米国、国連総会の投票権喪失も?分担金滞納と「選択的資金拠出」の波紋
米国が国連への分担金支払いを滞納し続けた場合、国連総会(UNGA)での投票権を失う可能性がある——国連報道官が今週、国連憲章に基づく制度を示しながら注意を促しました。2026年に入ったいま、国連財政と多国間協力の「足場」が揺らぐ論点として注目されています。
何が起きているのか:2025年分の未払いが焦点
国連のステファン・デュジャリック事務総長報道官は、米国が2025年の国連分担金を支払っていないことを確認しました。そのうえで、滞納が長期化した場合の扱いは国連憲章に明記されていると説明しています。
ポイントは国連憲章19条:「2年分」に達すると投票権停止
国連憲章19条では、分担金の滞納額が「過去2年分の拠出額」と同等以上になった加盟国は、国連総会での投票権を失うと定めています。
一方で例外もあります。総会が「支払い不能が当該国の制御を超えた事情による」と認定した場合、投票を認める余地があるとされています。つまり、機械的に自動停止というより、ルールを基礎にしつつ政治・制度判断が絡む仕組みです。
背景:トランプ政権の「脱・多国間」方針が加速
今回の警告が出たタイミングは、米ホワイトハウスが大統領覚書(presidential memorandum)を発表した直後でした。発表によると、ドナルド・トランプ大統領は「米国の利益と整合しない」と判断した66の国際機関からの離脱を指示。連邦政府の各省庁・機関に対し、35の非国連組織と31の国連機関への参加と資金拠出を停止するよう命じたとされています。
入力情報によれば、トランプ氏がホワイトハウスに復帰したのは昨年(2025年)。その後、米国は国連教育科学文化機関(UNESCO)、世界保健機関(WHO)、国連人権理事会からの離脱を表明し、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金拠出も停止しました。報道では、国連関連の資金提供を政策アジェンダに合う分野へ絞る「選択的」な姿勢が強まっているとも伝えられています。
国連側の反応:法的義務としての「分担金」
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、複数の国連機関からの離脱決定に「遺憾」の意を表明しました。そのうえで、国連総会が承認した通常予算と平和維持活動(PKO)予算の分担金は、国連憲章の枠組みの下で加盟国すべてに法的拘束力があると強調しています。
同時に、国連機関は加盟国から付託された任務(マンデート)に沿って活動を続け、必要とする人々へのサービス提供や国際的なミッション遂行に引き続き取り組む姿勢も示されました。
欧州の懸念:とくに気候分野で「協力の場」が細るリスク
米国の離脱・資金停止の動きは欧州諸国からも批判が出ています。とりわけ、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)など、気候関連の国際的な枠組みをめぐる懸念が目立ちます。
EUのウォプケ・フックストラ気候担当委員は、米国の判断を「残念」「不運」としつつ、EUとして国際的な気候研究への支援と、気候行動・競争力・経済の強靭性へのコミットメントを再確認しました。また、オランダの緑の党の議員はUNFCCCからの離脱を「無謀で深刻に有害」と表現し、熱波・山火事・洪水の深刻化を踏まえ、科学と協力から離れる選択が人命と経済に具体的コストをもたらし得ると警告しています。
これから注目すべき点:投票権停止は「象徴」か「実務」か
国連総会の投票権は象徴的な意味合いが大きい一方、国連の意思決定や正統性、そして他国の分担金支払い行動にも影響し得ます。今後の焦点は、次のような点になりそうです。
- 米国の滞納額が「2年分」基準に近づくか、回避に向けた支払いがあるか
- 「例外(制御不能の事情)」の適用が論点として浮上するか
- 分担金だけでなく、個別機関への拠出停止が現場の事業にどう波及するか
- 気候・保健・人道など、国境を越える課題で協力の枠組みがどう再設計されるか
国連の財政は、理念だけでなく制度と拠出で支えられています。米国の動きが「国連のルール運用」と「多国間協力の実務」の両方にどんな揺れを生むのか、2026年も静かに見逃せないテーマになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








