6部マクルズフィールド、FA杯王者クリスタルパレスを2-1撃破の大波乱
イングランドのFAカップで「ありえない」が現実になりました。2026年1月10日(現地時間)、6部相当のマクルズフィールドが前回王者クリスタルパレスを2-1で下し、3回戦で姿を消させました。
試合は2-1、終盤は“6分間”の耐える時間に
舞台はマクルズフィールドの本拠地モス・ローズ(約5,900人収容)。試合は前半終了間際、主将ポール・ドーソンが先制します。
- 前半終了間際:主将ポール・ドーソンが先制(1-0)
- 後半60分:混戦からアイザック・バックリー=リケッツが追加点(2-0)
- 終了間際:クリスタルパレスのイェレミ・ピノが直接FKで1点返す(2-1)
最後はアディショナルタイムが約6分。スタンドから「Silkmen! Silkmen!(シルクメン!)」の大合唱が響く中、マクルズフィールドは逃げ切りました。
「117位差」をひっくり返す──“155年で最も起こりにくい結果”
両者の間には、イングランドのフットボール・ピラミッドで117もの順位差があったとされます。リーグの格や選手層を考えれば、一般的には番狂わせが起きにくい構図です。
それでもこの日、マクルズフィールドは2-1で勝利。報道では、FAカップの155年の歴史で最も起こりにくい結果の一つとして語られています。記録的な大勝よりも、こうした“確率の壁”を越える瞬間がFAカップの物語を更新していきます。
「再出発のクラブ」が刻んだ夜:2020年の清算から、いま
マクルズフィールドは、前身クラブであるマクルズフィールド・タウンが2020年に負債を理由に清算された後、再出発した小さなクラブです。現在はナショナルリーグ・ノースで14位とされ、いわゆる“強豪の道”とは別の場所で日々を積み重ねてきました。
だからこそ今回の勝利は、単なるアップセット以上に「クラブの時間」を前に進める出来事として受け止められています。試合後、モス・ローズのピッチにファンが駆け込み、ドーソンとダフィーが担ぎ上げられた場面は、この夜の熱量を象徴していました。
亡き21歳フォワード、エサン・マクラウドへの思いも重なった
チームはいま、21歳のフォワード、エサン・マクラウドを失った悲しみの中にあります。マクラウドは2025年12月16日、ベッドフォード・タウンでの試合帰りに交通事故で亡くなったとされています。
この日のスタジアムでは、ベンチ裏に彼の名を掲げた横断幕が掲出され、家族も観戦に訪れました。監督のジョン・ローニー(ウェイン・ルーニー氏の兄)は試合後、次のように語っています。
「試合を終えてオフィスに入ったら、エサンのお母さんとお父さんがそこにいた。自分にとってとても特別なことです。今日ここにいてくれたこと、そしてきっとエサンも見守ってくれていたと思う」
勝利の輪郭がくっきりしているほど、その背後にある喪失や日常の重さもまた浮かび上がります。FAカップが“物語”と呼ばれるのは、得点や戦術だけでは測れないものが同じ90分に同居するからかもしれません。
同じ日の“もう一つの極端”:マンチェスター・シティは10-1
一方で同日、マンチェスター・シティは3部相当のエクセターを10-1で圧倒。クラブの最大勝利記録に並んだとされます。さらに、移籍金8700万ドルと伝えられるアントワーヌ・セメンヨがデビュー戦でゴールを決めたことも話題になりました。
ただ、桁違いの戦力が生む大勝以上に、その日の主役をさらったのは「117位差を覆した90分」でした。
次に注目したいポイント
- マクルズフィールドの次戦:快進撃がどこまで続くのか。守備の再現性が鍵になりそうです。
- クリスタルパレスの立て直し:王者としての重圧と、下位カテゴリ相手の難しさがあらためて問われます。
- FAカップの“温度差”:10-1と2-1のどちらも同日に起きること自体が、この大会の幅を物語ります。
勝者と敗者の差が数字以上に広がって見える日もあれば、数字がまったく意味を持たなくなる夜もあります。1月のFAカップは、その両方を一度に見せてくれました。
Reference(s):
Macclesfield upsets FA Cup holder Crystal Palace in huge shock
cgtn.com








