ロシアが「オレシュニク」発射 NATO国境近くの西部リビウ州を攻撃
ロシアが夜間、ウクライナ西部リビウ州のインフラ施設に対し「オレシュニク」極超音速ミサイルを発射したと、ウクライナ当局が発表しました。標的はNATO加盟国ポーランド国境に近い地域とされ、欧州の支援継続を揺さぶる意図があったのではないか、という見方が強まっています。
何が起きたのか:国境に近い西部へのミサイル攻撃
ウクライナ当局によると、攻撃は夜間に行われ、場所はリビウ州のインフラ施設です。現場は欧州連合(EU)域内の国境から約70キロの地点だとされ、戦闘の主戦場から離れた西部が狙われた点が注目されています。
ウクライナの欧州の同盟国は、今回の攻撃を「威嚇」であり、ウクライナ支援の継続を思いとどまらせる狙いがあると受け止めたとされています。
「オレシュニク」とは:中距離弾道ミサイル(IRBM)とされる新型
報道によれば、「オレシュニク」は中距離弾道ミサイル(IRBM)に分類され、極超音速で飛翔するとロシア側は説明しています。クレムリン(ロシア大統領府)は「欧州全域を射程に収め、迎撃は不可能」と主張しており、心理的な圧力を高める言説とも結びついています。
今回の発射は、この兵器の実戦での使用として「2度目とみられる」とされています。
ロシアの説明と食い違い:報復の主張、否定する側
ロシア側は、先月(2025年12月)に「プーチン大統領の居住地がドローン攻撃を受けた」とする出来事への報復だと主張しました。一方でウクライナは関与を否定し、米国は「その攻撃は起きていない」と述べたとされています。
同じ出来事をめぐり、主張が正面から食い違う構図は、軍事的な応酬だけでなく、情報戦の側面をにじませます。
狙いは何か:停戦交渉の節目に「欧州の脆弱性」を突く
分析者らは、今回のミサイル攻撃について、紛争終結を目指す交渉が重要局面にある中で、ウクライナ側に圧力をかける意図があった可能性を指摘しています。
さらに、EU国境から近い地点を狙ったことで、次のメッセージを重ねたのではないか、という見立ても出ています。
- ウクライナ支援を続ける欧州諸国への威嚇
- 欧州の防空(対空防衛)強化が急がれる状況の可視化
- 戦場が地理的に拡大し得るという不確実性の演出
欧州側の反応:英・仏・独首脳は「エスカレートで容認できない」
英政府報道官によると、英国・フランス・ドイツの首脳は電話会談で、ロシアによるミサイル使用を「エスカレートで容認できない」と非難しました。
また、リビウ市のアンドリー・サドヴィ市長はSNSで、今回の攻撃を「ウクライナだけでなく、欧州全体の安全保障への新たな脅威のレベル」だと表現したとされています。
ゼレンスキー氏の問題提起:ワルシャワなど周辺首都にも同質の課題
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は夜の動画演説で、中距離弾道ミサイルの使用は周辺国にも同様の課題を突きつけるとして、警戒感を共有するよう求めました。発言ではワルシャワ、ブカレスト、ブダペストなどが挙げられたとされています。
国内の指揮系統も更新:最高司令官本部のメンバーを入れ替え
同日、ゼレンスキー大統領は、最高司令官本部(戒厳令下で軍や関連部隊の戦略指揮を調整する組織)の構成を入れ替える大統領令に署名したとされます。
報道によると、新たに以下の人物が加わりました。
- 国防次官 セルヒー・ボイエフ氏
- 国防情報長官 オレフ・イヴァシチェンコ氏
- キーリロ・ブダノフ氏
一方で、国境警備庁の前長官セルヒー・デイネコ氏が外れたとされています。
停戦後を見据えた動き:英国は「多国籍」部隊準備に2億ポンド
緊張が高まる一方で、停戦の可能性に備える動きも進んでいます。英国政府は金曜日(2026年1月9日)、「戦闘が停止した後」にウクライナへ展開する可能性がある「多国籍」部隊の一環として、英国部隊の準備に2億ポンド(約2億6800万ドル)を充てると発表しました。
対象には、車両の改修、通信システム、対ドローン防護などが含まれるとされています。今週、英国・フランス・ウクライナは、停戦後にウクライナ領内へ部隊を展開する構想に関する「意向表明」の文書にも署名したとされますが、ロシアはこれを強く拒否したと報じられています。
英国の現実:国防予算不足報道と、拡大する安全保障コスト
英メディアは、英国防省が今後4年間で280億ポンドの不足に直面していると報道しました。政府が国防費の増額を掲げる一方、財政と装備更新、部隊運用のコストが同時に膨らむ構図が浮かび上がります。
報道では、英軍トップのリチャード・ナイトン氏が先月(2025年12月)、キア・スターマー首相に資金不足への懸念を伝えたとも伝えられました。
今後の焦点:兵器の「誇示」と交渉の「現実」が交差する
今回の攻撃は、軍事面では「射程」と「速度」の誇示、政治面では「支援継続の意思」を試す揺さぶりとして読まれています。停戦準備の議論が進むほど、当事者と周辺国の安全保障設計(防空、抑止、展開計画)も同時に問われる局面が続きそうです。
Reference(s):
Russia launches Oreshnik missile at Ukraine target near NATO border
cgtn.com








