米上院、ベネズエラ追加軍事行動を制限する決議を前進 トランプ氏は反発
米上院が、ベネズエラをめぐる米軍の追加軍事行動に「議会の関与」を強める決議を前進させました。今週の大規模攻撃と拘束劇の余波が残る中、権限の線引きをめぐる攻防が一気に表面化しています。
何が起きた? 上院で52対47、超党派で決議が進展
米上院は現地時間2026年1月8日、ドナルド・トランプ大統領がベネズエラに対して今後さらに軍事行動を拡大することを制限する決議を進めました。採決は52対47で、民主党全員に加え、共和党議員5人が賛成に回ったとされています。
決議は、議会の承認がないまま行われている(あるいは行われ得る)戦闘行為について、「議会が承認していないベネズエラ国内またはベネズエラに対する敵対行為から、米軍を撤収させること」を求める内容です。
報道によると、上院本会議での採決は来週見込まれており、可決の可能性が取り沙汰されています。
背景:1月3日の大規模攻撃と、マドゥロ大統領の「拘束」
今回の動きの背景には、トランプ政権が2026年1月3日にベネズエラへ大規模軍事攻撃を行い、同国のニコラス・マドゥロ大統領と妻を武力で拘束してニューヨークで身柄を確保した、という出来事があります。各国から強い懸念と批判が相次ぎ、国際社会に衝撃が広がったとされています。
また、トランプ氏は米紙ニューヨーク・タイムズの取材に対し、米国がベネズエラを運営し、豊富な石油資源から利益を得る期間が長期化し得る趣旨の発言をしたと報じられています。
決議の中心テーマ:「戦争権限」を誰が握るのか
決議は、いわゆる戦争権限(War Powers Act)に基づき、大統領の軍事行動を議会がチェックする構図を強める狙いがあります。ポイントは、軍事行動が「短期の作戦」にとどまらず、長期の関与へと転じる可能性が意識されている点です。
- 決議提出者:民主党のティム・ケイン議員(バージニア州)
- 共同提案者:共和党のランド・ポール議員、上院民主党トップのチャック・シューマー議員、民主党のアダム・シフ議員
- 焦点:議会の承認なしに、どこまで大統領が武力行使を拡大できるのか
ケイン議員は上院で、政権側の示唆として「数日・数週間ではなく、数年単位の関与になり得る」と述べたとされています。また、マドゥロ氏拘束をめぐり「逮捕状の執行という規模を超える」との趣旨を語ったと報じられました。
共同提案したポール議員も、他国の首都を爆撃し指導者を排除する行為は戦争行為だと位置づけ、憲法上の権限の問題を提起しています。
トランプ氏の反発:国家安全保障と「大統領権限」を強調
トランプ氏は自身のSNS(Truth Social)で、この決議が米国の自衛と国家安全保障を妨げ、大統領の最高司令官としての権限を阻害する、という趣旨の批判を投稿したとされています。さらに、戦争権限法そのものが合衆国憲法第2条に反し違憲だと主張し、賛成に回った共和党議員5人を強く批判したと報じられています。
共和党内でも割れる評価:賛成に回った議員の理由は
共和党のスーザン・コリンズ議員は声明で、トランプ氏が地上部隊投入(いわゆる「boots on the ground」)や持続的な関与に言及している点を踏まえ、現時点で戦争権限法を発動する必要があるとの認識を示したとされています。
一方で、多くの共和党議員は政権の軍事行動を擁護し、ホワイトハウスが事前に議会へ通知していない、あるいは承認を求めていないことについても、大統領の憲法上の権限の範囲内だとする議論が続いていると報じられています。
これからの焦点:来週の本会議採決と、長期関与の行方
来週見込まれる上院本会議の採決は、ベネズエラ情勢そのものだけでなく、米国の意思決定が「軍事行動のスピード」と「民主的統制」の間でどうバランスを取るのかを映す場にもなりそうです。
短期の作戦として始まったはずの行動が、いつ、どの段階で「長期関与」へ変質するのか。議会が歯止めをかけようとする動きと、大統領が迅速な行動を正当化する論理が、今後どこで交差するのかが注目されます。
Reference(s):
U.S. Senate passes resolution to rein in military actions in Venezuela
cgtn.com








