:選択肢の具体化と、同盟内の対話の設計
- 米国が示した「幅広い選択肢」が、どこまで具体化されるのか
- グリーンランドの人々の意思をどう位置づけ、どの場で確認していくのか
- 北極圏の安全保障をNATOの中でどう分担・調整するのか
- 米欧の対立が、他の外交・安全保障課題にも波及するのか
2026年の年明け早々、北極圏をめぐる言動が一気に政治課題の中心へ浮上しました。今後は、強い言葉が先行するのか、それとも同盟の枠組みで対話が組み直されるのか。各国の次の一手が注目されます。
Reference(s):
U.S. ambitions collide with European defenses after Greenland move
cgtn.com








