スーダン外務省が今週、アフリカ連合(AU)委員会とアラブ首長国連邦(UAE)の共同声明に「客観性と専門性を欠く」と強く反発しました。停戦や人道支援をめぐる“言葉”が、和平の枠組みそのものへの不信につながりかねない局面です。
共同声明は何を求めたのか
AU本部(エチオピア首都アディスアベバ)での会合後、今週火曜日(1月6日)にAU委員会とUAEが出した共同声明は、スーダン情勢について以下を呼びかけました。
- 即時かつ無条件の人道的休戦
- 恒久的な停戦
- スーダン全土での妨げのない人道アクセス(支援の到達)
- 国際人道法違反に対する説明責任(アカウンタビリティ)
- スーダンにおける文民政府の樹立
スーダン外務省の反論:「誤解を招く物語」
これに対しスーダン外務省は翌水曜日(1月7日)の声明で、共同声明の内容に「深い遺憾」を表明しました。とりわけ問題視したのは、共同声明がスーダンの正当な政府と、かつてテロリストに指定され国際社会(AUを含む)から非難されてきたという武装民兵を、同列に扱うような「ミスリーディング(誤解を招く)な叙述」になっている、という点です。
スーダン側は、立場や責任の所在が曖昧になることで、紛争当事者への評価や圧力のかけ方まで混線しかねない、という危機感をにじませています。
争点1:「無条件の人道的休戦」への異議
外務省は、共同声明が求めた「無条件の人道的休戦」についても受け入れがたいと述べました。理由として、スーダンが現在進めているという地域・国際的な和平イニシアティブの下での停戦アプローチと整合しない、という認識を示しています。
「人道」と「停戦」は一見、同じ方向を向く言葉に見えます。ただ実務の場面では、停戦の条件設定や履行確認の枠組み、合意の順番をどうするかが、当事者間の信頼や交渉力に直結します。今回の対立は、その“設計図”をめぐる食い違いとも言えます。
争点2:「AUの公式フォーラム外」での発信と、非加盟国との共同声明
もう一つの焦点は、発信の手続きです。スーダン外務省は、今回の共同声明がAUの公式フォーラム外で発出されたこと、そしてAU非加盟国であるUAEと連名で出されたことが、「African solutions to African problems(アフリカの問題はアフリカで解決する)」という原則を損なう、と主張しました。
当事国から見れば、「誰が、どの手続きで、どんな言葉を出したのか」は、内容と同じくらい重い意味を持ちます。AUの調停や調整に期待が集まるほど、その中立性やプロセスの透明性が問われやすくなるからです。
今後の見どころ:言葉の応酬が“交渉の土台”に与える影響
現時点で見えている論点は、大きく次の3つです。
- AU側がどのように説明・整理するか(声明の位置づけや意図、手続きの妥当性)
- UAEの関与のあり方(非加盟国としての関与がどこまで許容されるのか)
- 人道アクセスと停戦協議の接続(「無条件」をめぐる溝をどう埋めるのか)
共同声明が掲げた「人道アクセス」や「恒久的停戦」は、多くの人にとって否定しづらい目標です。一方で、その目標に至る道筋を誰がどう描くのかをめぐり、当事者の認識は大きく割れています。今週の応酬は、その亀裂が表に出た形だと言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








