ハマス、ガザの行政組織を解散へ 独立委員会に権限移管準備
パレスチナの武装組織ハマスは2026年1月10日、ガザ地区で運営してきた政府系の行政組織をすべて解散し、現在設立が進む独立の行政委員会に権限と責任を移す準備に入ると発表しました。2025年10月から続く停戦の「第2段階」をめぐる議論が本格化する中、統治の枠組みをどう組み替えるのかが、復興と住民生活に直結する焦点になっています。
何が発表されたのか:ガザの行政機能を「移管」へ
ハマス報道官のハゼム・カセム氏は声明で、ガザ地区の行政を担ってきたすべての政府系組織を終了させ、その業務を独立の技術官僚(専門家)委員会に引き継ぐ「明確な決定」を下したと述べました。
今回のポイントは、武力衝突や停戦そのものではなく、日々の行政を回す「統治の受け皿」を別の形に置き換えるという点です。電力・水・保健・教育・物資配給など、住民生活の根幹に関わる部門がどの体制で管理されるのかが問われます。
独立の行政委員会とは:派閥間合意で設立へ
カセム氏は1月8日の時点で、ガザ地区の各部門を管理する委員会について、設立に関する合意を他のパレスチナ諸派閥と交わしたうえで、正式発表を待っていると説明していました。今回の発表は、その流れを一段進め、移管を前提に既存組織の整理へ踏み込む内容です。
独立の技術官僚委員会は、政治色を薄めた運営を想定しているとされます。一方で、実際の人事や権限、治安部門との関係をどう設計するかは、停戦の行方と密接に絡むため、調整は難航する可能性も残ります。
背景:2007年以降、ガザは別の統治体制で運営
ガザ地区では2007年、ハマスとファタハの武力衝突を経て、ハマスが政府機関を運営してきました。ファタハが主導するヨルダン川西岸地区とは、別々の統治が続き、結果として人口200万人超の沿岸地域が分断された形で管理されてきたとされています。
停戦は2025年10月から継続:第1段階の到達点
ハマスとイスラエルの停戦は、2025年10月から有効だとされています。第1段階では、捕虜・拘束者の交換、人道支援の流入、イスラエル軍の一部地域からの部分的撤退が含まれていました。
- 拘束者の交換
- 人道支援の搬入
- 一部地域での部隊配置の変更(部分撤退)
ただし、第1段階が「次の政治・統治の合意」まで自動的につながるとは限らず、第2段階に入る条件や手順が最大の争点になります。
第2段階の争点:完全撤退、武装解除、復興、暫定統治
提案されている第2段階には、ガザからの完全な軍事撤退、ハマスの武装解除、大規模復興の開始、そして暫定的な統治機構の形成が含まれるとされています。これらは相互に結びついており、どれか一つだけを先行させるのが難しい構造です。
また、2025年12月には、米国のドナルド・トランプ大統領が第2段階の迅速な実施を進める意向を示し、前進の条件としてハマスの武装解除が重要だと強調したとされています。
「来週カイロで協議」報道:人事と停戦の同時進行へ
ハマス内部の情報筋によれば、エジプトのカイロで来週、ハマス代表団を受け入れ、第2段階をめぐる協議と、行政委員会メンバー構成の最終合意を進める予定だとされています。
統治移管の議論は、単なる組織改編ではなく、停戦後のガザを「誰が、どの権限で、どう管理するのか」という核心に踏み込む論点です。復興資金や支援の受け皿、治安の担い手、行政サービスの継続性といった実務が、政治交渉の結果に大きく左右されます。
今後の見通し:住民の生活と復興が試金石に
行政組織の解散と移管が実現すれば、ガザ地区では「統治の形式」が変わることになります。一方で、委員会が実際にどの程度の独立性と実行力を持つのか、停戦第2段階の条件がどこまで合意されるのかは、現時点では不確実です。
当面の注目点は、(1)独立委員会の正式発表と人選、(2)停戦第2段階の具体的な工程表、(3)復興と支援の実務が滞りなく回るか——の3点になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








