米最高裁、トランプ関税の権限判断へ——市場は「撤回」ショックに警戒
米国の金融市場が、きょう(2026年1月9日)にも出る可能性がある米連邦最高裁の判断に身構えています。焦点は、ドナルド・トランプ大統領が「緊急権限」を根拠に関税を発動できるのか。結論次第で、株価だけでなく米国債利回り(長期金利)まで大きく揺れる、とみられています。
何が争点?「議会抜きの関税」は許されるのか
今回のケースは、トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)を使い、議会の承認なしに関税を課せるかを問うものです。米国のアナリストは、この判断がトランプ氏のホワイトハウス復帰後、最高裁が示す重要政策の初めての本格判断になり得る、とみています。
また、関税政策にとどまらず、政権による行政権限(大統領権限)の拡張に対する、これまでで最も重い法的テストの一つとしても注目されています。
市場はなぜピリつく?「撤回」でも「維持」でも波乱要因
2025年4月にトランプ氏が関税を発表した際、米株(S&P500)は約5%下落し、投資家が安全資産に逃げたことで米国債利回りは一時低下しました。その後、株式は持ち直し、2025年通年では16%超上昇し、最高値更新も重ねたとされています。
しかし今回の最高裁判断は、投資家にとって「政策の持続性」や「財政・金利への波及」を同時に突きつけます。オンラインの予測市場では、関税が維持される確率は30%と見積もられている、と伝えられています。
シナリオA:関税が「違法」とされる場合(撤回・返金の可能性)
関税が退けられれば、輸入コストを抱えてきた企業には追い風になり得ます。投資家の間では、判断次第で輸入企業に1500億〜2000億ドル規模の資金流入(返金など)が起こり、収益改善につながるとの見方も出ています。
一方で、撤回は「株高」だけで終わらない可能性があります。市場が特に警戒するのは、次の連鎖です。
- 関税収入の減少 → 財政見通しが悪化
- 国債増発への思惑 → 米国債利回りが上昇
- 高金利が株式の重荷 → ボラティリティ(変動)が増える
投資助言会社の幹部は、もし「関税の返金」が必要になれば市場から流動性が吸い上げられるのに近い、と述べています。
シナリオB:関税が「適法」とされる場合(維持で再び売りも)
もし最高裁が関税を支持した場合でも安心材料ばかりではありません。関税が「強いカード」として残るほど、投資家は予測しづらい追加関税のリスクを織り込みやすくなります。運用担当者の間には「再び市場の売りを誘う可能性がある」との声もあります。
「短期の反応はノイズ」でも、政策ルートは複数ある
さらに複雑なのは、仮に関税が退けられても、政権が別の法的根拠を用いて課税を再構成する可能性が取り沙汰されている点です。開発国市場担当のエコノミストは、トランプ氏が関税を課すための別ルートが5つあり、上限15%程度の関税を導入できる可能性に言及しています。
そのため投資家の一部は、最高裁判断直後の値動きは大きくても、制度設計が作り直されれば「関税体制は結局似た形に戻る」かもしれない、という見方も示しています。
注目ポイント:株だけでなく「金利」と「財政」を見る局面に
今回のニュースで市場が見ているのは、単なる企業業績の押し上げ/押し下げではありません。関税が国の収入に直結するため、判断の影響は米国債利回りや国債発行の観測を通じて、株式のバリュエーション(評価)にも波及します。
大手金融機関は、関税収入が別ルートへの移行で年率換算ベースで約3500億ドルから約2500億ドルへ減少する可能性を見積もっているとされ、財政をめぐる不安が再燃する余地もあります。
いま投資家が取っている動き:小型株・供給網の耐性に視線
一部のアドバイザーは、米連邦準備制度(FRB)の動きが10年債利回りの上昇を抑え、流動性が維持されれば景気を下支えするとみて、小型株への資金投入を進めているといいます。小型株指数ラッセル2000は、2025年を11.3%高で終え、2026年に入ってからも4%上昇しているとされます。
他方で、関税の影響を受けやすい企業をポートフォリオから外し、サプライチェーン(供給網)の回復力が高い企業を重視する動きも伝えられています。
最高裁の判断は、関税の「勝ち負け」を決めるだけではなく、米国の政策運営の枠組みと市場の値付けの前提を揺らす可能性があります。きょう出るかもしれない結論に、株式の方向感だけでなく、金利の反応がどれだけ出るか——その両方が次の手がかりになりそうです。
Reference(s):
Market risk mounts as Supreme Court weighs Trump's tariff powers
cgtn.com








