フィンランド外相、トランプ氏のグリーンランド発言を「懸念」―NATO同盟国への威嚇は否定
北極圏をめぐる発言が、同盟の「言葉の温度」を一段上げました。フィンランドのエリナ・バルトネン外相は2026年1月8日、ドナルド・トランプ米大統領と米政権関係者によるグリーンランドに関する最近の発言を「懸念すべきもの」と述べ、デンマークとグリーンランド住民の自己決定権への支持を改めて示しました。
何があったのか:国会での緊急協議の後に会見
バルトネン外相の発言は、フィンランド議会で開かれた外務委員会の臨時会合(特別会合)の後の記者会見で出たものです。臨時会合では、米国側のグリーンランド関連発言のほか、ベネズエラ情勢やその他の安全保障課題も議題になったとされています。
バルトネン外相が強調したポイント
会見で外相は、北極の安全保障上の重要性を認めつつも、同盟関係の前提を崩す形での議論に釘を刺しました。
- 米国のグリーンランドをめぐるメッセージについて「懸念」と表現し、デンマークとグリーンランド住民の自己決定権を支持
- デンマークが「米国のメッセージは真剣に受け止める必要がある」と評価しているとして、フィンランドはその評価に依拠する考えを表明
- 北欧諸国は北極の環境・条件に「特別な専門性」があるとした上で、NATO同盟国と連携して北極の安全保障を強化することに前向き
- 一方で「同盟国を脅す形では成り立たない」と述べ、強い言葉での圧力を否定
「NATO内で前例がない」:外務委員長の問題提起
議会外務委員会のヨハネス・コスキネン委員長は、NATO加盟国同士の間で、領土の掌握に関連して暴力の威嚇が語られることは「前例がない」と指摘しました。さらに、こうした威嚇は国連憲章に反し、国際法との整合性がない点を「あらゆるレベルで強調すべきだ」と述べたとされています。
背景にある「国際秩序」への見方:勢力圏への移行を懸念
バルトネン外相は、2025年12月に公表された米国の安全保障戦略に触れ、多国間協調やルールに基づく秩序から、「勢力圏」の発想へ軸足が移る兆しがあるとの認識を示しました。これはフィンランドの安全保障政策の見立てとは相いれない方向だとも述べています。
またフィンランドは米国との接触の中で、「最も強い者の特権」に頼るやり方は、長期的には最も強い者の利益にもならない、という考えを伝えてきたとしています。
もう一つの波紋:66の国際枠組みからの離脱表明
会見では、米国が国際機関・国際合意など計66の枠組みから離脱すると発表したことについても、外相が「かなりのニュースだ」と表現しました。北極の安全保障を「同盟で強める」とする話と、国際協調の枠組みを離れる動きが同時に進むことは、今後の外交現場で論点になりそうです。
なぜ今、注目されるのか:北極の安全保障は「言葉」でも揺れる
北極圏は軍事・経済・科学の複合領域で、気候変動の影響も含めて注目度が上がり続けています。今回の一連の発言が示したのは、装備や計画だけでなく、同盟国間の信頼や「脅しを使わない」という暗黙のルールが、現実の安全保障を支えているという点かもしれません。
2026年1月9日現在、フィンランド側は「北極の安全保障強化は歓迎するが、同盟国への威嚇では進まない」という立場を明確にし、デンマークの評価を踏まえて対応する姿勢を示しています。
Reference(s):
Finnish foreign minister calls Trump's Greenland remarks 'worrying'
cgtn.com








